不定期刊行             132号  2005.3.28

中信高校山岳部かわらばん

     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制 

恒例!大町高校栂池合宿の記録

ちょっとタイミングが遅れましたが、去る三連休に大町高校山岳部が実施した栂池山スキーの概要をレポートします。

雪の量は例年より多め、例年と違うのは今年から栂池ロープウエー(栂の森〜栂池自然園)が3月5日から運行を開始したこと。これにより、自然園周辺は大きく様変わりしました。(人が多い、多すぎる)

3/19(土)前日の悪天候が嘘のような青空。栂池の駐車場(今年より無料開放)は早くから満車のため、何時も使う近くの民宿の有料に駐車。ゴンドラの待ち時間が嫌で、昼食時間に合わせて集合したのは正解。待ち時間ゼロで乗車。3連休で、天気も最高だというのに、ゲレンデはガラガラの状態、大糸沿線のスキー場で栂池が特に入り込み減が激しいという話が肯ける状況。しかしヘリスキーは大盛況で、2機がピストンで忙しく往復している。上部のロープウエーは20分間隔で運行しているが、これも我らが貸切状態。(単にスキーだけの目的の客は乗せず、あくまで登山者の便を図るためと掲示してある)自然園周辺は賑やかである。雪上ハイキングを大々的に宣伝しているせいもあるが、ヘリスキーの客とでまさに雑踏のごとくである。いつもの成城小屋北の斜面もボーダーやスキーヤーのシュプールだらけである。危なくてしょうがないので、持参のビニールテープで勝手に規制を掛け、雪洞作りに取りかかった。今年はOB参加もなく、昨年の経験者の2年生2人が学習合宿の都合で後発部隊となり、先発で入山した1年生3人を指導して雪堀をするのだが、前夜30センチ近く積もった新雪があり、それが邪魔である事も無視できないが、呑み込みの悪さと手際の悪さには思わず切れそうになる。結局2年生が合流してから漸く能率が上がり、夕刻までには広さだけが取り柄の雪洞が完成した。今宵の自然園周辺宿泊は大町高校山岳部以外では、成城小屋横の単独行テント、ロッジ軒下にテント2張り、以上であった。夕刻暮れゆく白馬三山を生徒と眺め、夜は星空の素晴らしさに感動した。

3/20(日)今日も雲一つ無い快晴。ノンビリと朝食を済ませ、押っ取り刀で出かける。出発する頃にはヘリスキーが始まった。一昨日の積雪が風で飛ばされている部分はガンガンの氷(先日の雨のせい)で恐ろしく滑り、シールが役に立たない。歩行コースを選びながら漸く天狗原に到着する。昨年との違いは、1年生もそれなりに歩けるので、待ち時間はほとんど無かった事かな?!天狗原から乗鞍への大斜面はヘリの乗客のボーダーやスキーヤーが連なり、当にアリゴの行列である。(後で聞いたのだが、この日のヘリスキーの受付は9時半前に定員に達し打ち切られたそうです)途中まで直登で頑張ったが、それ以後は斜登高で白馬乗鞍頂上へ。頂上ケルン脇でいつものようにツエルトを被ってティータイム。今年は周囲も十分な雪の量である。後は自然園までの大滑走を楽しむ。今年の1年生H君は山スキー経験者(白馬の山岳ガイドHさんの息子)がおり、兼用靴を使っているという用具の関係もあり、彼と2人で結構楽しんだが、残りの5名は楽しむ処では無かったと思う。(殆ど難行苦行の世界) H君は入部以来で初めて上り下りに他のメンバーよりも速く行動できたし、それが嬉しそうだった。やはり経験は多少の体力不足を補って余りある物がある。午後は、雪洞内の荷物を全部だし、天井の修復作業を行った。(綺麗なドームに削らなかったため、昨夜は滴に悩まされた)その後、生徒はトランプゲームに熱中、小生は山スキー散歩を心ゆくまで楽しんで居たところ、夕刻より雪が降り出し、慌てて雪洞まで逃げ帰った。

3/21(月)夕べの雪は明け方までに上がったものの、可成りの積雪量であり、風も強かった事から雪洞の入り口は吹きだまりとなり、危うく雪洞に閉じこめられるところであった。一瞬もう一度天狗原までシールupしパウダーを楽しもう何て気にもなったが、マー無理はよそうと下山に掛かる。朝の内に林道は圧雪が完了しており、お蔭でラッセルせずに済んだが、雪が滑らなくて閉口した。何時もなら滑り過ぎて制動を掛けないと怖いゲレンデまでの林道が、必死に漕がないと止まりそうになる。ゲレンデ内も状況は変わらず、時々スキーが急に止まる感じで嫌らしいったら無い。下部の緩斜面は直滑降状態でもスピードが出ない!。漸くゴンドラ乗り場まで下りたところ、今日も長い行列が出来ていた。この滑らない雪を、と思い気の毒になったが、知らぬが仏か?!。まードピーカンの好天だから許して貰おう。次々にやってくるボーダーやスキーヤーを尻目に、駐車場に戻ったら、民宿のおばさんに「センセーこの天気が良いのにもう帰るのか」と呆れられた。

ご存じ、翌る22日は昼から雨、23日も雨(この日天気が良ければ、焼岳で山スキーを計画していたのに・・・ねー)そんな意味からも、全く天候的にはラッキーな3連休でした。指導要録(当然今の担任のだよ)が完成し、暫し失業状態です。(松田 大)

編集子のひとりごと

大町高校のこの合宿には声をかけてもらったのだが、あいにく悪性の風邪をこじらせて、咳が止まらず断念した。ずーっと白馬方面の好天を眺めながらチクショウと思っていたら、案の定大さんから涎が垂れそうなレポートが届いた。大町高校の山岳部の面々は皆よく知っているので、ここに書かれていることが目に浮かぶ。初日、耳年増のA君と結構言うことをいうB君、口数の少なく大人しいC君の一年生トリオ(いい得てるでしょ、大さん!)が、大さんに怒鳴られながら、雪洞を掘っている姿を思い浮かべるとなんだか可笑しくなる。「呑み込みの悪さと手際の悪さ」とあるが、この連中が3年になると立派に成長して高校を卒業していくのである。もう何年も大町の生徒とは付き合ってきているので、このトリオも2年後どんな風に育つのか(大さんが育てるのか)興味津々である。

いまや、長野県の高校生にとって雪山に触れる機会は極端に減っている中、大町北高校は今週爺ヶ岳に行くと聞いた。実は小生、下岡さんからこれにも声をかけていただきましたが、諸般の事情で断念。昨年のかわらばんにも書いたとおり、群馬や新潟はおろか、岡山などでも高体連を挙げて、山岳部の生徒たちに雪上体験をさせている一方で雪国の山岳県でこれ以外には合宿の声が聞こえてこない。我が木曽高校は恒例の雪の御岳行きを、これまた諸般の事情で断念した。そんな実情を前に「これでいいのか長野県」とさびしく思う。また新しい年が始まり、新入生勧誘の時期がやってきた。皆さんは自分の学校の山岳部の生徒をどんな風に育てますか?大さんや下岡さんの行っている活動には、その意味では頭が下がる。(大西 記)