不定期刊行            174号  2006.4.24

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制

五者五様の楽しみ・・・木曽高定時乗鞍日帰り山行

4月24日(月)木曽高校は土曜日に行われたPTA総会の代休だったので、アウトドア部の生徒二人とともに山スキーに出かけた。メンバーは3月に御岳にも行った2年生の田中君と初見参3年生の和田君、顧問は今井先生に私、サポートに前回の御岳で「山スキー」に目覚めた看護師の水野さんの5名。4月に入って山スキーの事故が続いたりしているが、本校の場合、ありがたいことに管理職から待ったがかかるようなこともない。しかし、それだけに事故を起こすわけにはいかない。そんなわけで、ここ一週間はずっと天気図とにらめっこしながら、当日の天気を祈っていたのだ。ところが、前日から当日にかけては2つ玉低気圧が本州の南と日本海を通過するというような気圧配置。前日の日曜日は県内も所によって夕方から明け方にかけて雨というような予想も出ていたので、僕は夕方からは黒い雲のかかった西山の天気をずっと眺めていた。

しかし、結局心配された雨はなく、朝方は少し雲が出ていたものの、まずまずの天気。やはり私は晴れ男だ!10時ちょっと前に三本滝駐車場到着。それぞれの靴にスキーを合わせ、10:10リフト脇を歩き始める。天気はどんどんよくなって来た。林道を2回横切るが、除雪された林道は多いところで4m以上の壁に囲まれ、まるで室堂への道を思わせる。この時期毎年通っているが、これだけの残雪は経験がない。約1時間かけてゆっくりとゲレンデ最上部へ出た。生徒の調子もよさそうで安心。雪も安定している。月曜日のこと、全く人影はない。いつもながらゲレンデを出て最初の壁に生徒は悪戦苦闘。山スキー初心者への乗鞍様の洗礼か?

12:20ゲレンデと位ヶ原の中間の大きく行く手が左へカーブし、穂高の勇姿が望める地点で一本。ここで、弱層テストをしてみせる。先週の雪が5cmほど積もっている下に黄砂の層、そこから60p以上下がった地点まで掘らないと弱層はなかった。初めて見る弱層に4名は納得。生徒たちは、位ヶ原への登りは最初の壁にましてこたえたようだ。独立峰の常、この日も位ヶ原に出ると少し吹かれたが、いつもに比べれば全くどうってことない。アウタージャケットなしでも寒さは感じない。下部に増して上部の雪は多く、車道のカーブミラーが頭を少し覗かせている程度で、3月に一人で来た時よりも増えているような気さえする。本当に見渡す限り人っ子一人いない位ヶ原は、まさにプライベートゲレンデ。ここからは大滑降を夢見て一歩一歩、歩を進めるだけだ。さすが一日の長、田中君が元気一杯、どんどん前に行く。初めての和田君も、なんとかついてきている。夏の大雪渓駐車場のトイレはすっかり雪に埋もれ、屋根を見せているのみ。昨日のシュプールだろうか?摩利支天の山頂から二筋の見事な線が下に向かってきれいに弧を描いて続いている。

2:20肩の小屋着。乗鞍は神々しく輝いていた。それほど風もないので、小屋脇でしばらく雪の山を満喫し、3:10いよいよ大滑降に挑戦することにする。大きな弧、小さな弧、思い思いのイメージで下った。上部は風の為す波状の起伏にスキーが若干バタバタするものの、適度にしまっていて気持ちよく滑れた。位ヶ原までの350mをあっという間にすべりおりてしまった。風の強い上部はそこそこのコンディションだったが、樹林帯は重い雪に悩まされ予想以上に往生した。しかし、これも山スキーの醍醐味。文句をいいながらも何食わぬ顔で、ひょうひょうとマイペースで滑りきってしまった人、顔面から雪に接吻し、勢い余って顔をすりむいた人、どうも自分のところだけ吹雪く傾向にある人、曲がるのは面倒だとチョッカリで雪の中に突っ込む御仁、はたまた慎重をきめこんでプルークでマイペースの人、最後はふくらはぎからモモまでツッた人と5者5様の山スキーであった。果たして誰が誰かはご想像にお任せします。

しかし、終わってみればこれも思い出。「湯けむり館」の露天風呂で筋肉疲労を取りながら、生徒とも裸のつきあいをして、今下ってきたばかりの山を眺めて締めくくった。

結局この日、山の中では誰とも出会わず、本当に静かな一日だった。3月・4月になって雪が降った北アルプスにはどこもまだまだたっぷり雪があります。これからでも十分楽しめますよ。

5月12日〜14日、山岳センター講習会開催

そろそろ各学校新年度のクラブの体制が確立した頃かと思います。今年度の生徒の加入状況はいかがでしょうか?新一年生も含む高校生達に山の基礎技術を身につけさせるために例年行われている標記講習会ですが、参加のほどはいかがでしょうか?今年も不肖私が講師依頼をいただきましたので、講師を務めます。顧問の先生方と技術を交流しながら、有意義な講習会にできればと考えております。

この講習会は昨年までは高校単独で行ってきたのですが、今年はセンターのリーダーコースと同日程で行うとのことです。その意味では、高校生にも刺激もあるのではないかと思います。ぜひ参加について前向きなご検討をしてください。申し込みの締め切りは5月1日です。生徒のいないところは、顧問の先生だけでもぜひどうぞ。

編集子のひとりごと

★今年1月に発行した「中信高山岳部年報2005」について岳人、山渓の両山岳誌の5月号で揃って取り上げていただきました。これを見たという方からさっそくレスポンスがありました。この「年報」、今年は順調にいけば、「30号」になります。30という数字も通過点の一つではあると思いますが、私が編集して区切りのいい30号を迎えるのも一つの縁と考えて、それを意識した編集をしようかと考えています。もともと、この「かわらばん」を発行する気になったのも、「中信高山岳部年報」がきっかけです。過去の山岳部の顧問や生徒の皆さんにも積極的に参加してもらって、いいものをと考えています。「山岳文化」ということばがありますが、そのことばを実践してきたこの「年報」は中信地区の山岳部にかかわってきたすべての人たちによる大きな共有財産です。

★転勤で各校の顧問の体制にも変化があるものと思います。「かわらばん」は多くの方にはメールで送っていますが、今まで学校宛てFAXでお送りしている方で、勤務先が変わったような方の情報をお持ちの方は恐れ入りますが、ご一報ください。転勤したことを私が把握していない方には、連絡して下さいという方法がありませんので、お手数ですが、前任校の方からご連絡をいただければ幸いです。(大西 記)