不定期刊行            138号  2005.5.5

中信高校山岳部かわらばん

     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制 

私の記事が刺激になって(乗鞍山スキー2題)

 かわらばん135号で乗鞍は身近な山と書いたところ、それに刺激されたかのようなレポートが相次いで届いた。編集子としては、うれしい限りだ。山の情報をこんな形で相互に交換できるのも、一度に大勢に発信できるというメールなればこその技である。今後もこんな形で様々な山の最新情報を共有、交換しながら山行に役立てていただければ望外の喜びである。たとえば大さんのレポートにある「連休中のみ位ヶ原までバスがあがる」なんていうのは、いつも自家用車で行っている我々のような地元民には、想像すらつかず、かえって盲点なのである。こんな情報も含めて気楽な気持ちでちょっとレポートしていただければ幸いだ。

 その1 星野吉晴氏の乗鞍日帰り山行記

貴君の先日の乗鞍スキー行を読んだら、つい行きたくなって、今日(編集者注:4月28日)行ってきました。

三本滝駐車場からのコース。かつて十数年前、厳冬期に登ったときは、樹林をかきわけるように登り、下りは木にぶつかったり、ころんだりして苦労したものですが、なんと今日は行けども行けども、ゲレンデの延長みたいな切り開き、あっけにとられました。まったく変わったんですね。

今日は快晴でしたが、風が強くやっとの思いで肩の小屋までたどりつき、お昼をとると、吹き降ろしの風に背中を押されて、吹っ飛ぶように滑りおりてきました。平日で、小生ひとり山を独占した形。

朝六時半に家を出て、帰ったのがお昼過ぎの二時前。乗鞍は貴君と同じように、諏訪からもほんとに身近な山ですね。これからはくせになりそうです。かつて、鳥居尾根から登り、位ケ原山荘に泊まって、二日がかりで登ったのがウソのようです。

 その2 松田大氏の乗鞍日帰り山行記

 昨日、3日の夕食時、明日はどうするとの会話時に、京都から帰省中の次女は友達と松本・・・、長女は不在ながら、当然バイト、女房殿は別約が・・・・。亭主丈夫で留守が良いと言わんばかり・・・!グレてやる。というのは昔の言い方。誰も付き合ってくれないなら、明日天気が良かったら乗鞍にスキーに行ってくる!と宣言・・・?!しかしながら・・・、先日山スキーに誘ったエプソンの専務には振られたし、今更誰も乗鞍に誘えない・・・!?信高のメンバーを誘うと、なぜ白馬は?となる。

そんなわけで、朝目覚めたら絶好の好天気、未だ寝ている女房殿に、「出かけるよ!」「何処へ?」「乗鞍!」「誰と?」「一人!」「一人で大丈夫?」「天気が良いし、大勢上っているから大丈夫!」「気を付けて行ってらっしゃい!」てな調子で、見送りもなし。手短に準備をして7:20自宅発。途中コンビニで朝食と行動食を調達し一路乗鞍へ。道も思ったほど混んでおらず、8:20には三本滝駐車場着。駐車車両も思ったほどでなく、適当な場所に駐車し、ノンビリと準備にかかる。その内にバスが来るが、へー、貸し切りがこんな処に!程度にしか感じなかった。ところが後で聞いた処、位ヶ原山荘まで、連休中だけ運行している路線バスとのこと。チクショー!!乗れば良かったと嘯いても後の祭り。通りで、上部斜面に人がいないはずだ。8:40、後のバスは何時来るか分からないので、当初の予定と云ってしまっては其れまでだが、諦めてシール歩行開始。雪解けが進み、残雪を拾いながら登る。バスに乗り損ねた人と会話しながら歩くが、ペースが合わない。一人だとオーバーペースになるのを心配したが、何も人に合わせる必要がないと、汗をかかない程度にゆっくり歩く。位ヶ原まで、2回の休止を挟み、2時間近くかける。上部は風もあり、休む気にならず、ノンビリ立ち休みをは挟みながら、頂上を目指し、一直線にシールアップ。

かなりの急斜面だが、ジグザクするのが億劫で、シールの性能を信じ、頂上まで「男は黙って一直線!」を実行した。なんて馬鹿な奴だとお笑いください。頂上着12:00。かなり風が強く、風に煽られフラフラするおばさんもいる等、かなりの人で賑わっていた。バスを位まで利用した先行者がどんどん滑走してゆく。慌てることはない。ゆっくり久しぶりの乗鞍三千m山頂からの眺めを堪能し、12:40滑走開始。

今日のコースは、頂上直下から位までの最初の急斜面が楽しいだけだが、たった数分間程度で終了。後は適度の楽しみながらと言いたいところだが、現実は滑らないスキーをだましながらで、30分間強で三本滝駐車場帰着。帰りの準備をしている間にも、途中で追い越した多くのスキーヤーが続々と下ってくる。

この時期の山スキーとしては、天候にも恵まれ、マー満足できたが、ヤッパシ一人はつまらない。「友達の居ない可哀想な中年登山者の単独行」は止めようと思った一時でした。帰途、波田町の竜島温泉「せせらぎの湯」にゆっくり浸かり(漸く入れた)15:00帰宅。庭の草むしり後、床屋へ。何だかんだで、充実した一日でした。連休も残すところ後一日!

編集子のひとりごと

 連休の後半の上天気!小生は宮総代で、春の例大祭の宮仕え。悔しいからしこたま酒を飲んで帰って、PCを開いたら松田さんから涎の出るようなレポートが届いていた。連日のかわらばんで、まるで日刊の学級通信を書いている気分になってきた。連休中は自分の山登りが十分楽しめたので、連休が終わったところでいよいよ生徒とのアウトドア活動を始める準備をしなければと思っている。木曽高校定時制アウトドア部も発足して5年、生徒のほうにもだいぶ浸透してきた。今年は川島教頭や若い体育の先生も顧問になって、一緒に木曽の探訪をしようと考えているところである。

先日郷土出版社から「木曽の原風景」という写真集が出版された。たまたまいつも木曽で本を頼んでいる書店が教え子の家でもあり、薦められるままに購入した。自然豊かな木曽には本当にすばらしい場所がたくさんあり、それらが大判の写真で紹介されている。人々の生活と密着した街道を歩くもよし、自然の山や川の中に身を置くもよし、また中山道以前の木曽古道や杣道にも捨てがたい魅力がある。新緑の美しい時期となって、連休明けには、毎日の通勤も目を楽しませてくれるものとなろう。町村合併で、峠を挟んで北の楢川村と南の山口村が行政上は木曽ではなくなった。しかし、そこも含めた広義の木曽の風土がそんなことで変わるはずもない。小生も木曽高に来て7年目を迎え、いつ転勤してもおかしくない年数が経過したが、この地にいられる限りはこの素晴らしい土地を生徒とともに楽しみたいと思っている。(大西 記)