不定期刊行             21号  2002.8.10

中信高校山岳部かわらばん

編集責任者 大西 浩

                             木曽高等学校 定時制

おめでとう 大町高校 インターハイ5位入賞

先日まで茨城県で行われていたインターハイ。県内関係では大町高校の男子が種目縦走で5位入賞という快挙を成し遂げました。本当におめでとうございます。インターハイでは3位が二チームで、1位、2位とあわせた上位四チームにはメダルが渡されます。そのメダルにあと一歩の5位ですからこれは見事というほかありません。

総監督の星野先生からのメールを引用します。「星野です。インターハイの総監督で茨城県に行ってきました。結果は大町が縦走で5位入賞。男子は風越が40位、女子は大町、一人が腰痛で棄権でした。猛暑と雷雨で大変でした。」とのこと。

長野県のチームがインターハイで表彰されたのは、1982年の屋久島での大会以来20年ぶりのことです。そのころと今では審査方法も大きく変わり、長野県大会とインターハイは言ってみれば似て非なるものでもあったような印象さえありました。

私 自身もインターハイの審査員をしたことがありますが、インターハイは、長野県大会と違って、朝から晩まで、山に入ったら、下山してくるまでのすべての行動 が審査対象で、息を抜く暇もなく、ちょっとしたミスも許されません。そんな中で上位チームはそつがなく、審査をしながらたいしたものだなあという印象を持 ち、ちょっと小憎らしささえ感じたこともありました。また、大会前に下見に入ったりするチームもあり、長野県代表チームが上位に入るのは至難の業だと感じ させられたものでした。そんな中での、この入賞は、大会を熟知した松田大先生の薫陶の賜物と思います。選手の皆さん、大町のスタッフの先生方本当にお疲れ 様でした。

また、上位には入れなかったけれど、健闘された風越男子と大町女子の皆さんもご苦労様でした。最高で標高が870mという低山で行われた大会ですから、高地民族の長野県のチームにとって、星野先生の言うように暑さは想像以上だったろうと思います。また参加された様子などをお知らせください。

夏が来れば思い出す(訪中隊のころ)

といっても尾瀬ではありません。1988 年7月のこと。大阪港の鑑真号の船上には、第一回長野県高校生訪中登山交流会(通称;訪中隊)のメンバーの16人の高校生が一年近い練成を経て、期待に胸 を膨らませ、船出を待っていました。訪問先は四川省、目指すは5,025mの大姑娘山。この第一回訪中隊は長野県山岳協会が主催、信高山岳会が主管し、県 教委や信毎、長野放送の後援をいただき、顧問随行を合わせて総勢29名で編成され、3週間の日程の中で目指す大姑娘山への全員登頂を果たし、8月に帰国し ました。以後、訪中隊は7年間6回に亘って続けられ、のべ100人の県内の高校生が中国の四川省や青海省を訪れ、中国の5000m級の山へ登り感動を体験 しました。

「中 国へ渡り、日本では経験できない高所の登山と文化交流を」という夢を掲げて信高山岳会が高校生と毎年活動を始めたのは、もう15年近く前のことになりま す。様々な障害を克服して、実現したこの訪中隊。毎年6月の県大会で高校生たちに次年度隊長予定者が熱く夢を語って募集していたのが懐かしく思い出されま す。そして、そこには生徒も顧問も一緒になって創り上げた感動がありました。

僕自身は1991 年に行われた第三回隊に参加し、青海省達理加山(4,635m)に登りました。この遠征隊では、単に山に登ることのみならず「山登りのこころ」を教えても らったように思います。僕自身は、ここで教えてもらったことを次へつなげていこうと、その後いろいろな活動をしてきたように思います。夢を語るのは海外へ 出ることばかりではありません。「時代にあって、実のある夢をまた創造していきたい」夏が来るとあの時分の高校生の輝く目を思い出すのです。

残暑お見舞い申し上げます

崑崙山脈セリッククラムムスターグ(カシタシ主峰)北稜の6060m峰で

去年の今頃、「信高山岳会カシタシ主峰登山隊」は捲土重来を期して、僕も含む4名で6691mの未踏の峰を目指し、その初登頂に全精力を傾けていました。

この写真はC3 建設に向けての荷上げの途上、C2の先にある6060mのピークの頂上で、懸垂下降の準備をしている田中隊員(左)と宮本隊長です。画面中央から左に向 かっている稜線が西稜ともいうべき主峰からの尾根。その手前の、表面に白く平らな氷河の乗っているピークは、一昨年度の最高到達点の通称スノードーム (6405m)から派生している尾根上にあり、顕著な三角錐をなし、BCからもひときわ目立ち、涸沢槍と名づけたピークです。眼下に雲海が広がり、遥か先 には95年に山形の登山隊が登ったクタイケリケ山群のギシリクタークも遠望できました。

あれから、一年。山は、一年などという時の流れはお構いなしに何事もなかったかのように静けさを取り戻していることでしょう。

編集子のひとりごと

熱い夏がやってきました。各校、夏合宿真っ盛りでしょうか。冒頭もとりあげましたが、大町高校の活躍はお見事でした。私は木曽高校の合宿で、白馬から雪倉、朝日と縦走して帰ってきました。顧問3人に生徒6人静かな山歩きを堪能しました。次号で紹介します。各校も情報をお寄せください。(大西 記)