不定期刊行            181号  2006.7.20

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

中信安全登山研究会・・・例年のない残雪にご注意を!

14日、大町北高校で、中信地区安全登山研究会が開催され、この夏の各校の学校登山、各校山岳部の夏山合宿・縦走の検討、情報交換が行われた。出席者は会長の柏原大町北校長、事務局の下岡、小林(白馬)、松田(大町)大西英(志学館)に私。

全校登山の下見で白馬の大雪渓にはいった小林さん、同じく東鎌と槍沢にはいった松田さん、焼岳に入山した下岡さんから北アルプスの雪の状況が報告された。

小林さんの報告では、白馬大雪渓は、6月下旬の段階で、白馬尻小屋は出てはいるものの、小屋周囲にはまだ1.5mの積雪。昨年大崩落がおきた葱平周辺は、雪の下。上部から2合雪渓、3合雪渓まで、あちこちで常時崩れている状況とのこと。小雪渓はトラバース道を切ってはある。白馬鑓から鑓温泉への道は、まだ入山禁止状態だったそうで、大出原あたりはまだ完全に雪に埋まっているということだ。また、松田さんの報告では、槍ヶ岳表銀座方面は、燕山荘付近で残雪が3m。ただし、例年最後まで雪の残る大天井の北東面は意外に少ない。槍沢については、上部はかなりの雪が残っており、まだ山スキー可能。ただし、大曲から下は昨年よりは少ない。下岡さんによれば、6/26から27日の段階で、焼岳方面は一部残雪があったものの、特に心配はなかったとのことだ。一部には雪の少ない部分もあるようだが、いずれにせよ、今年の北アルプス方面の残雪の多さは、ちょっと異常な状態ではある。昨日偶然、北アルプス常念小屋の山田恒男さんから手紙をもらったが、そこにも次のような記述があった。曰く「一の沢、乗越東側に雪渓田、65年前小学生の頃の思い出の大雪のまゝ夏山入り、中岳舞姫は6月の姿です。不思議な年!!」とのこと。65年間常念に入り続けてきた山田さんにとっても、このような年は珍しいということだ。

しかし、この数日の記録的な大雨で雪解けが一気に進むことも考えられる。また土石流や雪崩の危険性もある。県警でも、夏山登山情報を出したが、そこにも「今年の残雪は例年になく多く、北アルプスを中心にまだ登山道が現れていない箇所が多いため、ルートを間違えて道に迷ったり、雪上スリップして滑落する危険性が高い状態です。」との記述がある。各校夏山に向けて、参考にしてほしい。

一方、各校の山岳部の夏山合宿の検討も行われた。積年(3年越し)の思いを果たすべく槍ヶ岳を目指す大町北や、新たに5名の新入部員を迎え無理なく生徒に山の楽しさを教えたいという志学館など、各校それぞれの夏山登山計画は、以下の通りである。

学校名

期日

コースの概略

大町北

8/1〜8/4

新穂高〜わさび平〜双六〜槍ヶ岳〜槍平〜新穂高

大町

8/1〜8/4

8/7〜8/11

8/20〜8/25

猿倉〜白馬〜栂海新道〜親不知

IH下見(奈良大峯、大台)

IH(奈良大峯、大台)

松本美須々

8/3〜5

涸沢定着、4日奥穂高〜前穂高、5日北穂高

松本深志

7/31〜8/1

8/7〜8/10

西穂高

常念〜槍ヶ岳

松本県ヶ丘

8/20〜8/25

IH(奈良大峯、大台)

志学館

8/7〜8/9

長衛小屋キャンプ場定着、仙丈・甲斐駒

定時制アウトドア部第3回活動「南木曽田立の滝」

13日木曜日、木曽高校定時制アウトドア部は、この時期恒例となった川遊びとハイキングに出かけた。朝9時に学校を出発。今回は1年生、2年生、3年生がそれぞれ一人ずつ参加。目的地は一昨年と同じ「田立の滝」である。10時、登山口の粒栗平駐車場に到着、前夜の雨で道は湿っているが林の中は、それほど暑くもない。しかし、登るにつれて蒸し暑くなってきた。

様々な会話を交わしながら登っていくと、学校では見せなかった生徒のありのままの姿が少しずつ出てくる。2年生のN君は、学校では「勉強は好きではない」と言い切り、どちらかというと面倒くさがり屋である。「川遊び」に行かないかというW君の誘いことばに、二つ返事で飛びついてきたが、正直なところ、その前にある1時間あまりのハイキングで音をあげるのではないか?と、行く前には僕は、少々心配もしていた。しかし、そんな心配は杞憂だった。また、1年のM君は、静かで大人しく校内では一人で過ごしていることが多く、殆ど校内の誰とも会話もない。そんな彼だが、5月に家庭訪問をしたときに、お父さんから「キノコ採り名人のおじいさんと一緒に山へ行ったりすることも時々ある」と聞いていたので、一週間前に誘ってみると、笑顔をみせて、首をこっくりと前に傾けた。これが彼の意思表示だ。山の中でも学校同様殆ど話はしないものの、他の会話に耳を傾け、笑顔で対応しており、何か解放された感じは伝わってくる。2年生になるときに郡内のS高校で一部単位を認定されずに、進級出来なかったW君は、本校に転入後は、学校生活の様々な活動に積極的に関わり、いくつものクラブをかけ持ちし、陸上部員としては昨年、今年と定通制全国大会への出場を果たし、生徒会の議長もつとめている。スポーツマンの彼だが、前回の山スキーでは、腕に覚えのあったスキーでちょっと「苦い思い」を経験しているので、今回はその雪辱戦だ。

登ることおよそ1時間、洗心滝を下にやり過ごし、霧ヶ滝に出た。次から次へとここからは滝の連続だ。最大の滝である落差40mの天河滝。ここは滝壺が天然のプールになっている。ここで無邪気に水遊び、一同童心に帰る。エメラルドグリーンの滝壺に何度も何度も飛び込んだ。満足したところで、さらに上流へ。不動滝を越え、龍ヶ瀬で昼食を終えると、急に雨が降ってきた。雷を伴って猛烈な雨脚である。あわてて不動滝の下の避難小屋に逃げ込んだ。・・・約一時間後、雨は上がったが、すっきりしない天気と時間を考え(帰ってからの授業もあるから)て、この先の行動は中止し、下山した。楽しみにしていたこの先の「渕」と展望台には行かれなかったが、それはまた次回への持ち越しだ。一同はそれなりに満足な気分で下った。途中W君が持参した「竿」をN君が垂らしてみると、一匹岩魚が釣れた。

編集子のひとりごと

連日の大雨で長野県内は被害が続出。皆様のところの被害はないでしょうか?私はあちこちの道が寸断され、学校へ行かれない状態が続いています。(大西 記)