不定期刊行             88号  2004.3.13

中信高校山岳部かわらばん

   編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

岳人4月号を御覧あれ・・・今長野県高校山岳部の実情は?その2

「岳人」4月号が、店頭に並ぶより一足早く、同誌編集部より直接送られてきた。今回の第1特集は「山登り一年生」というものだが、その中に「様々な制約のなかで頑張っている高校山岳部と顧問たち」という標題で拙文を掲載して頂いている。

本文を補完する写真は松田大(大町高)、加々美隆(山岳センター)、筒井清(木曽高)の3名に提供していただいて、長野県内の実情を全国に紹介した。内容は「年々衰退している県内山岳部の状況の中で、『元気を出すにはどうしたらよいか』ということを、現に活発な活動をしている大町高校、大町北高校、それに木曽高校(ここが活発かはちょっとクエスチョンですが・・・)の三校をとりあげて記述したもの」だ。一体どんなことを書いたのか?だって、まだ岳人誌が店頭に並んでいない今はまだ、秘密にしておこう。詳しくはぜひ岳人誌を購入して読んでもらいたいから・・・。

特集記事の中では、一見ちょっと異質な感じがするが、思えば、我々は山岳部の門をたたいて新たな世界に飛び込んでくる「山登り一年生」に日夜接しているわけで、その一年生たちに魅力あるアウトドアの世界をどう紹介し、どう引き込むかが常に問われているということができる。そんな中で、我々指導する教師自身が、その魅力ある世界の魅力を知ることこそ今一番問われていることではないのか?実は岳人誌から原稿依頼をされたときに、改めてこのことを確認し、大町の松田さんや大町北の下岡さんのやっていることを県内ばかりか全国に発信することは意味あることじゃないのかと思って書いてみたのだった。字数の関係でやや舌足らずになっているのでわかりにくい側面もあろうが、私の気持ちは十分わかっていただける記事になっていると自負している。

とはいうものの、本音をいえば・・・、依頼されたときは木曽高校のことを中心に書いて下さいということだったのですが、ちょっとそれだけで原稿にするのには自信がなかったので、松田さんや下岡さんのやっていることをお借りしたというのが真相。でも、ソトから他人が見たクラブ活動の様子というのも意外と核心をついているでしょ?ネッ、大さん、下岡さん!

岳人をお読みになっての感想などあればお寄せ下さい。そして、これがまた新年度のクラブ活動の一つの起爆剤となれば幸いです。また新たな生徒発掘の時期になってきました。4月の新1年生ゲットのために、使っていただいても結構です。

モノクロの迫力・・・穂苅三寿雄作品展 「北アルプス黎明」より

 前号で紹介した写真展を観に行ってきた。大正末期から昭和にかけての貴重な写真の数々。黒煙を噴き上げる大正14年の焼岳の噴火や小槍を攀じる登攀者のいでたちなどに時代を感じさせられた。しかし、そこに映し出されたモノは、今から70年以上も前に撮影されたモノトーンの世界でありながら、ビジュアルで色つきの世界に慣れた僕にとっても、少しも古めかしさを感じさせないばかりか、ある種の力をもって迫ってきた。白黒だからこそ感じられる奥行きの深さ。見れば見るほど味わいがある。

今と少しも変わらないように見える槍穂高、白馬、笠ヶ岳、常念、剣立山、黒部五郎・・・。そんな中、僕の心を引いた一枚の写真は、今はもう行きたくとも簡単には行けない一ノ俣谷の写真だ。僕にとってこの谷は、常念小屋にいたころ、橋をかけたり、道普請したりしたり、時にはガイドをしたりもした思い出の谷である。しかしこの歴史ある道も吊り橋が流され、そのまま廃道になって久しい。喜作新道が開かれる前は、ここが槍へ行くメインの道だったのだ。まさに知る人ぞ知るだけれど・・・。山は変わらないようでいながら、人との関わりの上では、大きく変わっている。まさに歴史を語る写真たちでもある。

展示されている写真は、すぐにそれと知れる蔵王のモンスターを撮った一点をのぞき、どれも北アルプスの写真であることもあり、非常に親近感をもって楽しめた。

会場には、三寿雄氏のお孫さんにあたる現槍ヶ岳山荘社長穂苅康治氏夫妻やご子息もおられた。穂苅氏曰く「先日、(大町の)松田先生もお見えになりました。」と。「せっかくの写真展ですからあちこちの高校の先生方にも紹介させて頂きました。」と僕。会期は明日までということで忙しいご案内ですが、まだ観に行かれていない方、都合のつく方、ぜひ足を運んでみて下さい。

で、観たいけれども、どうしても都合のつかない人、それからメールを見るのが遅れて後の祭りだったという人、FAXで受け取っているので月曜日になっちゃった人は、写真は小さくなっちゃうけれど、信毎から出版されている「北アルプス黎明――穂苅三寿雄ガラス乾板写真集」でこの素晴らしい世界に触れてください。展示されている写真以外の写真もこの本にはある。でもね、僕はこの写真集も持っているけれど、やっぱり大きい写真は迫力があったなぁ。

編集子のひとりごと

飲み会のシーズンである。今週木曜日、教科の送別会の帰りがけ、ちょっとした自分の不注意と人迷惑な御仁のせいでケガをさせられた。電車に乗ろうと塩尻駅構内で、階段を下っていた編集子は、下から猛烈な勢いで駆け上がってきた御仁と接触した。酔っぱらってもいたので、転倒した編集子は、ぶつかった拍子に階段を数段踏み外し、左足首の靱帯を損傷。なんたること、ギプスに松葉杖の生活と相成ってしまった。ギプスが取れるまでに3週間、結果しばらく山へは行けそうにない。春休みを迎え、来週は延び延びとなっていた木曽高校の生徒たちと雪の美ヶ原へ出かけ、再来週は信高山岳会の仲間と栂池から蓮華温泉へのスキーツアー。さらには好天を狙っての焼岳山スキーなどなど・・・。かわらばんでも楽しい山情報をレポートできるとずっと楽しみにしていたのに・・・。

当面は、編集子に変わってどなたか山行記録をお寄せ下さい。でも、そんなの見ればフラストレーションで、ますますイライラが募るばかりだろうなー。山は呼ぶ呼ぶ。何とも悔しい一瞬の出来事だった。それにしてもあの時、30年配の私にぶつかっていった御仁は、詫びの一言もなく階段を駆け上がっていってしまった。こちとらはひどい目にあっているというのに、許せない!!!といって、怒りの持って行き場もない!情けなくも悔しさでなんとも切ない。

今11時、NHKの再放送「黒部幻の大滝」が終わったところ。皆さん見ましたか?そんなのを見ると、ますます動かせぬ足が恨めしい。(大西 記)