不定期刊行               9  2002.5.13

  中信高校山岳部かわらばん   編集責任者 大西 浩

                             木曽高等学校 定時制

山岳総合センターの研修会無事終了しました。

 昨日(12日)まで、長野県山岳総合センターの「高校登山研修会」に参加してきました。今年は、里では3月頃から異様に暖かい毎日が続き、春の訪れも早かったのですが、山の雪は場所によっては例年より多めです。

 里には爽やかな初夏の風が吹くこの時期、北アルプスの峰の谷筋にはまだ多くの雪が残り、木々もようやく長い冬眠を終えて、緑の若芽を芽吹かせようとしています。すべてが動き出そうとしているこの時期の山は、僕にとって最も魅力的な表情を見せてくれます。もう厳冬期の寒さはなくなり、それでいて美しい雪がたっぷり残り、重い荷を背負っても雪上には、涼しい風が吹き渡っていきます。

 雪が解けてしまった夏には、ガラガラしていて、とても登れないような沢筋も、雪に埋っている今は、僕らには恰好のルートとなります。安定した雪の上では、思った通りのルートを辿って、どこにでも登ることが可能です。ただし、そこには「ある一定の技術を身に付けた上で」という限定がつくのは当然です。その技術を身に付けるための研修会がこの「高校登山研修会」です。歩行訓練から始まって、雪の上でスリップした場合の滑落停止の方法、アイゼンやピッケルといった雪山の定番アイテムの使い方、クライミングロープの扱い方などを2日間でみっちり学びます。山にはいるのには、何も許可はいりません。山にはいるのは誰でも自由です。20代のころ、僕は若さに任せて、技術もないのに、今思えば随分無茶な登山もしていたような気がします。しかし、山をやればやるほど、技術の必要性を感じるようになってきて、最近では山の怖さや危険が、感じられるようになってきました。初心者が「雪の上に出るときはピッケルを持て」といわれたからといって、ピッケルを持っても、まねごとで持っただけでは、雪山ではなんの役にもたたないばかりかかえって危険です。

車を運転するのには免許が必要です。無免許で車を運転することは、自分はもちろん他人にも多大な迷惑をかけます。技術を持たずに山に入っても、多くは無事に帰ってこらます。しかし、この状態は、まさに無免許運転と同じ状態です。こういうのはまさに無謀登山です。僕は今回は、形の上では講師という立場で参加をしましたが、受講生としても、もう以前から何回も参加しています。その訳は、この研修会を自分にとっても、毎年技術を確認する研修会であると肝に銘じているからです。たとえば滑落停止ひとつとっても、訓練の最初にはとても緊張します。ここ数年は毎年参加していますが、それ以前も何年かにいっぺんは意識して参加してきました。そしてそこでは自分の弱点や新しい技術の発見がありました。これからも高校生と安全に登山活動を続けられるように山岳部の顧問として常に技術の確認をしていかねばと、今年も強く思いました。

今年の参加高校は大町、池田工業、美須々、木曽の4校ということで少しさびしかったですが、参加した生徒の中には3年間参加した美須々の生徒のような受講生もおり、みんな満足して帰って行きました。我が木曽高校からは、今年入部して初めて山に入るという1年生の女子を二人参加させました。入山初日は雨で美女(びしょ)濡れになって寒い寒いといっていたのに、帰るときには二人とも大喜びで、来年もまた来たいという感想をいっていました。(この感想文などは次号にでも掲載できればしたいと思います)

長野県山岳協会にも多くの先生が名を連ねています。

みなさんは長野県山岳協会という組織をご存知でしょうか?山の組織としては大きく日本山岳協会と日本勤労者山岳連盟があり、それぞれ県単位で組織を持ち、そこに各山岳会が所属しています。長野高体連登山専門部は、この二つの組織のうち、長野県山岳協会に加盟しています。また教員の仲間で作る「信高山岳会」も長野県山岳協会の加盟団体として名を連ねています。日ごろ、山岳協会の活動などに触れることなどないという方もいらっしゃると思いますが、協会の中には若者の登山やアウトドア活動の普及啓蒙に向けての「ジュニア委員会」や「クライミング委員会」などもあって、高校生の活動にも一定の理解があります。

組織としては23名の理事が隔月に理事会を持ち、様々な活動をしています。高体連としても組織加盟をしていることもあり、必ず専門委員長を理事として派遣しています。たまたま今年来年の理事には高校関係の先生が多く名を連ねていますので、手前味噌の部分もありますが、ここで紹介させていただきます。というのは、私自身頼まれて引き受けざるを得ず、今年度から事務局長をさせていただいているのです。高校現場とはまた違った社会人の世界がそこにはあります。両方の橋渡しがうまくできればいいと思いますので、今後協会サイドの高校生関連の情報も積極的に流して行きたいと思います。またご意見、お叱り等もあれば役職柄承りますのでどしどしお寄せください。

役  職

氏  名

学校名

副会長兼競技部長

宮本 義彦

中野実業

事務局長

大西  浩

木曽

事務局次長(総務)

向井 真弓

木曽

事務局次長(財務)

小林 國弘

白馬

ジュニア委員長

村主 恭則

岡谷工業

国体委員長

浮須 由実

池田工業

高体連担当理事

竹内 佳一

諏訪実業

編集子のひとりごと

久しぶりの「かわらばん」になります。山は新緑の時期を迎え、山菜も出始めました。県大会の申し込みも締め切られましたが、各校これからは、その準備に忙殺といったところでしょうか。現在穂高町、穂高西中学校の東側にある「ギャラリー有遊」さんで「セリッククラムムスターグ」の写真展の第6弾がはじまっています。昨年一昨年2年分の写真約40点とシルクロードの物産を一挙に展示しています。お近くの方はぜひお立ち寄りください。展示は19日までです。各学校の新入生の加入状況や、新歓登山などのレポートなどお寄せください。この場で交流していけたらと思います。(大西)