不定期刊行             56  2003.6.11

中信高校山岳部かわらばん

    編集責任者 大西 浩

                           木曽高等学校 定時制

高体連の業務用無線機 1

県大会の運営には、現在では県高体連所有の業務用無線機が使用されている。この業務用無線機は、県高体連が所有しており、その管理は登山専門部に任されている。これが使えるようになるまでには、次のような話がある。

時は4年前の雨飾山での大会にさかのぼる。当時の専門委員長は僕であった。それまで、大会運営に欠かせなかったのはアマチュア無線であった。ご存じの通り、アマチュア無線におけるアマチュア業務の定義は「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう」となっている。それを大会で使うというのは明らかにこの規定に抵触する。しかしながら、選手の掌握、運営上の連絡事項の伝達等大会運営にはなんらかの通信手段が必要である。したがって、必要最小限の使用と運用中は「伝搬実験中」ということわりをいれるという決めのもと、違法を承知で使っていた。

大会では正規チームは選手だけでの判断が求められるので、時には行方不明事件や突発的な事故の発生もある。現に今年もあるチームが途中でコース上から一時消えてしまい、大会本部が慌てたのは皆さんもご存じの通り。これは決して特異なことではなく、数年に一度はこのようなことは発生している。98年の金峰山大会では、二つの高校が全く僕らの予期しない行動をとったこともある。そんなとき、またそんなことが起こるのを未然に防ぐためにも、通信手段の確保はどうしても必要である。しかし、電話の通じにくい山の中では無線以外には通信手段は考えられない。また無線の強みは電話と違い、一度に不特定多数に情報伝達ができる点にある。そんなことで、99年まではアマチュア無線に頼り、高体連登山専門部ではコールサインの一覧表も作成していた。

ところが、晴天の霹靂とはこのことをいうのだろう。大会が無事終了した一ヶ月後の7月初旬、6月29日付の不審な文書が大会関係者の元に届き始めた。差出人は信越電気通信監理局(通称電監、現信越電波通信局)監視調査課課長。封筒の表には「親展」の2文字。信電監第469号、平成11年6月29日付けで長野県高体連登山部、大西 浩宛の文書には次のように書かれていた。

無線局の運用について

今般、当局が得た情報によりますと、平成11年6月3日〜同5日に小谷村雨飾山で実施された「第28回長野県登山大会」の際に、貴殿を含む同大会関係者20名余がアマチュア局を運用し、145MHz帯及び430MHz帯において、大会の運営・遂行に係わる通信を行ったとのことであります。もし、このことが事実でありますと、貴殿及び関係者は電波法第52条(無線局の目的外使用禁止)に違反している疑いがあり、今後も継続してこのような運用を行った場合、同法に基づく指導、処分または刑事罰の対象となることがあります。従って、上記のような目的でアマチュア局を運用どうすることは差し控えて下さい。なお、本件に係わる問い合わせ、並びに上記のことが事実と反する場合は、下記のところまで連絡願います。

全く同じ文面の宛先の違う同様の文書が一斉に大会役員に届き始めた。ちなみに局免の切れている人にはそのことに言及した一文も添えられていたという。これが始まりだった。(続きは次号・・・)

新潟県でも県大会が終了

新潟県の三条工業の吉田先生からのメールです。

5日から7日まで妙高高原町の火打山で開催された新潟県総体・登山大会は、好天に恵まれた中で無事に終了しました。十二曲がり上部からはたっぷりの残雪を踏みしめ、妙高山、焼山、雨飾山などを展望しながらの快適な春山登山でした。今年の出場校は男子22、女子5でした。大西さんのかわら版で指摘されている審査基準の徹底ということが高校生の安全登山のベースになるわけですが、新潟では残念ながら大会と合宿は「別」的な顧問の認識がまだまだ克服されないでいます。しかし、新保委員長の下で若い専門委員・審査員が活動を始めており、人的な財産形成に動き出していますので、その辺を機軸にしての動きに期待しているところです。(許可の上、一部大西編集済み)

木曽高校アウトドア同好会第2回活動報告

今年度第2回目は6月10日火曜日、日帰りで木曽福島町の城山(児野山1280.9m)へ。この山は木曽高校と木曽川を挟んで対峙しており、いつも見慣れている山だ。参加者は生徒2名+僕の3人。前回の参加者からすれば人数は少ないが、生徒には強制参加を求める気はない。あくまで自由意志を尊重し、そのかわりいろいろな場面を提供しようというのが今年の活動方針だ。

朝10時木曽川沿いの登山口から出発。沢沿いの道を詰め、約30分で権現の滝へ。この滝の東には岩場もあり、数年前には筒井さんと生徒を連れて登りにも来た。ここをさらに15分ほど詰めると、この沢の源流があり、大きな枯れ木のうろからはこんこんと水が湧き出している。そこからコルに向かっておよそ40分、さらに5分の登りで頂上に着いた。今日あたりから梅雨入りとのことで、曇っているので、天気がよければ見えるはずの御嶽山は見えないが、三等三角点のある頂上でラーメンを作って昼食。

ゆっくり休んだ後は、尾根を下り、向の城といわれる木曽氏一八代の山城のあとをまわった。下山し温泉経由で学校へ戻ったのは4時。

編集子のひとりごと

先週の土曜日、日曜日長山協の登山教室の講師で南アルプスの鳳凰三山を縦走した。御座石鉱泉からはいり、初日は鳳凰小屋。翌日はまず地蔵岳に登り、行きがけの駄賃とばかりオベリスクの頂上へ。頂上は一畳ほどの広さで上には榊と御幣、古びたピトンが一本。観音、薬師と縦走し、中道を下ると、一面のクマザサが紫色のつぼみを付けていた。やや下ると黄色い花も散見。60年に一度しか咲かないという竹や笹。非常に珍しい物を見たが・・・。

鳳凰小屋で聞いた夏山情報を一つ。広河原への道が現在土砂崩れのため、通行止めで復旧の見通しが立っていないとのこと。夏合宿等で、北岳方面への入山を考えている学校は、情報を入手してから計画されたほうが無難です。(大西 記)