不定期刊行                             3  2002.3.29

  中信高校山岳部かわらばん   編集責任者 大西 浩

                              木曽高等学校 定時制

旅費規定の改正について思う  

これからはヘリコプターで、空から指示出すしかないんじゃないの?

前号で県費旅費規定の改正について記載しました。このままでは、山岳部の顧問をするような奇特な物好きはいなくなってしまうのではないかと不安です。

山岳部の顧問は、いったん山へはいれば24時間態勢で引率責任が出てきます。ほかの運動部にも引率責任はありますが、山の場合、ベンチに座って大声で指示を出しているわけにはいきません。自分も重い荷を背負って、汗水垂らして山道を歩き、その上で適切な判断をし、指示を出さねばならないのです。そしてその判断や指示が時には命に関わってくるような場面も考えられます。

26、27日と木曽高校の生徒と御岳へ山スキーに出掛けたのですが、帰りがけ生徒が転倒し、膝をひねってしまいました。僕は彼のスキーをザックにくくりつけ、もう一人の顧問松本先生とゆっくりサポートし、励ましながら歩かせて下らせました。幸い顧問が二人いたからまだよかったし(生徒も一人)、もうゲレンデに下りてからのことだったので事無きを得たわけですが、山では引率はどんな場合でも複数ですべきであること、また突発事故に備えた対応が必要であるということを改めて認識しました。

また、山に登るにはそれ相当の道具も必要です。しかし、新素材の開発や需要と供給の関係で、一般に山道具は高価です。しかし、命を賭けるものですから、道具も安いまがいもので済ませるわけにはいかず、いいものを購入しなければなりません。実際普段着ている綿の下着やジャージ、普段履いている運動靴で山に行くわけにはいきません。その上でザックから始まり、シュラフやマット、食器にヘッドランプ、コンパスや地図に至るまでその部分はすべて個人持ちです。それらの装備もすり減らしながら、生徒の安全に責任を持って山へ行くなんてことは、よっぽどの物好きでもないかぎり、できません。

これじゃー、ヘリコプターにでも乗って、空の上から生徒に指示出して、その代金を実費請求でもしてみましょうかねって気分になってしまいます。いっそみんなでそうしてみませんか?

旅費はどのように支給されるのか?

実際の引率をシュミレーションしてみると⋯⋯実際は大赤字必至!!

さて26日、27日のこの引率のケースを新年度から実施される新しい旅費規定でシュミレーションしてみるとどうなるでしょうか。これは一泊二日で木曽高校から御岳山に二人の顧問が自家用車で生徒を引率し、うち一人は同乗した場合のシュミレーションです。

運転していた私には、学校からスキー場までの車代が往復94キロ×30円で2,820円、ゴンドラ片道が実費1,200円、一泊分の食卓費が2,200円で〆て6,220円支給ということになります。また車に同乗していた顧問は、ゴンドラ代1,200円に2,200円の食卓費がつくだけ。これ以外には一切出ないわけです。

実際には車の燃料代は山道ではリッター8キロ程度走る我が愛車が、リッター80円の軽油を12リットル使用したとして960円、ゴンドラ代が1,200円、一人あたりの食事代は燃料のガス代が500円、食料が2食分に行動食、予備食、非常食まで含めると1,800円。ここにはアルコール等の嗜好品ははいっていません(念のため)。下山して食べた昼食のカレーがスキー場価格の1,000円、というわけでこちらは〆て5,460円。我がクラブは発足してまだ間もないので、テントやランタン、マットなどはまだ十分ではないので、すべて私の自前のものを使いました。これらの償却費はもちろん車の償却費もはいっていません。同乗の顧問はまさに同情すべき状態で、4,500円の出費(ゴンドラ、ガス代、食費)に対して、3,400円の支給です。二人でプール計算して340円の赤字です。これが公共交通機関を使っての山行だと、間違いなく行くたびに大幅に足が出ることは間違いありません。(実費以上には絶対出ないのだから)まあ、食い物を削って2,200円以上食わなければ、赤字にはなりませんが、コンロやランタンの燃料、ヘッドランプの乾電池、など山で生活する上ではなくてはならない山への必需品は一切面倒見てもらえないのでしょうか。

また、宿泊の場合はそれでも2,200円の食卓費が出ます。日帰りの場合は、なんとみなさん、どんなに働いてもどんなに汗を流しても、歩いている限りにおいては全く何も出ないのです。高教組新聞ではこの部分は積み残された課題と書かれていましたが、具体的には何か進展があったのでしょうかね?

お見逃しなきよう  信高山岳会主催、信濃毎日新聞等後援

セリッククラムムスターグ(カシタシ主峰)初登頂写真展 第6弾

県内を巡回して行われている信高山岳会のセリッククラムムスターグ(カシタシ主峰)の初登頂の写真展が4月2日から8日まで、岡谷市の東急百貨店内の市民ギャラリーにて開催されます。長野、松本、上田等に続いて県内では6カ所目の展覧会です。「高校生に夢を」というコンセプトで過去の訪中登山交流会の懐かしい写真も展示してあります。ぜひ、一人でも多くの高校生に見てもらいたいと思います。山岳部のみならず多くの生徒にPRをよろしくお願いします。

なお、中信地区ではこのあと穂高町で開催します。また「かわらばん」でご案内いたしますが、詳細は筑摩高校の下岡先生までお尋ね下さい。

編集子のひとりごと

 木曽高校全日制ではこの3月唯一の部員が卒業し、ついに部員が0になってしまいました。(定時には4人いますのでなんとか命脈は保っています。)かつてはオリエンテーション時に懸垂下降をしたり、豚汁をふるまったりしたものの、今年はそれもできませんでした。顧問だけは新たに県ヶ丘から向井先生を迎え厚くなりました。さあ、今年はどんな手を打ってでたらいいでしょうか? (文責 大西)