不定期刊行             73号  2003.11.9

中信高校山岳部かわらばん

    編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

58回静岡国体――選手の頑張りで・・・2位になれました。

10月25日から28日にかけて静岡県水窪町で第58回国体が行なわれた。この国体に長野県からは予選を勝ち抜いた成年男女、少年男子が出場した。昨年までとは順位の出し方も変わり、従来の種別順位にかわり、種目(縦走、クライミング)ごとに順位が付けられることになった。

知らない人のためにここでミニ知識。どの種別(成年男女、少年男女の4つ)も種目は縦走とクライミングの2種目が行なわれるが、今年からは上述のように、そのそれぞれで順位がつけられるようになった。チームは3名で構成されており、それぞれの種目にはおのおの2人が出場(一人は2種目をこなす)する。クライミングは予選を行ない、上位8チームが決勝に進出するが、順位はチーム二人の到達高度の合計で決定する。また縦走は、指定のコースを指定の負荷重量を背負って競い、各チーム二人の合計タイムを出して争う。昨年まで(ブロック大会は今年も)は、その上で種目ごとの順位の合計点を出し、それが少ないところが上位となる方法で山岳競技の順位として出していた。

さて、我が少年男子のメンバーは岡谷工業の村主監督が率い、岡谷工業の牛山徳仁君(C)、中野実業の嘉部安紘君(T)、美須々ヶ丘の望月悠太郎君(C、T)。ここに来てクライミングの技術も向上し、期待されたが、結果はクライミング15位、縦走14位と全国の壁は厚かった。しかし、若い高校生の技術の伸びはめざましいものがある。ジュニアの育成も含め、今後に大いに期待したい。なお、北信越では、新潟の少年男子が縦走で見事優勝、同女子が4位と活躍した。おめでとうございます。

一方、私が監督を任された成年女子は、おかげさまで縦走2位と昨年(8位)に続き2年連続入賞を果たした。種目ごとの成績が出されたことも相俟って、嬉しい入賞であった。選手の一人松岡由里さんは、今は飯山の特別養護老人ホームで働いているが、高校時代福島国体に参加しており、僕はその時も監督であった。彼女と本国体に参加するのは、これで3度目となる。初日に行なわれたクライミングでは、残念ながら決勝進出を果たすことができなかったが、気を取り直して臨んだ2種目目の縦走競技。もう一人の選手は信大職員の竹内淳子選手。10時30分、日向では汗ばむほどの陽気の中、12キロの荷を背負った選手たちが一斉にスタート。監督の僕は他県の監督らとともにバスでゴール会場に向かった。給水所で観戦をしていた浮須国体委員長から途中経過が入り、3キロ地点では竹内選手が4位、松岡選手が9位ということを聞き期待が膨らんだ。ここからは腿に手を置きながらでなければ登れないような急な山道が続く。錬成の時、僕も歩いているが、階段なども沢山あり、過酷な道だ。長い登りのあとの僅かな平たん地、そしてまた長い登りの繰返しで、直線距離で2キロの間に750m上がる。そして山の頂上に出たところからゴールまでは急坂を標高差で80m駆けおりる。このコースを錬成中に松岡選手は72分、竹内選手は故障していたため無負荷で流して60分という記録を出しており、優勝タイムは60分台前半だろうと予測できた。昨年優勝の広島、2位の京都あたりが今年も強そうな中、長野も二人が60分台を出せば十分入賞圏内だろうと踏んで臨んでいた。

時計の針が60分を回ったとき、成年女子トップ京都の選手が間もなくゴールするとの情報がアナウンスされた。ゴールタイムは63分18秒6。ほぼ予想通りの好記録だ。続いて広島、岡山の選手がゴール。3位の岡山に約30秒差で竹内選手が4位65分16秒4で入った。いい調子だ。続いて5位埼玉、6位静岡がゴールする。会場アナウンスでは次は富山、長野、岡山、広島の順と告げている。ゴール前の直線で猛烈にスパートした松岡選手が最後わずかに富山の選手をかわし、7位67分26秒1のタイムではいった。続いて岡山、広島。この時点ではっきりしたタイムこそわからないものの、トップで入った京都の2番手が14位と沈んだため、優勝は2人が上位にくい込んだ岡山、長野、広島で争うことになっただろうと確信した。結局、9位の岡山の選手が67分33秒0というタイムだったため岡山が優勝、広島が3位。長野はその間に割って入り見事2位であった。岡山とは22秒9の差、得点にして0.288という僅差、また3位の広島との差も16秒5、0.206点差という接戦であった。(ちなみに得点は一位のチームのタイムを自チームのタイムで割って100をかけて算出するのです。)クライミングで頑張ってくれた堀江選手も含め、3選手のがんばりに感謝です。どうもありがとうございました。

雨の岳沢、上高地放浪――木曽高校秋山山行

10月21日火曜日、木曽高校定時制アウトドア部の今年度の第4回目の活動を、木祖村の水木沢天然林で行なった。参加したのは生徒8名、引率3名。9時30分学校を出発し、10時水木沢天然林管理棟に到着。案内によるとここ水木沢は、木祖村と木曽福島町の境にある富士(1984m)から流れ出て笹川に流入するまでのわずか2.5kmの小さな流れだそうだ。しかしそんな小支流でありながらも、流域には樹齢200年を越えるヒノキ、サワラ、ブナ、トチ、ウラジロモミなどの針葉樹と広葉樹が混交して成育し、貴重な森林資源となっている。

 その一部が原始の森、太古の森と名付けられ遊歩道でつなげられている。沢筋には巨大なサワラやブナがそして尾根筋にはヒノキが天に向かって枝を広げていた。その森の遊歩道をおよそ2時間かけて、ゆっくりとめぐった。ブナなどの広葉樹はちょうど紅葉の盛りで、秋の太陽の光を受けて金色に輝いていた。足もとには落ち葉が敷き詰められ、クッションも気持ち良い。所々に設置された熊除けの鐘をならしながらの森林浴。なんともぜいたくな時間の過ごし方だ。途中の展望台からは駒ヶ岳が大きく望めた。木曽五木といわれるヒノキ、サワラ、ネズコなどの見分け方などを生徒に話しながら、またいろんな話をしながら、木々の声に耳を澄ませた。

 その後は、こだまの森に移動して、すき焼き大会。用意した牛肉三キロと野菜、そして最後の仕上げのうどんまですべて平らげた。野外でのこうした活動は本当に楽しいもの。ニオイにつられてやってきた管理人のおばさんも「いいことやってるねぇ。」とニッコリ。これがまた楽しい一時。最後は晴雲荘で入浴をし、一日の汗を流して、学校へそのあと、授業に出たのはもちろんである。次回は、11月中旬を予定している。

編集子のひとりごと

今週末は中信地区の安全登山研究会学習交流会。他地区や県外の方でも、参加できる方、興味ある方はどうぞ。みんなで山を肴に大いに語り、研修しましょう。(大西 記)