不定期刊行             85号  2004.2.19

中信高校山岳部かわらばん

   編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

焼岳下堀沢山スキーの犯人は?

 先日霞沢に登ったときのこと、梓川の対岸、焼岳の下堀沢に一筋のスキーのトレースと

シュプール。何者かが入山した痕跡があった。我らが大西英樹氏は、山スキーにはまっているので、行く先が焼岳から変更になり、霞沢に決まってからも、焼岳の山スキー情報を僕に送ってくれたりしていた。それが、目の前に一筋の道。気にならないはずがない。たまたま今月号の岳人にも焼岳の山スキーが載っていたりもしたので、そんなことも手伝って、しばしスキー談義に花が咲いた。堰堤はジャンプできそう?とかなんとか・・・ところで、一体誰が登ったのか?昨日ちょっと用事があって、山岳総合センターの加々美主事と電話で話をしていたら、実はその何者かがつけたスキーの痕跡の犯人?が加々美氏であると判明。彼が入ったのは、我々が霞沢に入った前日の13日金曜日のこと、道理でしっかり残っているはずだ。「興味があるので、レポートをしてよ。」と言ったら、早速送ってくれたので、紹介します。誰か暇見て、今度滑りに行かない?

お電話の焼岳山スキーの件についてレポします。2月13日(金)天気:晴れ

予報では「1日穏やかな天気」とのことで焼岳へ行くことにする。中ノ湯バス停(釜トン入り口)の路肩は、正月には車が停められたのに、新聞報道にあったごとく「登山者の違法駐車」問題により、路肩全てガードレールとロープで駐車禁止にしてあり、8:00出発の予定が大幅に遅れることになる(坂巻温泉8:00発、中ノ湯売店9:00)。30分で釜トンネルを抜け、シールを貼って梓川の河原に9:40(釜トン出口より旧道をやや下り、旧釜トン出口付近から河床へ滑り込む)。

目の前のスノーブリッジが渡れそうなので、早速梓川右岸に渡ってしまい、右岸沿いに下堀沢を目指す。下堀沢まで約30分(既に10:10)。下堀沢には3つ堰堤があるが、目の前の一番下の堰堤はほとんど雪に埋もれているが、2番目の堰堤はだいぶ高そう。下堀沢右岸(南側)の尾根を登高。取り付き部分20mほど急斜面で苦労するが、その上はキックターンの繰り返しで問題なく登れる(トレースはあったが、ほとんど埋もれていて一人でのラッセルになる。というより、トレースの上に30cmほどパウダーが乗っており、シールが滑る)。

標高差200mほど登ると斜度が落ち、休憩(11:00頃)。なるい斜面を1時間ほど登るがラッセルに苦しみまだ下堀沢にはつかない。途中、下堀沢の核心部分をのぞき込んで確認すると、デブリはないが気温が上昇し左岸から落石が・・・。既に12:00を回ってしまった。休憩。リンドウ平を過ぎると太陽熱で解けた雪がシールにダンゴとなり重い。下堀沢との出会い(ほとんど雪で埋まっており、問題なく沢に入れる)で一思案。時間的に、下堀沢が滑れないとすると早めに引き返した方が良いが・・・、雪は安定しており雪崩は大丈夫そうである。よって下堀沢をつめることにする。

上部では南峰から本日のものと思われるデブリがあるが、デブリの方がシールにダンゴが出来にくいので失礼してデブリの上を登高。北峰と南峰のコルに14:20、疲れた。予定よりだいぶ時間がかかってしまったので、ピッケルとアイゼンを持ってきたが北峰登頂はあきらめて滑降準備。

14:40滑降開始。東向き斜面のため既にややクラストし始めているが問題はなく快適な斜面。リンドウ平からの往路と分かれて下堀沢へ滑り込むと、油断して転倒(右岸はパウダー左岸は解けて重い雪)。この時踏ん張ったため足がつる。しかたなく休憩して糖分とスポーツドリンクの補給。下堀沢の核心部はノドになっていてその手前がやや急斜面。慎重にターンして核心部を通過すると、なんと今朝方の下堀沢右岸とっつき口がそこ(とは言っても2kmほどあるが)に見えるではないか、それも初心者向きの緩斜面。拍子抜けしてしまうほどあっけなく通過。上の堰堤があることを知っていなければそのまま飛び越してしまう(2mほど段差はある)くらい。但し、2番目の堰堤は左岸をやや(2〜3m)上ってトラバースで抜ける。そこから左岸の段丘状斜面を滑ると一番下の堰堤は通らず今朝の取っつき口に出る(15:20)。途中で休まなければコルから30分もかからず下ってしまう斜面ということだ。そこから往路をたどり、釜トン上16:00。坂巻温泉17:00。

カシタシ主峰登山隊報告書 県内全高校に贈呈します

信高山岳会の会長松田大氏、下岡英樹氏、それに小生の三人で17日、県教委を訪問した。このカシタシ遠征には県教委にも後援して頂いていたわけだが、遅すぎた報告書の完成を伝え、やっと一区切りと、お礼を申し上げた。同時に県内の公立私立を問わず全高校にこの報告書を贈呈するため、108冊の報告書を預けてきた。全県の校長会が行なわれるのが4月になるとのことで、配布は年度が変わってからになってしまうかもしれないがということだったが、県教委では、各校校長を通して、県内全高校に配布して下さるとのこと。各校の図書館に配備されることになる。

前回の報告書「夢 はばたけ 未踏峰 カシタシめざして」もすでに全高校に配布してある。いずれも「高校生に夢」をもってもらえる一冊だと自負しています。先生方もぜひお読みの上、生徒にもご紹介ください。

編集子のひとりごと

◆まさかこんなに身近なところに犯人がいたとは・・・。加々美氏のスキー報告楽しそう。まだちょっと早いかなという感じだったが、ぼつぼつ山スキーに最適の季節がやってくる。焼岳が、僕の頭の中では急速に気になる存在になってきてしまった。日帰りが十分可能だから、3月になったら天気を見ながら、エイヤーって感じでできそうだ。と、同時に春休みの生徒との活動もそろそろ具体化していかねば・・・。

◆今日から私が担任として4年間持ち上げてきた生徒が自宅研修にはいった。昨年3月の卒業式、一緒に入学してきた全日の生徒が一年先に卒業していくのを見て「みんな卒業しちゃうんだね」という一言をつぶやいた生徒の一言がずっと心にひっかかりながらの「もう一年」だった。言うは易く行なうは難いのが定時制生活である。不登校経験者が多く、入学した時は、人間関係の構築に苦労した彼ら、彼女ら。4年生9人のうち4人が僕の誘いで、今年アウトドア部に籍をおいた。同級生が卒業しちゃってからの「もう一年」、この生徒たちはアウトドア活動を通して大きく成長した。不登校だった彼らが別れを惜しみ、自宅研修になってからも毎日学校にやってくるのが嬉しい。(大西 記)