不定期刊行            180号  2006.7.16

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

             木曽高等学校定時制

四角形吹き出し: 学級通信「峠」より今年、木曽高校定時制で二度目の担任を持ちました。4月以来、「峠」と名づけて学級通信を書いています。ほぼ日刊で発行しています(今日でこちらは60号です)が、時には「書くことがない!」ので、下に掲げたような極めて個人的な山の話題も載せています。そうすると・・・興味をもった生徒がわんさと現れて、我がアウトドア部は安泰なのです・・・。後半は夢物語ですが、まんざら嘘でもありません。今年のアウトドア部も部員数は確保できました。活動報告は、おいおい紹介します。

「おらっち」・・・信高山岳会・・・の山仕事

2日は、朝3時に起きて、辰野町の「横川渓谷」というところに出かけました。この谷を遡っていくと、やがて経ヶ岳という山にたどり着くのですが、実はこの山に登るための登山道をかつて、僕は仲間と一緒に開拓したことがあります。その作業を中心となって進めていたのが、実は若き日(?)の川島教頭です。この登山道に続く林道が一昨年の秋の台風23号によって、ズタズタにされてしまったため、以来アプローチがやや大変になっていますが、この登山道は僕らが仲間で開拓した誇るべき山仕事の一つです。

僕らがこの道を開いたのは、今からもう10数年前のことですが、県内の教員の仲間で作る「信濃高等学校教職員山岳会」が、「高校生に夢を語ろうじゃないか」ということの一環で取り組んだ事業の一つです。麓から沢を遡上し、途中から尾根へとりつき、最後は笹薮の中を頂上へと続く道を3年がかりで切り開きました。この道が開通してからもう15年近くになります。

今から15年前、全身ずぶぬれになりながら、丸木橋をかけたり、唐鍬(トンガ)やジョレンで、道を開削したり、ビーバーや鉈鎌、のこぎりで笹薮を刈る作業など、苦労をみんなで分かち合いながらの作業でした。登山道は造ればそれで終わりというものではなく、毎年夏山シーズンが始まる前の梅雨時には笹を刈ったり、道普請をしたりしてきました。

そんなわれわれの開いた道が、今では市販の地図にも載っています。また地元辰野町の方々も、我々のした仕事を全面的にバックアップしてくれ、台風で林道が破壊される前までは、毎年「海の日」には、横川渓谷開山祭を開催し、記念登山を行ってきました。そこには県内外から多くの方々が集まって登山を楽しんでくれました。林道が改修されていない関係で、残念ながら昨年に続き、今年も我々の開いた登山道を登る「記念登山」こそ実施できませんが、今年も開山祭は行います。山には登れないのですが、この周辺には、一般には知られざる名瀑(滝)が数多くあるので、そちらへのハイキングを今年の開山祭の目玉としました。

これらの滝への道も整備されたものではないため、昨日(2日)はその登山道整備作業が計画され、僕もお手伝いに行ってきました。地元の方々が6名に僕ら最初に登山道を開いた教員の仲間が4名(川島・勝野・星野・大西)の計10名が集まりました。その中にはもちろん川島教頭先生もいました。普段はおよそ山には無縁な感じですが、山のキャリアからいえば、僕なぞ足元にも及ばない実績をお持ちです。町の「開山祭実行委員会」の事務局長も務めておられますので、すべては彼の指示のもとに行われました。

集合場所から滝までの道普請はかつての登山道開拓のころを思い出させました。作業は数時間で終わりましたが、いい汗をかいてきました。

と、以上が学級通信の記事ですが、その後日談です。

「おらっち」・・・信高山岳会・・・の山仕事 2

こうして、苦労して滝までの散策道は切り開いたものの、梅雨時のこと、開山祭担当者の心労はつきません。開山祭を間近に控えて、事務局長の川島さんより、信高山岳会のメンバーには、以下のような連絡が回りました。

さて、この滝への道梅雨明けが待たれる今日この頃ですが、またまた大雨の気配。

2週連続の登山道整備の成果が、この雨で無になるかと思うと仕事も手につきません。会員諸兄に再度のお願いです。開山祭当日のスタッフ業務(大滝・七滝方面への参加者引率)をお手伝いいただける方お願いいたします。朝7時集合です。(集合場所:辰野町横川 大洞林道入り口広場)半日だけでも十分結構です。よろしくお願いいたします。当日は勝野御大・筒井氏・川島が参加予定です。

そして、迎えた開山祭当日・・・つまり・・・今日(16日)は、ああ無情なるかな、朝から土砂降り。実は木曽高校はちょうど文化祭中なのですが、教頭と僕は午前中だけ休みをとって、こちらへという気構えでいたのでした。早朝5時30分、それでもと用意をしたのですが、結局は滝めぐりは中止のやむなきにいたりました。それでも、今年一年の山の無事を祈って、御祓いはしてもらうということで、「開山祭」だけはしたということでした。僕は文化祭があるので、失礼しましたが、信高山岳会からも、川島、勝野、筒井、久根の4人が参加しました。ここ2年間、入れていない「経ヶ岳黒沢谷登山道」そして、今年整備した幻の「大滝」「七滝」への道。どなたかこの夏一度機会をみて行って来ませんか。私もお付き合いします。

文字通り、霧の中に訪ねた「霧訪山」

長野県はあまり雨の降らない梅雨という感じだが、ここぞというときに降られている。2日、冒頭書いた登山道整備が終わったところで、星野さん(上田高校)が、「まだ時間が早いから『霧訪山』に登りたい」というので、お付き合いをした。登山道整備の間は何とか天候は持っていたが、移動中に土砂降りになり、登山口に着いたころは、、まるでバケツの水をひっくり返したような状態。一人なら絶対めげて登らなかっただろうと思うけど、隣の車を見ると星野さんが合羽を着て準備を始めていた。仕方なく・・・僕もお付き合い。秋にはさぞマツタケがとれそうな赤松林の中に通る送電線の監視道をただただひたすら登った。最近は、名前に惹かれて登る人も多いという隠れた名山。晴れていれば、360度の山頂からの展望も魅力の手ごろな山だ。

山頂はまさに霧の中で、文字通りの「霧訪山」だったが、笹ゆりが一輪、われらの到来を迎えてくれた。登り40分、下り25分、超特急のような山登りだった。

編集子のひとりごと

梅雨あけが待たれます。そんな中、14日に恒例の中信安全登山研究会が開かれ、様々な情報交換がされました。次号で報告をする予定です。お楽しみに(大西 記)