不定期刊行 第106号 2004.7.20
中信高校山岳部かわらばん
編集責任者 大西 浩
木曽高等学校定時制
「中信安全登山研究会」報告その1 大町高校の全校登山
中信安全登山研究会では、各校山岳部の夏山計画の検討とともに、集団登山についても検討される。僕の高校時代は、クラス登山は当たり前のものだったが、今や集団登山ということばを聞くのは、この会の時をおいてほかにはない。それだけにこういったことを続けていることには深く敬意を表したくなる。やっているところは白馬高校、大町高校、大町北高校、池田工業高校と大北地区の高校に限られるが、山を間近に控えたところならではのこの行事が、途絶えることなく続くことには大きな意味がある。
なかでも大町高校は3年間3回全校生徒が登山をする。こんな学校は全国広しといえども、他には例がないのではないだろうか。大町に入れば全校登山がある。生徒もそういうものだと思っている。大町高校ではこの全校登山が終わって夏休みとなる。したがって2泊3日のコースは他のコースに先駆け、一日早く7月26日に出発し、1泊2日のコースは7月27日に出発となっている。帰校はいずれのコースも28日である。この期間全校教員34.5人のうち31人が引率するとのこと。9割以上の教師が生徒と山には入るというのは、それだけで驚愕に値する。そしてこれを行うにあたって基本的にはすべてのコースで下見も行っているという。だから、余談ではあるが、大町高校の会議出席者・・・今年は松田さん・・・に聞けば北アルプスの今年の状況はすべて手に入るといっても過言ではなく、その意味でもこの会議は貴重である。
しかし、表にも挙げたように、なぜこんなことがこの時代に続けることが可能なのか。その理由の一つには山岳部OBの協力があり、これこそが陰の大きな力になっている。当事者ではないので、詳しくはわからないが、学校登山の伝統とそれを支える山岳部のOB会がうまく作用しているのだろう。伝統という一言だけでは片付けられないとてつもないおばけ行事であるといえよう。おそるべき、大町高校である。以下に、今年で57回目を迎えた大町の全校登山のコースのあらましを紹介する。
コース名 |
泊数 |
生徒数 |
職員 |
OB |
交通 |
唐松岳 |
1泊2日 |
男 0 女54 |
4 |
3 |
貸し切りバス・ゴンドラ |
白馬岳 |
1泊2日 |
男38 女54 |
5 |
4 |
貸し切りバス・ゴンドラ |
五竜岳 |
1泊2日 |
男32 女26 |
3 |
3 |
貸し切りバス・ゴンドラ |
針ノ木岳 |
1泊2日 |
男10 女 6 |
3 |
1 |
タクシー |
燕岳 |
1泊2日 |
男39 女38 |
4 |
3 |
貸し切りバス |
常念岳から燕岳 |
1泊2日 |
男49 女 0 |
3 |
2 |
タクシー・貸し切りバス |
蝶ヶ岳 |
1泊2日 |
男26 女42 |
4 |
3 |
タクシー・貸し切りバス |
鹿島から針ノ木岳 |
2泊3日 |
男12 女 3 |
2 |
2 |
タクシー |
燕岳から槍ヶ岳 |
2泊3日 |
男41 女 6 |
3 |
2 |
タクシー・貸し切りバス |
学校 |
|
男
8 女13 |
|
|
|
学校登山については他に、白馬、五竜、唐松をフィールドに4コースで行われる白馬高校の学年登山、雨飾山で行われる大町北高校の学校登山の内容が検討された。
「中信安全登山研究会」報告その2 山岳部の活動など
今年の中信地区の山岳部の夏山は以下の通りだ。といっても詳細のわからない学校もあるが・・・。先日久根さんと話をしていたら、風越は8月8日から10日まで涸沢に入るとか言っていた。大町、木曽とも同時期だ。こんな情報が事前にあると、孔子ではないが、「また楽しからずや」である。何か交流ができれば面白い。中信地区のこれ以外の学校、また県内他地区の学校の計画はどんなでしょう。ご一報下されば幸いです。
学校名 |
場所 |
期日 |
備考 |
大町北 |
裏銀座 |
8月11日から15日 |
|
大町 |
インターハイ島根 涸沢定着 |
7月29日から8月6日 8月7日から9日 |
下見含む |
池田工業 |
雨飾山 |
未定 |
|
松本県ヶ丘 |
美ヶ原 常念岳から蝶ヶ岳 新穂高から槍ヶ岳 |
7月18日から19日 7月26日から27日 8月2日から4日 |
夏山訓練T 夏山訓練U 夏山縦走 |
木曽 |
涸沢から奥穂高岳 |
8月8日から9日 |
|
このほか会議では、昨年初めて行われた「顧問交流会」を今年も開くことで一致。10月終わりから11月第2週ごろのしかるべきときにしかるべき場所で、一晩じっくり飲みながら語り、翌日はレスキューなどを交流し合おうということになった。その時にはとにかく一人でも多くの先生方に参加してほしいと願う。
そのほか保険の問題、保護者への連絡、旅費の問題などかなり踏み込んだ議論がされた。保険については県大会の閉会式の時に日山協の共済についてPRしたが、中信地区ではいくつかの学校が加入している。まさに転ばぬ先の杖である。かわらばんを書き始めた頃には、その都度旅行保険にはいっている学校はあったが、それすら少数であった。その意味では、この3年間訴えてきたことにより、少しでも役に立てたと思うと嬉しくなる。しかし、それ以外の問題については、学校の実情や顧問の思惑もあり、ここでこれらについて統一した見解をまとめるには至らなかった。しかし引率の責任問題などについては、法的なことも含め、僕ら自身これからはいろんな勉強をしていかねばならないという思いを強くもった会議だった。こんなことももっと多くの顧問の集まる「顧問交流会」で話題にできたらと思った。そんなこんなで、繰り返しになるが意義ある会議であった。
編集子のひとりごと
今年は様々な事情から私自身はあまり積極的に関わってはいないのだが、北信越国体が間近に迫ってきた。今年も宮本先生にお願いして中野実業のクロス部の生徒の力を借りながらも、山岳部の生徒も美須々ヶ丘、岡谷工業、木曽から3人がエントリーしている。監督は岡谷工業の村主先生と長野高専の三尾先生。それを国体委員長の浮須先生が全面的にフォローし、山岳協会としても競技部を中心にバックアップしてきた。選手は少ない練習時間と慣れない競技の狭間で本当に頑張っている。僕はせめて少しでもお手伝いしたいと思い、今日木曽高の女子クライミング選手の小松さんと先日開拓した権現滝の岩場で最後の調整をしてきた。選手団は明日石川県に向けて出発する。(大西 記)