不定期刊行            161号  2005.12.24

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制

中信安全登山研究会 その1 学校登山考

 今年度の安全登山研究会が、16日大町北高校で開催された。出席は、会長の丸野大町高校長、事務局長の下岡(大町北)さん、以下、小林(白馬)、今滝(白馬)、松田(大町)、大西英樹(塩尻志学館)、それに小生(木曽)の5校7名であった。冒頭、丸野会長から改めてこの会の重要性が指摘され、加えて今回の旅費改定問題に対する一定の評価が話されるとともに、今夏の大町高校の全校登山の中止などについての言及があった。

 最初に、学校登山について議論した。中信地区の全校登山については、大北地域の3高校のみの行事となってしまったが、その中でも唯一全校で行っている大町高校が今年、台風直撃のあおりで、中止の憂き目にあってしまった。規模も大きいだけに、学校行事や山小屋との関係で、実質的に延期、予備日などがとれなかったことが松田さんより報告された。山が相手である以上、ドタキャンはあっても、ドタ参加は難しいという実情もある。しかし、中止となってみると、3年生の中には「3年計画で槍ヶ岳へ行くつもりでいたのが、行けなくなって残念だった。」とか、保護者の中にも「行きたいという子がいるが、別の日に連れて行けないか」などの意見が相次いだそうだ。槍ヶ岳は東鎌からの2泊3日の縦走なのだが、生徒の中には一年の時から次第にレベルアップしていって、3年次の目標をここにおいて、これを楽しみにしている生徒が一定以上いるのだそうだ。非常に喜ばしいことではないか。

 現在の軽佻浮薄の風潮に反するかのように、全校登山がこういう生徒を少なからず育てていることを大町高校には大いに誇ってもらいたいし、北アルプスの麓の学校として確信をもってこの行事は続けていってほしいものだと思う。

 白馬高校では1年生が大雪渓を登るのをメインに据え、3コースが設定された。今滝さんによれば、「地元の子に白馬の花、とりわけウルップソウが一番いい時期に登らせたい」という思いで7月の終わりに開催した旨が報告された。今年8月には大規模な崩落があったが、来年度については葱平の崩落の状況を見ながら、慎重に対処したいと報告があった。

 大町北のそれは、これら2校とはまた趣が異なり、復活して3回目となるが、学年を問わず希望者を募って、毎年違う山域で行い、山に親しむことを主眼に行っている。今年の目的地は西穂高岳。参加者は20名だったという。中には3年間通して参加した生徒も出てきたそうである。確認したわけではないが、多分、そのうちの一人は、かわらばん142号で取り上げた「3年生の気丈なBさん」(県大会の時の話)だと思う。(あの話覚えてますか?)大町高の実施予定日より一日前に、台風が来そうだという予想の中出かけたが、幸い天候は持って、独標まで行くことができ、生徒は大喜びだったとの報告が、下岡さんからされた。

 長野県では中学校の集団登山が、ほぼ全校で実施され、かつては山嫌いを増やすものとしてこれが全く不評であった。今でも、それが完全に払拭されたわけではないが、少なくとも、高校現場で行われる学校登山について、しっかりした指導者がしかるべく計画をしさえすれば、広い意味で登山の発展に寄与していることは明らかだ。大北だけに奇跡的に残っているこの行事、学校の実情に応じた形で継承していってほしいものだ。中学校の集団登山についても、3年ほど前に山岳総合センターの当時の主事の加々美さんが、すべての学校のしおりに朱をいれてくれたということがあった。

 その中学校の登山においては、今年非常に悲しい事故があった。乗鞍での清水中学の1名の生徒の死亡と数名の生徒の負傷である。清水中では、当初7月に爺ヶ岳での実施を考えていたものの台風の影響で延期、その後8月にも天候の関係で実施ができない状況の中、「登山」をすることの教育的意義から、どうしても実施したいということから、日帰りでの計画を考え、10月6日に場所も乗鞍へと変更しての実施となった。そこで起こったのがこの事故だった。犠牲となった生徒のご冥福を祈りたいが、清水中ではこの事故を受けての今後の対応について、学校長は登山行事を来年度以降においても続ける意向であるとのことを明らかにしている。後ろ向きに山をやめてしまうのではないというこのことにこそ、僕は大きな意味があると思う。

 実は中信安全登山研究会も実はこの発想のもとに立ち上がった会だと聞いている。事故が起こったときに、どう対応するか。やはり原因を究明し、そこから教訓を引き出すことが我々に課されたものではないのか。そして、日々の研修を組み立て、登山に活かし事故をなくしていく。安全登山研究会の本質的なありようである。他地区では自然消滅してしまったこの会を残していくこともまた、我々に課せられた使命であろう。

中信安全登山研究会 その2 各校の夏・秋山総括

夏から秋にかけての各校の山岳部の活動は今年は比較的低調だった。以下項目的に列挙する。詳細は1月に発行する中信高体連年報2005を参照願います。

1、          白馬:山岳同好会として発足。1年生中心に4名が活動。顧問の思惑と反して?実際にはクライミングオンリーである。

2、          大町:夏はIH、居残り組は白馬、秋は唐松〜五龍、菅平から根子(来年度県大会下見)

3、          大町北:日常活動としてインドアクライミングに取り組んでいる。槍ヶ岳に行こうと3回計画を立てるも、台風、生徒の体調、早い雪などの理由ですべて実現できず。悔しい思いをしている。

4、          塩尻志学館:3年生のみだったが、秋に爺ヶ岳日帰り。生徒はクライミングが好きなので、センターや駒ヶ根の壁を使ってクライミング。

5、          池工:つりを中心に活動をした(らしい。)

6、          松本筑摩は昼間定時制が元気。

7、          木曽:全日制は活動実績なし。定時制は14人の部員でアウトドア活動をしている。(かわらばんで報告の通り。)

8、          県ヶ丘、深志、美須々は年報にて報告できそう。

9、          蟻ヶ崎、田川、梓川は現在休止中?

編集子のひとりごと

♪〜木曽路は・・・もう毎日吹雪、吹雪、氷の世界〜♪陽水の歌が思わず口をつく。そんな寒い冬がやってきた。安全登山研究会の報告の第1弾です。(大西 記)