不定期刊行                 48  2003.4.2

中信高校山岳部かわらばん

編集責任者 大西 浩

                           木曽高等学校 定時制

我がホームグラウンド、乗鞍山スキー

2002年度最後の山行は大町高校の松田大氏と二人で乗鞍へ山スキーに行った。3月31日朝7時30分、待ち合わせ場所の安曇村役場で落ち合う。天気は上々。先週生徒と一緒に2泊3日で栂池に行ってきたという大さんの顔は雪焼けで真っ黒。かたや僕は2月の信高の例会以来一ヶ月以上山に行っていない。我が木曽高の生徒もどこかに連れて行くつもりでいたのだが、結局今年は実現できないで終わってしまいそうだ。生徒は行く気もやる気も満々なんですがね・・・。すべては僕も含む顧問が悪いのです・・・。

月曜日とあって道はスイスイ。車を運転しながら、栂池の楽しかった話を少々聞いているうちに休暇村に着いてしまった。リフトの始発は8時20分。動き出したばかりのリフトを3本乗り継いで終点まで、900円也。何年か前、ここの初っぱなのリフトで落ちたことを思い出した。あのときは重い荷を背負ってそのまま乗ったのが敗因だったと自分のことながら苦笑い。乗鞍に山スキーに来るのはこれで何回目のことだろう。恐らく10回近くは来ていると思う。松本からはほんとに手軽な山なのだ。アプローチの道もすいていたが、ゲレンデもガラガラである。リフト終点から続く最初の急登にいつもは大苦戦をする。ここは九十九折れでジグザグに登っていくのだが、今回は中間あたりまでピステがかけてあったので、随分楽をしてほとんど直登できた。下の方に数人、僕らと同じような物好きな集団が見えた。途中一本休憩をはさみ、10時30分に位ヶ原に到着。休憩しているときにいいペースで追い越して行った単独の登山者がシールをはずして、下る準備をしていた。聞けば、下岡さんと遭対でお知り合いだという松沢さんという御仁だった。何でも今日は午前中が休みだとかで、これから下って仕事に行くということだった。下岡さんとの縁で「去年職場(福祉関係のお仕事らしい)でカシタシの写真を飾らせてもらった。」と、妙なところでお礼を言われた。

樹林帯の中は風もなく快適だったが、位ヶ原の上に出るとさすがに風が強い。このあたりのダケカンバの脇でテントを張ったのは、信高山岳会に入ってまもなくの頃だから、今から15年も前のことになる。それが僕の乗鞍山スキー初見参だった。その後飯沼、浮須両氏と雪洞を掘って泊ったこともある。また、伊澤さんと二人でやってきて3日間粘ったが、頂上へ登れなかったこともつい昨日のことのようだ。カシタシの合宿で訪れた時のことだったろうか、リフトから落とされたのは・・・。などこの山には何かにつけ登ってきた。そして去年は、息子を初めて雪山に連れてきたのだった・・・。それ以外にもエトセトラ、エトセトラいろんな景色が浮かんでくるが、いずれの場合もこの位ヶ原から上部に出るといつも風に吹かれた。

松沢氏が下っていくのと相前後して、上から5人ほど滑り降りてきた。軽装である。昨日は上の観測所に泊ったとの由である。ゆっくり休んで再び歩き始める。しばらく登って振り返ると、前穂高のピラミダルな尖塔が目立つ。それにつながる穂高の峯々。その陰に恥ずかしげにちょこんと顔を覗かせているのは槍ヶ岳。常念の西斜面は真っ白に光っている。そんな景色を楽しめたのも束の間、しばらくすると、猛烈な吹き下ろしの風が吹き始め、さっきまではあんなによかった天気が急速に悪化し始めた。常時7〜8mの向かい風。時折15m程度の突風が吹き始めた。二人とも無口でひたすら上を目指す。大雪渓の駐車場を過ぎる頃からは槍穂も見えなくなった。11時15分肩の小屋着。小屋の脇の吹きだまりの陰で一休み。今日はここまで、今回も頂上はお預け。このあたりの表面は完全にクラストしていて、シールをつけていても全然ひっかからず、つるつる滑るほど。しかし、さすがに3月、厳冬期ほどの寒さは感じない。でも、この風の中、せっかく持ち上げたビールを飲む気は起きなかった。この天気ではもう後続の登山者は登ってこないだろう。

シールをはずして、一気に下る。一時間半近くかけて登った斜面も下りはあっという間。ものの10分程度で位ヶ原に降り着いた。背中からの風に後押しされ、クラストした斜面はしっかり踏ん張っていないといけないので、太股がパンパンに張ってしまった。下の樹林帯まで下ったところで、乾杯。ここまで下れば風もなく、天国だ。二人で顔を見合わせながら足をストレッチ。登ってくるときに下にいた後続の登山者は、位ヶ原から下ってしまったらしくもういなかった。少し白いものもチラホラ舞っている。しっかりと休んで再び下り始めたが、今度は全然スキーが滑らない。二人でワックスを塗ってみた。しかし、最初の2、3回のターンはよかったが、すぐに元の木阿弥。板が止まってつんのめりそうになること頻りであった。ゲレンデに出てもこの状況は一向に変わらず、とにかく滑らない雪であった。降りて一風呂、これもまた乗鞍の醍醐味なのだが・・・月曜日はアカン。湯けむり館も、龍神温泉せせらぎの湯も定休日だった。残念。

御岳スキーツアーのお誘い

乗鞍での下りしな、二人で「もう一回どこか行きたいねぇ」なんて話をしたんだけど、そこで出てきたのがこの話。下記の日程で行いたいと思います。いつも使っている田の原からではなく、三岳から登ろうと思います。3000mからの大滑降楽しみたい人、大西まで連絡してください。前泊(木曽高校同窓会館)でも当日参加でもご随意にどうぞ。今のところ参加者は松田、大西の2名です。計画書は参加者に後送します。

期日 4月12日 土曜日(日帰り) 朝7時に木曽高校同窓会館出発。

編集子のひとりごと

なぜか今年の春休みは気ぜわしくて、全く何もしないうちに新年度に突入してしまった。前号の編集子のひとりごとで「山スキーでもいかが」というお誘いをしたんだけれど、結局、僕の方も積極的に泊まりがけのツアーを組めず、直前に大さんと連絡をとっての日帰り山行と相成ったという次第。登っているときは、「なんちゅう風だ」とか下っているときは「滑らねー」なんて二人で文句を言いながら行ってきたのだが、行ってくればいい思い出。実は僕、これもまた不思議なことですが・・・こんなに何回も乗鞍には行っているのに、冬の頂上に行ったことないんだよね・・・。来年こそは、またどなたか一緒に行きませんか?でも、僕と一緒だと頂上には行かれないかもしれない。へんな因縁があるもので、これだけ通って行かれないと逆に頂上なんてどうでもよくなっちゃうのが不思議です。

放送直前にイラク戦争がはじまってしまい、緊急特番が組まれた関係で、SBCの「穂高よ永遠なれ」は今のところ放送の日程が決まらないそうです。(大西 記)