不定期刊行             101号   2004.7.4

中信高校山岳部かわらばん

  編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

上田高校文化祭でクライミングウォール公開

上田高校山岳班では、来る10日から12日に行われる同校の文化祭でクライミングウォールを設置し、一般にもクライミングの体験をしてもらうべく準備を進めている。

実現までのいきさつは次の通りだ。5月のある日、山岳班のある生徒がクライミングウォールを文化祭の場で設置できないかと、アートウォールの森山議雄さんに相談した。森山さんは、かわらばんでも何回もご紹介しているが、長山協の副会長で、ボードの設計、設置を手掛け、ルートセッターであり、すぐれたクライマーであり、すぐれた指導者であり、開拓者であり、ジムの経営者であり・・・と、クライミングの世界ではトータルとして日本の第一人者である。彼が森山さんのところにお願いをしたのは、昨年の県大会でクライミングを体験したことに端を発している。高体連の県大会では、森山さんに随分お骨折りを頂いて、昨年、一昨年とボードを設置したのは皆さんご承知の通り。彼にとっては、そこで体験したクライミングは非常に楽しいものだった。そして、その体験がこの話へとつながってきているわけだ。

この生徒から話をうけた森山さんは、「それならばぜひ実現のお手伝いをしましょう」ということで、前向きに受け止めてくれ、長山協の事務局長の僕に話をしてくれた。長山協では国体委員会が中心となってジュニア委員会・クライミング委員会とともに動いて、昨年度県体育協会から強化策の一環として予算をつけて頂き、森山さんの設計になる移動式ウォールを購入した経過がある。そのウォールが今は岡谷工業に保管してある。それを使えばいかがかというわけだ。生徒から森山さんへ、そして森山さんから連絡を受けて僕が仲立ちとなって上田高校顧問の西牧さん、柳沢さんへと話はトントン拍子に進んで来た。

今から10年以上前、山口先生が上田東高校で、また私が美須々丘高校でそれぞれ文化祭の時に壁を設置し、一般公開したことがあったが、それ以来しばらくこういった話はなかった。久々の企画である。それも、今回は生徒の方から出てきた話によって実現しそうであるということが何より嬉しい。当日は近隣から多くの方が訪れて盛り上がるといいと思う。東信地区の先生方、是非生徒に一声かけてみてください。そして自身でも出かけていって体験してください。ちなみに、上田高校文化祭での一般公開は10日(土)の午後から11日(日)の16:30までの予定だそうだ。今日4日、森山さんのご尽力で壁は設置されたはず。興味のある方は上田高校の山岳部顧問、西牧さんまたは柳沢さんまでお問い合わせ下さい。

14年目の経ヶ岳・・・6/26黒沢登山道、7/4幻の七滝整備作業

1991年5月、長山協の30周年記念事業、信高山岳会10周年記念事業として「高校生に夢を」の一環として始まった経ヶ岳黒沢谷登山道の修復事業も14年目を迎えた。始めた当時は、諏訪営林署(当時)伐採林道は途中まであったが、登山道は全くの廃道になっており、修復とは名ばかりで、ほとんど開拓といった方がふさわしい有り様だった。下部の沢沿いの道には橋をかけ、切り通しの道をトンガ(唐鍬)や鋤簾で整備、尾根筋は背丈を遙かに超える笹藪にビーバーと鉈鎌で立ち向かった。作業日数34日、延べ179人(実数68人)の汗と涙が結晶し、2年越しで山頂まで道は通じた。1992年10月24日、地元横川地区生活改善センターでは完成祝賀会が催され、以後10年間は主管の信高山岳会が管理整備し、毎年7月第2土曜、日曜を「一斉登山日」と決めたのだった。そんな事業であるが、年を追うにつれ道は年々道らしくなってきた。ことに尾根上は毎年笹刈りが大変であったが、昨年は南信森林管理所が請け負ってくださり、長年の苦労も報われた。ちなみに請負料は1mあたり300円とのこと。(驚きですねぇ!)一つのことを続けることにより、そこに次第に多くの人が関わり、そのことが認められてきたというのは、本当に嬉しくも有り難いことだ。

その後、「一斉登山日」を発展的に変え、毎年海の日には、地元辰野町などのご援助で、開山祭が行われるようになった。その開山祭も今年で9回目になる。開山祭では豚汁やおやきが振る舞われ、記念登山も僕らが開いた登山道から経ヶ岳に登る健脚向きのコースの他に、「幻の七滝」へのコースなども加えて、老若男女を問わず楽しめる内容になっている。こうして実質的には町の運営になっても、実行委員長は信高山岳会の伊澤利幸顧問がつとめ、主管はあくまで信高山岳会と我々をたてて進めてくれている。

さて、その開山祭を前に今年も2回にわたり登山道整備が行われた。6月26日には黒沢谷登山道の整備、4日は幻の七滝への登山道の修復作業であった。26日は、信高山岳会から6人(伊沢、川島、松田、竹内、大西英樹、僕)、地元から9人の計15人が参加。橋の架け替え班と上部笹刈り班に分かれて作業。僕はビーバーを抱えて上部に向かったが、昨年のm300円の笹刈りの効果は絶大で、ほとんど手を入れる必要はなかった。かつては笹に足をとられた道も今や誰が見ても立派な登山道である。下の沢での作業は「2本ほど立派な橋をかけかえた。」とチェーンソーを持ってきた大さんは出番があってご満悦。昨年は、残念ながら開山祭当日は梅雨末期の集中豪雨で登山そのものは中止のやむなきにいたっただけに、なんとか当日多くの人にこの道を歩いてもらいたい。

第2回目の4日の作業は、幻の七滝までの道の整備である。黒沢谷のさらに奥の仏谷の沢にその滝はある。僕は実はこの滝へ行くのははじめてのことだった。例によって朝5時に集合。本日の参加者は信高から川島、筒井、僕の木曽高トリオ。地元からは飯沢さん、小沢さん、吉江さん、田中さん。計7名。林道を大滝沢の詰めまで車で入り、ビーバー隊、案内板取り付け・崩落修復隊に分かれ、作業に入った。人数が少なかったため予想外に時間がかかったが、一年ぶりに立派な道が復活した。滝に到着したのは11時過ぎ。初めて見た七滝は、その名の通り七段になっていて見事なものだった。最上部までは時間、道具等諸般の事情で行かれなかったが、五段目ぐらいまで見通せる二段目のテラスまで登った。梅雨時の今は水量も多く、予想を遙かに超える迫力であった。地元の人にとっても、「かつては口伝えの文字通り幻の滝であった」とは飯澤さんから聞いた。実働8時間。マイナスイオンをたっぷり浴びて、心身共にリフレッシュ。疲れた体は麓の温泉(かやぶきの館)で癒した。19日の開山祭、ぜひお越し下さい。

編集子のひとりごと

各校夏の準備は進んでいるだろうか?今年も中信安全登山研究会の日が近づいて来た。7月15日、中信地区の先生方、各校の山情報をもって集まろう。(大西 記)