不定期刊行             72号  2003.10.13

中信高校山岳部かわらばん

編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

安全登山研究会学習交流会のお誘い

      ――みんなで山岳部の将来を語り合いませんかーー

中信地区の全高校に聞き慣れない名前の標記通知が届いている(10月8日付けでファックスで送信されているはず)ことと思います。差出人は中信高等学校長会長の青山誠県ヶ丘校長先生と中信地区安全登山研究会委員長の中谷進大町北校長先生(県高体連登山専門部部長)の連名となっています。

この学習交流会について若干補足をいたします。この通知文書には「第1回の安全登山研究会で確認されました、顧問の学習会および活動交流会」と書かれています。今年の7月行なわれた今年度第1回中信地区安全登山研究会は、中谷大町北校長、下岡(大町北)、松田(大町)、小林(白馬)、赤羽(志学館)、大西(木曽)が出席しました。そこでは例年通り、各校の夏山合宿について検討がされましたが、往時に比べてどの学校も山岳部の活動に元気がなくなっていることが報告されました。じり貧傾向の山岳部の活動を前にして、どうしたらいいのかが議題に上りました。そこでは、生徒以前に顧問が元気を出そうということが話題になったわけです。しかし議題が別にあり、時間も一時間半程度と制約のあるこの会議では議論は深まりません。

そこで、活性化の第一歩として、顧問が年に一回くらい、山のことでじっくり一晩膝を交えて話をするような機会を新たにもてないだろうかということになったのです。またどうせ集まるのなら、顧問としての力量を上げるような研修会も設定してはどうだろうかという話に膨らんできたのです。

というわけで、具体的には・・・表向きは研修が主眼だが、親睦も大いに図れるような会にしよう。そしてどうせ集まるのだから、何かお土産を持ち帰れるような会にしよう。みんなが集まりやすいように、授業には影響しないような形で金曜日の夜から土曜日にかけての設定にしよう。とにかく手作りの形で、経費がかからないように合宿所を使用しよう。山岳部の顧問は全員が参加しよう。山岳部に関係したり、興味を持っている人は、現在山岳部を持っていなくても一人でも多く集まれるようにしよう・・・というようなことが決まったのです。

期日は11月14日(金)〜15日(土)。会場は白馬高校、開始時刻は午後6時。授業が終わってから集まれば十分な時間を設定してあります。(秋の夜は長いから、多少遅れても構いません)安全教育という観点からすれば、山岳部のあるなしにかかわらず、この研修については学校長に認めてもらうことができるはずです。というわけで、山岳部の顧問はもちろん、山岳部のない学校でも、ぜひ学校長と掛け合って旅費を出してもらって参加して下さい。また、出張にはならないかもしれませんが、興味のある方は他地区の方でも大歓迎です。一緒に一晩じっくり飲んで、山岳部の将来を語りませんか?

とにかく集まってみませんか。初めの一歩を設定してくれた中信地区安全登山研究会委員長の中谷北高校長先生と下岡事務局長に敬意を表して・・・。

雨の岳沢、上高地放浪――木曽高校秋山山行

計画では11日昼前に学校を出発。上高地から入山し、岳沢入り。12日に岳沢から前穂、奥穂と縦走し、ザイテンを下り涸沢まで。13日は下山。となっていたのだが・・・。初日は予定通り岳沢に入った。紅葉はかなり下の方まで下りてきていたが、もう見ごろを少し過ぎた岳沢のキャンプ場あたりもそれでもまだ見事な錦模様が残っていた。歩き出しが午後1時45分であったが、岳沢に到着したのは4時45分。まだ明るいうちにテントを張り終えることができた。夕食を作っていると隣のテントの住人が、「お嬢さんたち(参加したのは女子が3人と顧問の向井女史、それに私)ちょっと出てきて御覧、素晴らしい景色だよ。」と声をかけてくれた。声に誘われて外に出ると、奥穂から前穂へと続く吊り尾根と明神の岩肌が夕日に赤く染まっている。そして、目の前の紅葉。確かに素晴らしい景色。しばし仕事の手を休め、見とれる生徒たち。その日の食事は、ご飯、さつまいものレモン煮、青椒肉絲、わかめスープ。2年生になった生徒たちのメニューも多彩になってきた。それにしてもこの時期にしては異様ともいえるほどの暖かさだ。

確かに素晴らしい夕焼けだったが、夜半からは土砂降りの雨になった。それでも予定通り3時半起床。びしょ濡れのテントは5時には撤収を終えた。空模様を眺めながら、しばし検討。携帯が通じたのでインターネットに接続して天気の情報を見ると予報では雨。しかし、せっかく来たのだし、雨も少し小降りになったということで、まだ暗い中ヘッドランプを頼りに5時25分に出発した。しかし、30分後雨は猛烈な勢いで降りだした。この先の岩場を考えると、このあたりで決断しないといけないだろう。標高およそ2450m。「山は逃げないから。」正顧問の向井先生の一言で撤退を決定。

下りるにつれて雨は一時の強さはなくなったものの、上部はガスがかかって見えない。せっかくだからと明神まで足を延ばした。そうこうして時間をつぶし、小梨平についたころには、なんと雨も上がった。「これは?早まったか。」と思ったが、仕方ない。梓川を見ながら、夕食で食べる予定だったチャーハン、たまごスープ、じゃがバターを作って昼飯にした。駐車場に着くとタクシー待ちのお客が長蛇の列。なんといっても紅葉シーズン真っ盛りの3連休の中日。停まっているタクシーはすべて予約車で列は少しも進まない。これは、えらいことだと思ったが、昨日乗ったタクシードライバーに携帯番号入りの名刺をもらっていたので、無理を承知で電話してみた。案の定、大型バスが詰まって大渋滞中とのこと。それでも「どのくらいかかるかはわからないが、同じ会社のタクシーで一番先に駐車場に入る車に予約を入れるから」とのありがたい返事。結局、待ち時間は20分ほどで済んだ。よかった、よかった。ところが、下るにつれて青空は広がる。若干の後悔を残しながらの下山になった・・・。と思いきや翌13日の松本地方は朝からバケツをひっくり返したような雨。結果的には撤退が大正解。こんなこともあるわな。

編集子のひとりごと

連休中、どこかに入山した学校はあったでしょうか?それまではずっと天気がよかったのに、連休に合わせたかのように荒天になりました。木曽高校の山行はそんなわけで、大きい荷物を背負ってのただの紅葉狩りになってしまいました。それでも生徒たちは美しい景色には満足。来年また行こうと、もうリベンジに燃えています。(大西 記)