不定期刊行            107号    2004.7.26

中信高校山岳部かわらばん

   編集責任者 大西 浩

                      木曽高等学校定時制

第9回横川渓谷(経ヶ岳)開山祭

19日は海の日、恒例の横川渓谷開山祭の日である。今年で9回目のこの日のために経ヶ岳や幻の七滝への登山道の修復作業をしてきた様子はすでに書いた。午前6時、集合場所の大洞林道の広場には応募してきた20人の一般登山者が三々五々集まってきた。昨年はせっかく立派な橋を13本もかけ、笹刈りも森林組合に請け負ってもらいながら、雨で中止になっただけに、実行委員会の思いも一入である。私自身にとっても今年は2年ぶりの経ヶ岳登山であり、楽しみでもある。サポートをするのは信高からは高橋、久根、星野の3人と僕、地元からは永原さんと若尾さんの都合6人。先導を僕が努め、久根さんとともにぺースを作っていく。殿は高橋、星野の両名で、地元のお二人には真ん中で、遊撃隊となっていただいた。このコースは健脚向きの長いコースで、過去の開山祭では、全員が頂上まで到達したことはない。登山口で実行委員長の伊沢さんの「全員登頂を目指してください」ということばに身がひきしまる思いである。

6時45分出発。三級の滝の迫力ある姿を見、沢音を聞き、昨年架けた13本の橋たちを慈しみながら林道の出会いまで、休憩を一本入れてゆっくりゆっくり登り切る。ここからは急坂の尾根道である。一歩一歩を刻みつつ、背後に登山者の息を感じながら、登っていく。かつて登山道を開いたとき、何日も過ごしたテント場は、確実に自然に戻りつつあるが、そこを過ぎるときには、当時の苦労がまるで昨日のことのように頭に浮かぶ。尾根まではあと一息だ。尾根上の岩場で三回目の休息をとるが、正面の経ヶ岳はまだまだ遙か彼方である。天気は上々、ここからしばらくは稜線漫歩、およそ30分で黒沢山分岐に到着した。希望者には黒沢山に行ってもらうことにし、しばし休息。登山道が長いことを実感するのはここからだ。経ヶ岳9合目直下の主稜線との出会いまでは1時間5分。途中の3回のアップダウンは、精神的にも一際応える難所である。しかしながら、20名の登山者はここまでは落後することなく登り切った。こうなれば、全員登頂は確実だ。最後のワンピッチは40分。ついに9回目にして記念登山参加者全員の登頂が成った。参加者たちはみな満足げである。実行委員長の伊沢さんにその旨を連絡。下でも随分喜んでいるようである。

とはいえ、経ヶ岳の山頂そのものは、眺望は今イチのうえ、ヤブ蚊の大群がいたため、早々に退散し、帰路である大泉ダムへの道へと下り始め、クガイソウ、ヤナギラン、ウツボグサ、ミヤマシシウド夏の花が出迎えてくれる8合目の展望台で大休止。その後長い下山路をひたすら下り、迎えの川島さんとマイクロバスの待つ大泉ダムに到着したのは4時45分。正味10時間の結構ハードな登山であった。駐車場まで戻ると、実行委員会の皆さんが豚汁とオヤキで、熱烈な歓迎をしてくれ、疲れもいっぺんに吹っ飛んだ。最後はお決まりのかやぶきの館で一風呂。七滝コースへ行った勝野さんと、実行委員長の伊沢さんが我らの到着を今や遅しと待っていてくれた。

来年は記念すべき第10回の開山祭である。信高山岳会の会員は当然!だが、それ以外の皆さんもぜひこのいい山をお訪ねください。

クライミングと権現滝の清流で冷やしたそうめんの一日

 20日は木曽高校は、文化祭の代休日であった。そこで、先に開拓した岩場を使って、標記の集いを企画した。僕の当初の目論見では、5人も参加してくれれば御の字ということで、「クライミング体験」ばかりでなく、「冷やかし歓迎」「滝の水で冷やしたそうめんを食べるだけでもオーケー」と銘打って、とにかくみんなでワイワイやれればと学校中にビラを撒いたのである。ところが案に相違して、予想外に反響は大きく、参加者は12名とふくらんだ。内訳は全日制の生徒1人(女子)、定時制の生徒3人、OB1人、定時制の教員3人、全日制の教員2人(内女性1人)、校用技師1人というバラエティに富んだ面々(うち体験者は2人のみ)が集まった。

テキスト ボックス: 手前は森山さんその話を彼の森山さんにしたところ、非常に喜んで頂き、忙しい中、わざわざ都合をつけて、木曽まで来て下さるとの有り難いお言葉。参加者が大勢集まったので、山岳総合センターからはハーネスとヘルメットを借用し、長山協ジュニア委員会と森山さんからはシューズをお借りした。(感謝)

 10時半講習開始。下界はうだるような暑さだったが、この権現滝のゲレンデは、さわやかな風が吹き渡る。トップロープを3本垂らし、まずは全員が自己流でとにかく登ってみた。そのあと、森山さんがデモンストレーション、理にかなった説明とそれに裏打ちされたスムーズなムーブに一同感動。そのあとは全員がそれを実践。若い高校生たちはあっという間に上達する。

 12時半、200mほど離れたところにある滝に移動し、そうめん大会。用意した20人分のそうめんはあっという間に売り切れだ。なぜ、写真がないかって?決まってるでしょ。食べるのに忙しくて・・・。写真を撮ろうと気づいたときは後の祭り。清流で冷やしたそうめんは最高だった。

 生徒も大人も大満足。午後はそれぞれに課題を見つけて、登れなかった部分にひたむきにチャレンジした。何人かは、早速シューズとハーネスを買いたいという。こんな風に、定時も全日もなく、生徒も教職員もなんの分け隔てなく、本当に楽しい一時であった。終了は16時ちょっと前。手をパンパンにし、普段使ったことのないような指を使い、さらには翌日の筋肉痛にもかかわらず、みんなが喜んでくれた。こういう試みって職場でいかがですか?

編集子のひとりごと

昨日まで3日間、全教の定期大会で猛烈な暑さの千葉へ行ってきた。また来週は日高教の定通部の定期大会で新潟へ行くことになっている。40度を超える太平洋側の異常な暑さと日本海側を襲った大洪水の爪痕の両者。新潟では、インターハイ常連校の県央工業(旧三条工業)や三条高校は一階部分が完全に水没したと聞いている。新潟県の皆さん、福井県の皆さんには心からお見舞い申し上げたい。この異常気象の中、落雷による事故も報告されている。夏山合宿、事故のないことを祈る。(大西 記)