不定期刊行            143号  2005.7.4

中信高校山岳部かわらばん

     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制

シャクナゲの大歓迎・・・北信越大会

第17回の北信越大会が行われたのは、もう2週間前のことになる。今年は長野県が当番県で、川上村の金峰山を会場に大会が開催された。この大会は梅雨時に行われるということもあり、大会関係者が一番やきもきするのは天気である。そんな役員の不安を一掃する好天の下、満開のシャクナゲも一役買う中、大会は無事終了した。

終わったあとの選手に感想を聞くと「今までで一番楽しい登山ができた」「シャクナゲがきれいだった」「交流会も楽しかった」などといううれしい答えばかりが返ってきた。また生徒ばかりでなく、他県の先生方からも好評で、昨年初めて顧問になったある先生は「今まで生徒について行くのがやっとだったのだが、初めて山登りを楽しいと思えた」と交流会の席上で語ってくれた。北信越大会は今年で17回目。発足当時から交流に主眼をおいて始まったと聞いている。従って順位づけはせず、優秀校の発表のみとし、得点も公表はしない。また同一県から優秀校を2校出さないというのも了解事項である。参加者の感想を聞いた限りではこの趣旨に添ったよい大会だったと思う。私自身は全体の指揮統括をする立場で隊内を動き回りながら、時には指示を出したり、スピードコントロールをしたりしながら、選手諸君と一緒に山を楽しむことができた。

下見のときから、魅了されていたのだが、とにかく今年のシャクナゲは見事である。専門委員長の星野さんが他県の皆さんに「百年に一度のシャクナゲの当たり年」と紹介していたが、そのことばに嘘はない。今まで何回もこの時期に登っているが、これだけのシャクナゲの開花は初めてであった。そのシャクナゲが最も見事だったのは、往路の砂洗川沿いの道と八丁平から大日岩の付近まで。どの班も大日岩を巻いたところで中休止をとってミニ交流会をもったが、C班は副班長谷口さん(福井県藤島高校)の音頭で即興曲「シャクナゲーー、シャクナゲーー、シャクナゲーー」の三部合唱が山に響き渡った。前回長野が当番だったときには、雨飾山のシラネアオイが歓迎してくれた。また前々回の八ヶ岳ではツクモグサ、キバナシャクナゲさらにはホテイランが咲いていた。いずれも梅雨時ならでの花たちで、なかなか見る機会の少ない花々である。長野の大会は第1回目の飯縄山の土砂降りがあまりにも強烈だったので北信越というと雨の印象が強いが、こうして振り返って見ると、この時以外は意外と天気に恵まれている。

今回は上田西、岩村田、野沢北、野沢南と地元上田佐久地方の高校が多く参加し、交流会などでも積極的にイニシアチブをとり、大会を盛り上げてくれた。山に来る生徒たちはどうしてみんなこんなに素晴らしい子どもたちなのだろう。一方、交流主眼とはいうものの、長野県関係では女子の松本県ヶ丘が優秀校に選ばれた。3年生の3人は昨年まで人数が揃わなかったため大会にエントリーできなかったのだが、今年はメンバーも増えて正規チームで出場でき、この結果を得た。これは地道に登山活動を続けてきた成果であり、この活躍は、きっと次につながることだろうと思う。

大会は長野県の登山に関わる30人以上の先生方のボランティア的協力によって、無事終了した。専門委員長の星野先生お疲れさまでした。

木曽高校定時制講演会

木曽高校定時制では、7月1日勝野順さんを招いて講演会を開催した。演題は「木曽の自然」勝野さんは若い頃から、時には一人で、時には生徒と足繁く木曽に足を運んだという。その魅力はどこにあるのか。木曽に住んでいながらなかなか行く機会のないとっておきの場所を、優しい語り口で紹介してくれた。

勝野さんにとっては、青いわすれな草が一面に咲き誇る開田村末川の景色が、木曽に魅せられるようになった原点だったそうだ。それ以来木曽通いがはじまったというが、総延長100キロにも及ぶという木曽谷の森林鉄道の名残を辿る山歩き、王滝村からの小秀山への道、県境踏査で死に損なった話、三浦ダムと岩魚の刺身・・・と話は尽きなかった。・・・ただ、いつもの勝野さんを知っている我々にとってはちょっと話が堅いかなぁっていう印象があったけれど、こうして振り返ってみると内容は濃いものだったなぁと気づかされる。話の終わりには、定時制の生徒たちへの温かいメッセージがあったが、生徒たちにも通じたことだろう。ともあれあっという間の1時間であった。

角丸四角形吹き出し: 今から予定しておいてくださいね!そのあとは、全日の筒井さんも交え、定時の川島教頭、山辺さん、そして私の5人で久しぶりの懇親会。楽しい一時を過ごした。勝野先生本当にありがとうございました。

山岳総合センタージュニアクライミング研修会要項

ねら  長野県の高校生( 登山部以外の生徒でも一般参加可)・教員、小中学生のクライミング経験者を対象に、フリークライミング技術および顧問の指導力向上をはかる。

2 共  催  長野県高等学校体育連盟登山専門部長野県山岳協会ジュニア委員会

3 期  日  1泊2日 平成17年9月3日(土)〜 4日(日)

4 研修場所  長野県山岳総合センターおよび人工岩場

5 受講対象  長野県内高等学校生徒・教員長野県内小中学生でクライミングを定期的に練習している者・その保護者計3 0 名

6 講師    堀江謙一(RockGymほりえ) 他

編集子のひとりごと

今回北信越大会に出場した学校の中、石川県の七尾農業高校は今年で出場が最後であるとのことだった。生徒減の昨今、学校統廃合の嵐は全国で吹き荒れており、北信越の各県でもそのあおりを受けて統廃合が進んでいるとのことだ。職業高校から総合学科への転換や定時制の統廃合など、県によって進め方には違いはあるものの方向は同じようである。

そんな中、6.24ショックとでも名付けたらよいのだろうか、長野県教委は高校改革プラン推進委員会へたたき台として、統廃合の高校名を明示した資料を提出するという暴挙に出た。本校も名前が上がり、学校には激震が襲ったかのような混乱ぶりである。また県全体の定時制の統廃合計画は、生徒無視の非常に乱暴なものであり、断じて容認できない内容になっている。いったいこの先どうなっていくのか。県教委はたたき台は決定ではないと主張しているが、生徒や地域住民の声に耳を貸さず、突っ走り続けるその姿勢には強い怒りを覚える。(大西 記)