不定期刊行            177号  2006.5.31

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

角丸四角形吹き出し: 限定先着3校に朗報!             木曽高等学校定時制

自校にボルダー壁を設置できます

クライミングに興味をもった高校生が増えてきています。前号のかわらばんでも書きましたが、センター研修会でも、初めてボードに触れた高校生が手をパンプさせて、ひたむきに壁に向かっている姿がありました。しかし、かわらばんでも過去何回もクライミングの状況について、書いてきましたが、高校生のクライミングにおいては、二つの課題、つまり指導者の問題と場所の問題があってなかなか前進を見ません。

とはいうものの、ここ数年行っているセンターの高校生および高校顧問対象の講習会は定着しつつありますし、長山協のジュニア委員会や国体委員会、クライミング委員会が中心になってはじめたジュニアの発掘育成も次第に芽が出つつあり、全国のジュニア大会では長野県の選手の活躍も見られるようになってきました。また、県内の高校では、風越、白馬、大町北、上田千曲の各校には今現在ボルダー壁が設置されており、こちらも少しずつ成果をあげています。そんな中で顧問の先生方の中にも興味をお持ちの方もポツリポツリと出てきたのは嬉しいことです。

そんな状況のなか、嬉しいニュースをお届けします。二つの課題の一つ場所の問題に対する朗報です。

テキスト ボックス: 大町北の壁 @今年の7月に駒ヶ根市で北信越国体が開催されます。クライミングについては、駒ヶ根のアウトドア体験広場の常設壁とそれに仮設の壁を併設することで競技を行います。この仮設壁の設置については350万以上かかるのですが、県のスポーツチームで予算措置をしていただくことができました。実際には県の財政が厳しい中、今年の北信越国体の開催に当たっては、全21競技に対して800万円強の施設設備費が予算化されるそうですが、実際はこれを12競技で分配、そのうちの350万が山岳協会に下りてきます。山岳競技がいかに「金食い虫」わかります。だいたい陸上競技を行うのに競技場を作ったり、競技のたびにプールを作る水泳大会なんてないのですから。競技会場が新たに作られるなんてことは、本国体やオリンピックでもなければ考えられないことです。山岳の場合、5年後の北信越では、縦走競技が廃止され、ボルダリングも入りますから、さらに金がかかることが予想され、どうなるのか今から心配です。それはともかく、今年については仮設壁ができることになりました。ところが、大会が終了すれば、この壁は仮設ですから当然撤去することになります。

ついては、この壁の大会後の有効活用が今後考えられるのです。たかだか半日の競技のためだけに350万からの金が飛んでしまうわけです。折衝の際に、県としてもこれだけの金をかけるのだから、山岳協会として大会後の有効利用を考えてほしいとのことでした。ちなみに前回の北信越の時には、白馬村に常設壁を設置し、2000万(半分は地元自治体の負担)かかっていました。それが今回使えないことに県は当初随分難色を示していました。それは当然といえば当然なのですが、ここ数年のクライミングの世界の技術向上はめざましいものがある点やクライミング競技独特の実情を説明する中で、ようやく理解していただきました。県として「ならば、この金が大会後も生きるように考えよ」というのが県から我々長山協に科せられた課題でした。

テキスト ボックス: 大町北高の壁 A今回の仮設壁は、施工主をみなさんもご存じのアートモリ(社長は森山議雄長山協副会長)さんにお願いすることになっています。森山さんとも協議を重ね、「使用後3分割して、希望する高校に設置しよう」と考えています。こうすることにより、この壁は有効な後利用が可能になります。

形としては、白馬高校の時がそうだったように「長野県山岳協会からの学校への寄付」という形が一番いいと思いますが、学校の実情に応じてよりよい形をとれればいいと思います。自前の壁を学校におきたいという先生、先着三校限りです。横が3.6m縦が3m程度の前傾壁ができると思います。写真の大町北の壁が見本になりますので、写真を添付しておきます。

壁の設置はもちろん、移動等は森山さんにお願いすることになります。すでに何校か前例のあることですので、それを例に出して、話を進めてもらっても構いません。場合によれば管理職や体育科との折衝での難航も予想されるところもあるかもしれませんが、その場合、県のスポーツチームとも話がついていることですので、管理職等へはそちらからもプッシュしていただけると思います。もちろん長山協としてバックアップします。長山協や森山さんとの折衝は私自身が長山協の副会長をしていますし、実情を把握していますので、全く問題ありません。

ぜひ、検討してみて下さい。早い者勝ちです。大西までご連絡下さい。

編集子のひとりごと

先々週、駒ヶ根で北信越5県の山岳協会(連盟)の代表者会議が開催された。この会議は主として、北信越国体のことについて議論する会なのだが、他県の状況を聞くにつけ、いろんなことを思った。山岳競技にも少年の部があり、そこには当然高校生が参加してくることになるのだが、クライミングの導入が、その参加体制に大きな変化をもたらした。出場するのは、高校の生徒なのだから、どんな形にせよ、高校の教員が少しは絡むはずである。しかし、その絡み方が高体連とのかかわりなどで県によって微妙に異なっている。

長野の場合も高体連自身が正面にたって、長山協と関わっているとはいえないが、少しずつその連携はとれてきている。その橋渡しが国体委員長の浮須さんや高体連の専門委員長の小林さんだ。ここに長山協ジュニア委員長の中嶋さん、副会長の森山さんという高体連の外の人、また内部では下岡さんや今滝さん、大西(英)さん、酒井さんらが絡み始めて少し今年から新たな展開が見られそうである。昨日のメールで重田さんからも生徒を先日佐久のジムに連れて行ったという報告もいただいた。また、先日のセンターの研修会に出てきてくださった白澤さんに小沼さん。こうしてあげてみれば、高校現場にも少しずつ浸透しているのがわかる。いい流れはできつつある。(大西 記)