不定期刊行            203号  2006.12.8

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

新雪の大山山行報告 岡山県立東岡山工業高校 田中初四郎

12月1日(金)から2日(土)にかけて鳥取県・大山に行きました。高体連の大会・研修会または学校単独(校外合宿)で月1回は山行をしようという取り組みの一環。1日放課後集合。行く予定の1名が嘔吐下痢のため不参加、2人になる。日本海側の天気予報が「曇ときどき雨」。気乗りしない生徒をせかし、16時30分学校を出発。途中で食材を調達し、岡山道経由・米子道溝口ICから桝水高原へ。19時過ぎ到着。蒜山の辺りから雨。雨の中での設営もいい練習だと言い含め、テントを立てる。テントの中で水炊きを食べ,21時過ぎ就寝。

2日4時15分起床。水炊きの汁で雑炊を作り、朝食。雨は降っていない。早急に撤収。桝水高原に車を置いて、大山を一周する山行出発。大山を知らない方が多いと思われるので少し詳しく書きます。地形図を眺めながら読んでいただけると幸いです。

1)桝水高原(5:40)→大山環状道路→大山寺(6:50)→大神山神社(7:20

ヘッデンを頼りに出発。左手(北西側)に米子の町明かりが綺麗だ。北斗七星も見える。大山寺あたりで大山北壁を見ると所々白い。昨晩の雨が標高の高い所では雪になっていた。

2)大神山神社(7:30)→下宝珠越(8:05)→上宝珠越(9:40)→ユートピア避難小屋(10:15

大神山神社から山道になる。今日一番のつらい登りになる。下宝珠越で宝珠尾根に取り付く。尾根に近づくと雪が目につき始め、下宝珠越では一面の銀世界。葉を落としたブナの枝越しに大山北壁が見える。大山は西から見ると「伯耆富士」といわれるように綺麗な山容であるが、南北は断崖絶壁の荒々しい山容である。写真右の稜線を登り切ったところが大山山頂の「弥山」である。最高峰の剣ヶ峰は写真左端あたりで雲の中。現在崩壊が進み、弥山から剣ヶ峰を経て象ヶ鼻までの縦走路は通行禁止になっている。でも歩く人がいます。

下宝珠越から上宝珠越までは宝珠尾根を登って行く。右手に谷間が雪で覆われた大山北壁,左手に三鈷峰を見ながら、3〜5pの新雪の山道を進む。このような機会はそうあるものではない。中宝珠越を過ぎたあたりで雪が降り始めた。

上宝珠越からは剣谷をトラバースして稜線上に見えるユートピア避難小屋を目指す。このあたりの積雪は10〜15pはあり、山道がどこか分からず歩きにくい。

3)ユートピア避難小屋(10:45)→振り子沢→地獄谷・駒鳥避難小屋(12:20

ユートピア避難小屋は数年前新築され、まだヒノキのいい香りがする。夏場お花畑となることで「ユートピア」と命名された。少し登った1550mピークが象ヶ鼻で、ここからしばらく尾根沿いの道を進み振り子沢に入る。5月連休でも残雪があり、落石を避けて山スキーをすることが出来る。振り子沢上部は河原を歩く。岩に15〜20pの雪が覆い滑りやすく、どこに足を置けばよいのか迷う。予想以上に時間がかかる。振り子沢下部は10年ほど前までは大きな木で鬱蒼としていたが、重い雪で倒れた。倒木が障害物となり非常に歩きにくい。夏場ほとんど歩く人がいないので道がはっきりしていない上に雪があるのでどこが道か分からない。中国高校登山大会で何回か歩いた記憶をたどるも雪に覆われていてよく分からない。写真は地獄谷に出る直前の様子。まだ生徒は元気である。

4)駒鳥小屋(12:50)→鳥越峠(13:40)→文殊越(14:15)→三の沢(14:45)→大山環状道路→桝水高原(15:30

地獄谷から少し上がったところにかなり痛んだ駒鳥小屋がある。ここから鳥越峠までが最後のきつい登りである。駒鳥小屋から文殊越の間はブナの巨木が林立したところであったが,根を付けたままバタバタと倒れている。残ったブナも風を受けやくすなり強風で倒れやすいようだ。大山のブナ林が失われる危機感を感じながら,道をふさぐブナを乗り越え進んだ。

三の沢付近で環状道路に出てびっくり。路面に5p程度の積雪がある。まだスタッドレスに換えていない。どうする。車を置いている駐車場の標高はここより250m低い。積雪の心配をしながら環状道路を進むと標高800mあたりで雪は消え、ほっとする。経験できない新雪の山行に生徒も満足げである。

帰りは慣例の温泉。米子道を湯原ICで降りていつも寄る「足(たる)温泉」へ。

現在の部員は3年7人,2年ゼロ,1年3人。毎日練習しているのは1年2人。部員確保が出来ない。そういう中でも「月1回山に行こう」を合い言葉に日々の練習を行っている。

大西さん こんにちは 穂高商業高校 今井秀幸

「かわらばん」200号おめでとうございます。200号のとき出そう出そうと思っていて、うかうかしていたら今日もう201号が届いてあわてました。生徒がいないので、今は専ら演劇部の仕事です。「かわらばん」が唯一山の世界への通路というのも情けない話ですが、十分満足できる広がりと奥行きを毎号楽しませていただいています。ありがとうございます。おとといから療養休暇に入った教員の補充に山崎佐喜治先生が見えています。さっそく100名山達成のお話を伺いました。

編集子のひとりごと

岡山の田中さんは「山スキー」の名手でもあります。だから山スキーの記述なども出てくるのでしょう。ぜひ一度行ってみたいものです。4月以降登った山のリストもいただいたのですが、大山、後山、毛無山、白山、恐羅漢山、熊山といった山々のリストが挙げられていました。信州の山猿にとってなかなか知ることの出来ない貴重な記録をありがとうございました。今井さんからのメール・・・今年30号を迎える中信高校山岳部年報を創刊以来20年間編集されてきた「山崎佐喜治」先生ご健在のご様子。現在編集中の30号に向けて渇をいれられた気分です。よろしくお伝えください。大西 記)