不定期刊行             28  2002.10.2

中信高校山岳部かわらばん

   編集責任者 大西 浩

                             木曽高等学校 定時制

たかが○○○、されど○○○。

 木曽高校では、10月になった今頃、夏合宿の旅費の精算書を事務室に提出しました。一体どういうことかというと、ある経費をめぐって、8月からクリンチになっていて、事務室経由で県とやり取りしていたのですが、それについてやっと今頃になって結論が出たのです。で、わずか数百円のことですが、標題の「たかが○○○、されど○○○」なのです。この○○○には一体なんということばが入ると思いますか?真相を知れば、あまりに馬鹿馬鹿しい上に、腹立たしいのであえて伏字にしました。

 答えは次の「この夏の旅費」を読んで見てください。この文は、この問題についてあまりに県の対応が理不尽で、非人間的だったので、腹がたち、かわらばんに載せようと9月はじめに書いたものですが、結論が出る前にあまり公にしないほうがいいと思い、お蔵入りにさせていたものです。いい結論が出た今、改めて皆さんによんでいただき、こんなこともあったのかと知っていただきたいのです。また、これがいい結論になるには、高教組の県教委交渉でも取上げていただき、そこで何人かの先生方が訴えてくれたというのも大きな力でした。いろんな意味も込めて、改めて「たかが○○○、されど○○○」です。

この夏の旅費

この夏の木曽高校ワンダーフォーゲル部の合宿の様子はかわらばんでお知らせしました。大変にいい山旅でした。ところが、帰ってきて旅費の精算をする段になって大変に悲しい思いをしています。最終宿泊日、テントを張り、近くの風呂に入りにいき、3泊4日の汗を流しました。私の感覚では、これは当然宿泊の一部だと思います。これは社会通念に照らしても決して逸脱してはいないと考えます。

ところが、事務ではこれは宿泊料としては認められないというのが県の見解だというのです。もし旅館に泊まっていれば当然宿泊料に含められるべき筋なのに・・・。強硬に事務とやりあい、私の目の前で、県に電話してもらいました。結果、前向きに検討するという返事をもらいましたが・・・。

私の前に交渉に行った正顧問は、事務に言われるままに帰ってきたのですが、納得できない私が強硬に言えば、話がかわる。私が出て行かなければ、そのままになってしまったのです。こんな理不尽があっていいのでしょうか。

私が納得いかないのは、こうしてなし崩し的に前例ができていってしまうことです。初めての事例については相当慎重に検討していかないとどんどん縛りがきつくなります。たかが500円程度の風呂代ですが、ことはそんなに単純ではありません。山ばかりに限らず、すでに、前例だからということで、悲しい思いをしている先生も大勢います。

学校の事務から相談があれば、県としては、それは規定にないこととすべて一笑に付されることでしょう。今回の件も、担当は最初はけんもほろろという対応だったのが、私が真剣に怒ったところ、少しは考えてくれたようです。

本校の事務などは、交渉するたび口にするのは、「書かれていないことはすべて県に確認している」とのこと。そんなになんでもかんでもマニュアル化するのでしょうか。こんな風呂に入るなんて当たり前のことを相談しなければならず、しかも相談されたほうは、それは規定外だと一笑に付する。ばかばかしくてやっていられません。

もうひとつ、おまけがあります。本校では、ワンゲル部の予算が少なく、テントも買えない(いまや一式10万円)ため、9人で山行に行くのにテントを他校から借りました。最初事務室に行き、テントの借用料は当然出していただけますよね」といったら、「先生、テント場代にテント代金は入っていないのですか?」なんて頓珍漢な返答が返ってくる始末。あきれてものもいえません。まあ、借り上げ代は出るということではありましたが・・・。

再度、たかが○○○、されど○○○。

というわけで、正解は「たかが風呂代、されど風呂代」というわけでした。しかし、前向きに検討するという返事の後、この程度の結論に1ヶ月も費やすとは……。当初事務室で交渉した時の回答は「このことは、県にお伺いをたてた上でのものだから先生がどういっても無理だ」の一点張りでした。それが、昨日になって、手のひらを返したように「宿泊の際の風呂代は宿泊と一体のものと考えられるから云々。」いかにも県がそのように理解しているからというような言い方でしたが、この論理はまさしく私が最初に掛け合ったときに使ったことばの鸚鵡返しなのです。

ま、小さいことではあるけれどこういうことの積み重ねなのだと思います。なんていったって、来年になれば「前例が…」「以前は…」「去年は…」、こういった論理が随所で行なわれるのは目に見えています。かつての旅費規程においても山岳の引率は金がかからないから、と学校によっては一般の旅費とはかなり差があったところもありました。でも、大多数は実質的な内容が認められていたと思います。

我々ももっとお互いに情報を交換し合って、少しでもいい方向に持っていければいいなあと思っています。

編集子のひとりごと

9月28日に行なわれた長山協の第6回ジュニアクライミング講習会に木曽高の女子2人と愚息の3人を連れて参加しました。当日は雨降りで、当初予定されていた駒ヶ根の「森と水のアウトドアゾーン」から会場を屋内の「アルティメイト」に移しての実施でしたが、風越、白馬、木曽、岡谷工業、長野吉田、深志から8人の生徒が参加し、国体の合宿ともタイアップして有意義な講習会となりました。うち、何人かは先日のセンターの講習会にも出ていた生徒たちで、ますますクライミングにのめりこみました。

最後に私の近況です。先日少し時間がとれたので、筑摩高校の下岡先生と仏崎(大町市)の岩場に出かけました。たまたま山岳センターの人工岩場が改修工事中だったという理由で、行ったのですが、たまにはこういう自然の岩も面白いなと思った次第。ついでにいうと、ここ仏崎からは昨年大町高校山岳部が、学校創立100周年記念で道を開いた鍬の峰への登山道が続いています。登リ口の道標を見て、今度はこの道を登ってみようという気になりました。……この道のことは、あ、そうか。中信以外の人は知らないんだ。またいずれこの場で紹介しようっと。(大西 記)