不定期刊行             135号  2005.4.23

中信高校山岳部かわらばん

     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制 

1回全日本山岳スキー競技選手権大会を終えて

17日に行われた標記大会が無事終了した。高校の関係者では、宮本(中実)、松田、小沼(以上大町)、今滝(白馬)、重田(岩村田)、浜、竹内(以上下諏訪向陽)、浮須(池工)、大西英(志学館)、中島(武蔵工大二)に私がお手伝い。貢献度はかなり高かった。皆さんありがとうございました。当日は、強風のため、当初ゴンドラが動かず、大会本部はやきもきし、最悪スキー場内のコースで実施も検討されたが、予定より一時間遅れで何とか開催することができた。運営を担当した者としては、反省事項も多いし、お手伝いしていただいた方にも連絡不徹底などでご迷惑もおかけした。その点は率直にお詫びするとともに、提言等あれば遠慮なくご指摘いただきたい。しかし、結果としては準備期間も短かったにも関わらず、何とか大会の体をなすことができた。実質的に動いた長山協の底力を見た感じだった。

さて、具体的な中身であるが、リザルトは日山協のHPでも見られるが、昨年度の世界チャンピオン、スイスのリコ選手の技術並びに体力には本当に恐れ入った。開始時間の関係で、一部コースは短縮されて行ったが、その短いコースであるにも関わらず、トップの日本選手に30分近い差をつけて余裕のゴール。まさに化け物だ。前日彼のブーツを見せてもらったところ、シェルには穴がいくつも開けられている上に、底のビブラムも土踏まずの部分は削り取られていた。いずれも軽量化のためであることはいうまでもない。これじゃ太刀打ちできないわけだ。

ま、日本では始めての競技、これからどう育っていくのか?あるいは育てていくのか?いくつか課題と展望も見えてきた。競技としては、発展の可能性もあり、面白いと感じた。また、当日は高校生として中実のクロスの選手も2名参加した。これも次へもつながる展開だったかな?

さて、下記は前長山協副会長星野吉晴氏からいただいたメールの転載です。

山岳スキー大会、中心的に進められ、ご苦労様でした。初回にしては大成功だったと思います。小生、核心的旗門Aで、旗門員をしながら、選手の中に入って、大会をまさに一等席で見物させていただきました。登ってくるパワー、旗門でのシール張り替え時の息使い、下っていくスピード・テクニックなどなど、現場ならでの選手の動きをつぶさに観察することができ、山岳スキー大会とはどんなものかじかに理解することができました。とかく山岳スポーツは、あいまいで普遍性がないといわれますが、この山岳スキーに関しては、それが全くないスポーツ性の非常に高いものだと思いました。さらに、こせこせした人工壁のクライミングコンペ等と違い、壮大な雪山を伸びやかに走り回るという、自然相手のスポーツの王様ではないでしょうか。持久力、スピード、テクニックいずれも備えていなければならない、スキーの王道を行っているような気がします。ノルディックの複合がスキーの王様などといわれてきましたが、山岳スキーこそスキーの王様だと思います。そして、それが本来の雪山でやるのですから、スキー山に還るの感を強く感じました。

そんな大会とは別に、小生もスキーを楽しませてもらいました。欲を言えば、C地点あたりまで行ってみたい気になりました。また個人的に、今回のコースをたっぷり時間をかけてツアーしてみたいと思っています。

とにかく、いい体験をさせてもらい、ありがとうございました。(星野吉晴)

ちょっと裏山へ・・・マイホームゲレンデ乗鞍へ行ってきました。

今日(23日)朝起きると青空が広がっていた。スキーとシールを用意し、ザックに日帰り装備を詰め込んで、乗鞍目指して車を乗り出した。この時期、もうスキー場は閉鎖しているが、三本滝まではマイカーで行かれる。10:00レストハウス前に到着すると、そこにはおよそ15台の車。先行者のトレースが幾筋もゲレンデを直上している。

10:15、早速シール登高を開始。林道を2回横切ってゲレンデを登りきると、先行者が1名登っているのが見えた。ゲレンデ上部の急斜面を登りきったところで追いついた。一人なので、いつのまにかペースが速くなる。出発のときは青空が気持ちよく広がり、乗鞍の白い峰が青空に輝いていたのだが、次第に雲が広がってきた。先行するトレースを泥棒し、2人、3人と追い越しながら、位ヶ原へと登りきった。時刻は11:30。いいペースだ。位ヶ原に出ると、急に風に吹かれるのはいつもと同じである。前方には15人ほどの大集団が登っている。こここから上は、例年だと竹竿が刺してあるのだが、今年はそれがない。大雪渓下のトイレを右手に見ながら、急斜面をあえぎあえぎ登る。ここからが意外と大変なのも織り込み済み。稜線に近づくにつれ、気温が下がり、風が強くなり、表面がクラストした状態になってきた。おまけに雪まで舞い出した。12:20、稜線に到着。小屋の脇には15人の大集団。ここから見ると頂上は猛烈な風が雪煙を巻き上げている。もともと頂上に行くのは目的ではなかったし、アイゼンも持ってこなかったので、早々に下降の準備。この気象状況では長居は無用だ。

12:30シールを外して下降に移った。上部は表面がクラストしていたが、位ヶ原まで下ると今度は湿り気の多い重い雪で、時折エッジが取られてつんのめりそうになる。一回ターンするごとに足はパンパンに張ってくる。何度か雪だるまになりながら、ゲレンデまでたどりついた。それでも・・・終わってみればスキーは楽し。13:15駐車場着。登り始めからちょうど3時間。

朝9時に家を出発して、3000m直下まで登って山スキーを満喫して、温泉で汗を流し、帰宅して夕方には家族と団欒。そしてかわらばんまで書けちゃう。それはともかく、日本全国広しといえども、こんなことが簡単にできちゃうところなんてそうはないだろう。こんなロケーションにいることを利用しない手はない。考えてみれば4月1日からは安曇村は松本市となったので、乗鞍も松本市なのである。かつて信高の第2代会長の伊澤先生が一冬に10数回根子岳に通ったなんて話もよく聞かされたが、私にとって乗鞍は少なくとも一年に一度は詣でなくちゃっていう感じの身近な裏山である。

編集子のひとりごと

乗鞍に今の時期行くと、金はかからないし、スキー場の喧騒もなく快適だ。新入生をつれての歓迎登山にも意外といいのではないだろうか。位ヶ原付近にテントでも張って、最初から雪上を体験させるなんてのはどうだろう。もし、松本近辺の学校で興味のある方にはコーディネートしますので、遠慮なくご連絡ください。(大西 記)