不定期刊行 第130号 2005.2.25
中信高校山岳部かわらばん
編集責任者 大西 浩
木曽高等学校定時制
耳寄りな情報・・・日山協山岳共済に高校生向け一般共済登場
日山協の山岳共済に今年(新年度加入分)から、一般共済が登場する。今まで日山協の高校山岳部対象の共済は特別共済(冬山登山をしない高校生対象)という形で、雪山や登攀は対象外であったが、この保険に加入すれば、これらも補償の対照となる。ただし高校生向けの商品のため、入りやすい3000円という廉価な設定をしてあり、補償金額は従来あった特別共済よりは低く設定されている。みなさんに紹介するにあたり、日山協にこのあたりのことを問い合わせてみたが、「高校生にもはいりやすい価格とそれで補償できる金額を検討した結果」とのことであった。リスクが高くなる分それはやむを得ないが、もしこの補償金額では心もとないということになれば、少し会費を増やした社会人向けに入ることも可能だ。もちろん、従来の特別共済も継続しているので、学校の年間計画によって冬山はやらないということであるならば、こちらの選択も可能だ。私も長年この保険には入っているが、山をやる以上、人にできるだけ迷惑をかけないための転ばぬ先の杖として保険加入は山をやるものの常識といえよう。
高校山岳部の生徒をこの保険に加入させる場合は次の3つの場合が考えられる。参考にされたい。
@
年間3000円の掛け金で高校生向け一般共済に加入する。
A
年間3000円の掛け金で特別共済に加入する。
B
一般共済に加入する。(掛け金は補償額により5500円から18000円まで5タイプ)
契約基本タイプ |
高校生向け一般共済 |
高校生向け特別共済 |
死亡・後遺障害 |
150万円 |
300万円 |
遭難捜索費用 |
100万円 |
300万円 |
個人賠償責任 |
|
1億円 |
入院(一日につき) |
|
2000円 |
会費(年間) |
3000円 |
3000円 |
社会人向け一般共済
契約基本タイプ |
A |
B |
C |
D |
E |
死亡・後遺障害 |
180万円 |
200万円 |
300万円 |
400万円 |
1000万円 |
遭難対策 |
200万円 |
200万円 |
250万円 |
350万円 |
500万円 |
個人賠償責任 |
|
1億円 |
1億円 |
1億円 |
1億円 |
会費(年間) |
5500円 |
6200円 |
8000円 |
11000円 |
18000円 |
なお、一般共済には入通院のオプションを追加することもでき、その場合の追加会費は4000円で、入院一日につき3300円、通院一日につき1000円が保障されることになっている。この保険の加入期間は2005年4月1日から2006年4月1日までであるが、新一年生を迎えてからの中途加入もできる。ただしその場合も会費と終期は同じである。(この件について問い合わせは私のところまでどうぞ。)
高校生の山登り
3月号の「山と渓谷」で高校生の山登りを特集している。この特集記事の中に白馬高校の学校登山のことが取り上げられている。信州という地の利を活かして、かつては多くの学校で行われていた学校登山だが、現在では大北地区の4つの高校(白馬、大町、大町北、池田工業)で行われるだけとなった。それぞれの学校にはご承知のとおり、現在は顧問であるとないとにかかわらず、山の好きな教師が大勢いる。この記事は、白馬高校の生徒の様子をレポートしたあと「山岳部に人数が集まらない学校は、まず学校登山というのもひとつの方法かもしれない」と結んでいる。実際池田工業も大町も大町北もここ数年山岳部の活動は非常に活発であるが、学校登山とそこにかかわる教師の関係も大きいように思う。白馬にも小林さん、今滝さんというスペシャリストに加え、遭対協に所属している山やさんもいると聞いた。これだけスタッフが揃っているのだから、近い将来山岳部が復活するかもしれない。・・・なんてあんまりプレッシャーかけないほうがいいか・・・?
特集の中では、インターハイに出場した全国の高校山岳部にアンケート調査をしているが、その中の質問項目に行ってみたい山域・山を尋ねたものがある。それによると、高校山岳部員の1番人気は富士山だが、2番が槍ヶ岳、3番が北アルプス山域、4番が北岳、7番が穂高岳、8番が立山と「北・南アルプス」が全体では25パーセントを占めている。当たり前といえば当たり前の結果であるが、やはりアルプス(殊に北アルプス)の人気は高いのだ。幼いころからアルプスの山々を見て育ってきた我々中信の顧問や高校生にとっては、山といえば北アルプスであり、夏山合宿といえばすぐに槍穂高や白馬が浮かんでくる。そして、やはりこんなロケーションは他県の顧問・山岳部員にとっては垂涎の的なのである。先週、長山協の海外セミナーで、埼玉在住の山本宗彦さんの話を聞いたとき、彼はこんな話をしていた。彼の奥さんは穂高町のご出身だそうだが、あるとき山本氏が秩父の山なみを見ながら、「あの山が・・・」と話をしたときに奥さんはきょとんとした顔をしていたそうだ。埼玉育ちの氏にして見れば、秩父は立派な山であるのだが(誤解のなきように言っておくが、私とてその意見には大いに与するものである)、氏の視線の先にある秩父連山に気づいた奥さんは「山って・・・?ああ、あの丘のことね。」と一言つぶやいたそうだ。やはり安曇野に生まれたものにとっては山とは北アルプスを意味しているのである。
特集ではオーソドックスな活動をしているところ、海外登山を目指すところ、競技登山に意義を見いだしているところ、クライミングだけをするところなど様々な高校生の山登りにスポットが当てられている。それぞれの記事には、日頃なかなか知ることのできない地域の状況なども現れている。アンケートの結果も含め、現在の高校の山登りの現状がわかって興味深い。
編集子のひとりごと
2月1日にネパールでは国王が内閣を解任したというニュースが流れ緊張した。一時は空港も閉鎖され、電話やメールもつながらない状態だった。長山協国際セミナーではそのネパールからコスモトレックの大津さんと奥田さんを招いたが、そこから得た情報によると国民生活には何の問題もないという。不思議の国ネパールである。(大西 記)