不定期刊行             70号  2003.9.22

中信高校山岳部かわらばん

    編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

中信新人大会下見の結果などなど

中信の新人大会が週末(26、27日)に迫ってきた。第2報が各校に届いたと思う。馬羅尾高原での開催は3年ぶりのこと。ここは中信地区の山岳部の顧問にとっては、もう馴染みの場所。であるにもかかわらずというか、であるからといったほうがいいのか、前回は、なんとポイントの場所を間違えるという不手際があり、生徒に指摘されるということがあった。当時の総責任者(専門委員長)は誰あろう・・・この私だった・・・。今年はそういうことがないよう、専門委員は、8月末と先週16日に2度下見をし、万全を期して大会の準備を整えている。

今年は例年行なっている「交流会」に「講演会」を加えた。講師は前文部科学省登山研修所所長、現在は大町山岳博物館館長の「柳澤昭夫」氏。大町高校山岳のOBで、もともと松本の本郷高校(現松本第一高校)の教師だった氏の話は、若い高校生たちに何らかの刺激を与えてくれるだろうと大いに期待できる。

ところで、3年前に実施したときと、2万5千分の1地形図「有明」図幅に大きく訂正された箇所がある。その違いがわかる顧問は、もう長年中信で顧問をやっている人。2日目の交流登山にそのカギが・・・。最後に、その交流登山、ここ2回は林道歩きが長かったのだが、今回は新しい登山道が開かれた。その新しい道を、先日浮須氏と大西の二人で踏査。なかなかいい道だった。参考までに、運動靴の浮須氏は滑り、トレッキングシューズの大西は快適!?。

レスキューザックを紹介します

68号に書いた高妻山で目にした光景から、気になったのはセルフレスキューという考え方である。2年ほど前、正月の槍ヶ岳で、大雪で動けなくなったとヘリでの救助要請をした神奈川県のある山岳会の行為が問題になった。彼らは金のかかる民間ヘリではなく、無料の県警のヘリを名指しで指名した。彼らは本当に「遭難」といえる状況だったのか?自力下山ができる状況だったのではないか?・・・物議をかもした。それはともかく、もし高校の山岳部の引率をしていて、何かあったら、どうするか?もちろん怪我などの程度や現場の状況などによって、一概に言えないが、まず僕らが一番に考えなければならないのは、セルフレスキューではないだろうか?

そのセルフレスキュー用として使えるザックを紹介する。このザックは長野県山岳協会副会長の山田慶周氏がアドバイザーとなり、グレゴリーブランドで最近は若者にも人気のザックメーカーのエイアンドエフ社と共同開発した製品だ。パーティに一つあれば、万一の時に役に立つ。クラブの引率をするとき、顧問の一人がこれを持っていくと言うことは、心がけとしても必要なことではないだろうか?ザック本体に負傷者を無理なく固定でき、搬送者の交代もスムーズだ。今週末の中信地区の新人大会の時に、実際に持参し、紹介したいと思っている。ご期待下さい。長山協特別価格は・・・当日発表。

もし、中信地区の顧問以外の方で興味のある方は大西まで連絡ください。

グレゴリーレスキューパック(ザック)

※通常のハイエンドな山岳登山用パックとしての機能を持ちながら、登山者の急病や負傷などの緊急時には、その場にいる仲間や登山者が、傷病者を安定した状態で背負い、搬送することができる機能を併せ持つパックである。

コンセプト

※山岳という特殊な状況下で、「自分たちの事故は自分たちで解決する」というセルフレスキューの精神をサポートできるパックであること。

※背負われる側も、背負う側も可能な限り安定した状態におかれること。

※背負う側の負担を極力軽減し、搬送作業の交代が容易であること。

※登山用パックとしての機能やデザインを損なうことなく極力簡便な手順でレスキューパックとして機能させること。

「餓鬼岳」単独、思いつき、日帰り、早駆け山行

22日。台風一過の青空が広がった。木曽高校は文化祭の代休で休み。当初20日から23日まで、長山協登山教室で槍ヶ岳に行く予定だったのだが、台風の接近で急遽中止となった。20、21日は天気が悪かったので、家でおとなしくしていたのだが、「せっかくの休日、こんないい天気。無駄にするのはもったいない。」と、思い立って、10時ちょっと前、少し遅くなったが山へ行くことにして、家を出た。行き先は・・・これまで行こう行こうと思いながら、なかなか機会がなかった『餓鬼岳』を選んだ。

10時45分、登山口着。登山口の標高は993m。餓鬼岳山頂の標高は2647m。標高差は1600mを超える。3大急登と言われる「ブナ立尾根」だって標高差1300m弱。登山口には「大凪山まで4時間半、餓鬼岳まで6時間半」の道標があった。秋の日はつるべ落とし、出発が遅かったので、日没時間を考え、最大2時半まで登ったところで、下山しようと算段した。「まあ、途中の大凪山で考えればいいか」と足回りを整え、10時50分に出発。

最初は木々の間に青空が広がる気持ちのいい日差しの下、白沢沿いに花崗岩の真砂の道を登っていく。一人という気楽さもあり、足の進みも早い。紅葉の滝は途中でカクンと折れ曲がりながら滝壺に水を落としている。至る所木の橋や桟道が整備されており、快適な登山道である。さらに進むと花崗岩のスラブを流れ落ちる魚止めの滝が見えてきた。その先は滑滝が続く。最終水場を過ぎて尾根に取り付き、登り詰めた大凪山は尾根上のマイナーピーク。ここまで登り始めから1時間40分。なんとか上までいかれそうだ。台風が先週までの暑さを持っていってしまったため、それほど暑くもなく快適だが、このあたりからは昨日までの雨でぬかるんでいて歩きにくかった。百曲がりからの急坂を登り終え、稜線に出るとそこにひっそりと餓鬼岳小屋があった。そこから頂上までは5分。道沿いのクロマメが美味かった。到着時刻は下でリミットと考えた2時にドンピシャ。頂上からは360度の大パノラマを満喫した。コースタイムでは、往復11時間半とのことだが、私の今回の山行は、往復5時間半の早駆け山行、時にはこんなのもあり?

私のコースタイム 登山口 10:50 紅葉の滝 11:20 魚止めの滝 11:35 最終水場 11:45 

大凪山 12:33 百曲がり 13:15 餓鬼岳小屋 13:50 餓鬼山頂 13:55 (登り3:05)

山頂発 14:10 大凪山  15:00 登山口着  16:20 (下り2:10)

編集子のひとりごと

新人戦間近。中信の参加者は25名。他地区の情報もお寄せください。(大西 記)