不定期刊行            168号  2006.3.5

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制

2連発!3000mからの大滑降

その1 御嶽山スキー(単独) 3月4日

かわらばん49号で「リベンジするぞーーーーーっと。」と書いて、そのままのびのびになっていた御岳の大滑降が実現した。かわらばん49号は2003年4月15日発行だから、あれから3年もたっていた。あの時は、湿度100%、なんとか金剛堂まで登り、小屋脇でツェルトをかぶって1時間以上天候回復を待ったが、結局登れなかった。

さて、その御岳、木曽からは近い。前日が卒業式の祝賀会で飲んだこともあり、車で松本まで帰れなかったので、木曽高校の同窓会館に宿泊。朝起きると絶好の登山日和である。その天気を見て、行こうと決断した。一番のゴンドラに間に合うように7時40分に学校を出発。8時20分、御岳ロープウェイスキー場着。ゴンドラ片道1300円也(前回は900円、やはり事故で客が減った後遺症か?)。8時50分ゴンドラ山頂飯森駅着、ボーダーがやたらと目につくが、山に入ろうとするスノーシューの人が一人。「御岳にはここから行けばいいのですか?」と聞かれた。昨日少し積雪があったので、トレースは全くない。朝一のゴンドラなので先行者もいない。結局、僕がこの日の先行者となった。

9:00山頂駅出発、しばらくは樹林帯の小尾根を進むが、赤布がベタバリなので、迷うこともない。この冬、満足に山に登っていないためか、身体が重い。9:40樹林帯を抜け、前回の最高到達点の金剛堂の対斜面に出た。ここで、一本とる。乗鞍が真っ白く、その右に前穂の三角錐が突き上げている。中央アルプスもまだかなり白い。

前回は金剛堂で雨宿りと風よけをしたが、今日は頂上まで雲一つなく、わざわざ金剛堂の方を通る必要もないので、まっすぐにルンゼを登っていく。九合目の小屋が指呼の間だが、雪の上では距離感がなかなかつかめず、実際にはなかなか到着しない。暑いくらいだ。後を振り返ると、先ほど僕が休んだあたりに、5人ほどが休んでいる。その少し前に単独行者が3人ポツリポツリと登ってくる。次第に雪も堅くなってくる。11:00、九合目の覚明堂着。このあたりでは、カチカチに凍っている上に、この先はさらに斜度も増している。小屋の前を回り込もうと思ったが、僕のスキー技術では不安だったので、ここでスキーを脱ぎ、アイゼンを装着することにした。小屋は完全に雪に埋まっている。急傾斜の小屋の南側をまわりこみ、そのまま小屋の上に出て、テカテカの青氷の道と化した夏道をアイゼンを利かせながら登る。11:30頂上直下の黒沢山頂小屋着。小屋の前のテラスを進むと、その先はスッパリと切れ込んでおり(テラスがはずされていて)、ストックのみでピッケルのない私には行くすべがなかった。その向こうには鳥居があり、ここから何段かの階段を上れば頂上だというのは分かっているが、単独でもあるし、命あっての物種、今日はここまでにしよう。携帯の写メで何枚か写真を撮ってから、慎重に九合目の小屋まで下降すると、スノーシューの単独行者がやってきた。下のルンゼにはギャラリーもいる。そんな中を12:00いよいよ大滑降開始!とはいえ・・・。私のスキー技術はみなさんご承知の通り、颯爽とはいかなかった。しかし、八合目までは大きなターンを繰り返しながら、楽しく滑ることができた。その後は、樹林帯を下り、12:35飯森山頂駅に到着した。

その2 乗鞍山スキー(3人) 3月5日

昨日ほどの天気ではないが、今日もまずまずの天気が望めそうだ。前から山スキーに連れて行ってくれと頼まれていた木曽高の校用技師の横川君(彼は美須々時代のワンゲル部の部員でもあった)を誘って計画した山行である。私が初心者を間違いなく、自信をもってガイドできるのがここ乗鞍である。せっかくの機会だからと大町の松田さんにも声を掛けると二つ返事で同行してくれた。

8時に松本市安曇支所(旧安曇村役場)に集合。私の車で乗鞍へと向かう。9:403本のリフトを乗り継いで(900円也)リフト終点着。先行者が30人ほどはいるだろうか。正面の急斜面には蟻の行列ができている。スノーシューの横川君、山スキーの松田・大西で歩き始める。わずか13分で急斜面を上り詰め、この時点であらかたの人を追い越してしまった。このスピードに横川君は「たまげた」と一言。昨日も相当数の人が入ったのだろう。行く手はピステがはいったように踏み固められている。2段登ってルートを西に切ると、穂高、常念がばっちり見えた。昨日のトレーニングが奏功したか、今日は快調である。10:30位ヶ原への急斜面の下で一本。松田さんの奥さん手作りのパウンドケーキが今日も登場。これだけはいつも唸らされる。急斜面をせっぺせっぺ登り、位ヶ原に出ると、今日もまた風が強い。次第にガスも出てくるといういつものパターンだ。雪の量は例年よりは若干多い感じで、途中のトイレは完全に埋まり、カーブミラーも頭を出しているくらいだ。横川君はだいぶこたえている感じだが、何とかついてくる。風は冷たく、気温も急激に下がってきた。上へ上へと進んでいく。12:05肩の小屋着。アイゼンがなければ、ちょっとこの先には踏み込めない感じであるので、今日は登頂を諦めここまでとする。やや遅れていた横川君の到着を待って、12:30いよいよ大滑降開始。横川君はスノボに履き替えた。滑り出して、しばらく松田さんが何やら大声で騒いでいる。滑走面に雪が張り付いて、つっかかり滑れないとのこと。持っていたワックスをお貸し申し上げる。今度は快適だ。横川君のスノボ技術は大したものだ。「登りの大西、下りの横川」私のスキーはもっぱら登るためにある。一気に位ヶ原の下まで滑り降り、大休止。ここまで降りてきて雪が舞い始めるというこれもまたいつものパターン。あとは、ひたすら下まで滑り降りた。13:30、ゲレンデ下部着。1時間のお楽しみであった。そして、下へ降りると青空が広がっているというこれもまたいつも通りのパターンだった。

そのあとは、沢渡へ下り、村営駐車場の中にある「渓流荘しおり絵」で汗を流した。700円也。初めて入ったが、高級な感じの岩風呂であった。

編集子のひとりごと

◇2日連続で山に行ってきた。それも3000m。加えてどちらも登りはわずか3時間足らずで、大滑降のおまけ付き。長野県ならではの贅沢である。この冬はいろいろと雑事が多くて、全く山へ行けなかったが一気にストレス解消ができた。◇前号のアコンカグア遠征の記事は「2週間」ではなく「3週間」の誤りです。すみません。(大西 記)