不定期刊行             50  2003.4.28

中信高校山岳部かわらばん

    編集責任者 大西 浩

                           木曽高等学校 定時制

馬鹿の一つ覚えと笑われそうですが・・・ついに・・・

22日火曜日、夜山岳協会の理事会があったので、定時制勤務の私は年休をとった。といって昼間はもともと学校へ行くわけでもないのだが、あまりに天気がよかったので急遽思い立って、山スキーに出かけた。

出かけた場所は馬鹿の一つ覚えと笑われそうだが、我がホームゲレンデの乗鞍。前々号にも書いたが、積雪期にはいつ行っても頂上を踏ませてくれない私にとっては因縁の山。「今日こそはなんとか頂上へ」の思いを秘めて、9時に家の仕事を一段落させて出発。10時15分、三本滝の駐車場に着いた。すでにスキー場は閉鎖され、リフトは動いていない。そのため、三本滝まで車ではいれたが、最後のリフト一本分は歩かねばならない。無人のスキー場ではあったが、雪はたっぷり。20分でリフト終点に到着。スノーボードを持って登る6人組が小休止していた。いずれもヨーロッパ人。聞けば乗鞍でペンションを経営し、アドベンチャースノーボードスクールを開いているスタッフだという。やはり、天気がいいのでやってきたということだった。

私はきままな一人旅。先を急ぐ。シールが利いて快適な登りである。そこから1時間ほど樹林帯の中を進んでいき、一段上の段が位ヶ原。ここには八王子から来たという4人組の学生が休んでいた。ひとしきり話をしてさらに先行した。経験的には、樹林帯を抜けたこのあたりから上はいつも猛烈な風が吹いて、それがこの山の特徴でもあり、それが故に今まで何度挑戦しても頂上には立てなかったのだが、今日は穏やかでほとんど無風である。ここからは頭上に見える肩の小屋を目指して大きなすり鉢上の大斜面をひたすら登っていく。ここが下りの時には最高の斜面になる。それを思えば、登りの辛さもなんのその(・・・でもない・・・現実は・・・)。やはり登りはきつい。大雪渓の駐車場の辺りからは、直接肩の小屋へは登らず、ルートをやや左にとり、稜線を目指した。

傾斜がきつくなった肩の小屋のやや上部の稜線上の標高2800m地点でスキーを外しデポ。先行者が一人いて、アイゼンのあとがあった。僕ももちろんピッケルもアイゼンも持っていったが、雪の状態もよかったので、ノーアイゼンノーピッケルでなんの問題も感じなかった。しかし、スキーを脱いだ後の兼用靴の歩きにくいことといったら・・・。

そこから頂上まではおよそ40分。13時17分ついに久恋の乗鞍岳剣が峰にたどり着いた。頂上付近は雪は飛ばされ、岩が露出し、西側には海老の尻尾が発達していた。素晴らしい景色を独り占め。何遮るものもない3000mの眺望は最高だった。十分景色を堪能したあとはいよいよお楽しみの大滑降。標高2800mから1800mまで標高差1000mを、自分だけの気ままなシュプールを描きながら、僅か30分で一気に滑り降りた。天気に恵まれて最高の気分だった。なんと贅沢な一日を過ごしたことか・・・。また山から元気をもらってくることができた。

コースタイム 三本滝駐車場(10時20分)――リフト終点(10時40分)――位ヶ原(11時45分)――肩の小屋上部スキーデポ(12時40分)――山頂(13時17分)――駐車場(14時40分)

木曽高校定時制アウトドア同好会

今年も木曽高校定時制アウトドア同好会が発足し、5名の生徒が所属しました。中には山が好きで一年の時から所属し、センターの針の木研修会に参加し、全日の生徒と夏山縦走にいった生徒もいますが、多くの生徒は山というよりはむしろ自然と親しむことを主眼においています。

それだけにいろんなメニューを用意してそれぞれの力量に応じてチョイスできるような活動を考えているところです。そして、決して強要はしないことを肝に銘じています。

今年度の活動内容は

・いろいろなアウトドア活動に挑戦する。

・長野県内とりわけ木曽郡内の魅力をさぐる。

・木曽郡内の各町村の最高峰に挑戦する。(これは生徒と一緒に発案した)

を大きな3本柱にすえ、時には全日制のワンゲルとも一緒に活動したりもしながら、自分の可能性を少しでも広げられるようなクラブ活動ができればと思っています。どんな活動ができるか生徒とは今詰めているところですが、月1〜2回木曽郡内の様々なフィールドで、いろいろなことをして楽しめればいいなと思っています。とりあえず、発足の第一回目は5月に開田高原の散策と焼肉大会を考えています。画餅にならないようにしたいものです。

長野県内山岳団体実態調査(センター)

山岳総合センターのHPに昨年度の「長野県内山岳団体実態調査」の分析が載っています。昨年、高校山岳部も含め、県内山岳団体にアンケート調査をしたものがまとめられ、それに分析、考察が加えられています。おそらく、かわらばんの読者の皆さんもアンケートに協力されたのだと思いますが、その結果を覗いてみてはいかがでしょうか。そこの分析でおもしろいなと思ったのは、回答に答えた高校数が21校で、これが昨年の高体連の大会に参加した学校と重なっているという分析です。これをどう解釈するか・・・。学校が多忙化し、旅費も削られ、生徒も入りたがらない?それじゃ我々はそれをそのまま手をこまねいて見ているだけでいいのか?みなさん、生徒と楽しいことどんどんやりましょうよ・・・。生徒は必ずついてくるはずです。

編集子のひとりごと

連休後半、信高山岳会の例会で白馬岳主稜へ行こうと画策していますが、このところの周期的な天気の崩れに当たらないか、それが心配です。皆さんは、生徒とどちらかで新入生歓迎会でしょうか?

SBCの堀内記者から一通の絵葉書が届きました。写真は、北穂から大キレットを挟んでの槍ヶ岳。イラク戦争のため、延期になっていた「穂高よ、永遠なれ」がようやく陽の目を見ることになったというわけです。私が取材協力した部分は、天候のせいであまりいい映像がないような感じですが、半年間にわたる取材とハイビジョンの美しい映像をどのようなドラマに仕上げたか、興味津々です。放送は明日29日午前9時55分から。この一ヶ月繰り広げられた愚かな戦争は、表面的には沈静化の方向に向かっていますが、こんなところにもその余波はあったのです。(大西 記)