不定期刊行            224号  2007.7.20

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

県ヶ丘高校日帰り山行「戸谷峰」報告  松田大さん記

やれ縣陵祭だ、やれ試験前一週間だ、試験中だ。と全国大会参加は決まったものの、ちっとも山に行かない連中に対し、何とか錬成をとこの連休に山行を計画したが、見事に台風に吹き飛ばされてしまった。そこでせめて日帰り錬成でもと戸谷峰からぐるっと回るコースを歩いてきた。折角だからと(実は彼らをサブで歩かせたことには、こちとらが保たないからが本音)フル装備で出かけた。

今は閉店しているドライブイン駐車場まで移動し、例の野間沢橋から入山。雨上がりの道が滑って歩き難いこと夥しい。途中一本を挟んで戸谷峰頂上へは10:10過ぎに着。荷物を下ろし、頂上の三角点が二等であることをみんなで確認し終わった瞬間に強烈なめまいを覚え、やばい体に異変が・・・と本気で考えた。誰かが地震だというのを聞き、成る程揺れているわ、めまいと思ったのは地震の揺れだったのかと再認識した。ようやく落ち着いて生徒と話したところ、彼らも全員最初はめまいかと思ったようである。割合ゆっくりした横揺れであったための錯覚であった。直ぐにラジオを出させ地震情報を聞いた。

その後は稜線を辿り六人坊を経て三才山峠に出て昼食、錬成ついでに武石峠まで車道を辿った。武石峰までと考えていたが、峠までの道は全く車が通らないのに、峠から先の車道の車の多さを見て急速に意欲減退。峠から引き返した。従って本日の最高到達地点は武石峠であった。以降烏帽子岩脇を通って三才山一ノ瀬に下山。再び車まで戻って錬成山行を修了した。

以前このコースを県大会に使えないかと検討したことがあったが、距離的にも標高差的にも充分であると思うが、戸谷峰東の鞍部(中電の送電塔有り)より三才山峠間がほとんど踏み跡程度で不明瞭箇所もあり、そちらの方が心配である。まーどのみち次回中信に県大会が回ってくる頃まで小生は現役でないから関係ないことなのだけどねー・・・・。(編者注・・・そんなこと言わないで協力してね!)

07年度中信安全登山研究会

17日(火)に恒例の中信地区安全登山研究会が、大町北高校で開催された。参加者は小林(白馬)、小沼・海川(大町)、下岡(大町北)、松田(県ヶ丘)、大西(志学館)、三村・大西(木曽・木曽青峰)の8名。

学校登山は、白馬(4コース)、大町(7コース)の二校で実施される。昨年は天候の関係で、いずれも中止(大町は2年連続)だった。そのため、昨年冬の研究会の席で、引率経験のある教師が激減して、今後が危ぶまれるとの報告もあった。今年復活することで伝統ある行事も息をつなげるだろうし、引率教師の経験の伝承もなされることになり、まずは一安心である。白馬はガイドを、大町は山岳部OBをサポートに頼んでの集団登山である。下見報告もされ、万全を期されているとのことだが、今年は白馬大雪渓上の落石や避難小屋の流失、小蓮華の崩壊なども報道されている。今後の雨などの降り方などにも注意して、くれぐれも気をつけて実施して欲しい。

山岳部の活動については、各校から持ち寄られた合宿、縦走計画をもとに検討がされた。大町は裏銀座、大町北は剱、県ヶ丘が美ヶ原から三峰・鉢伏を経て塩尻峠までと、針ノ木方面の2回、美須々は表銀座、志学館が燕から常念、木曽青峰が蝶へ行く。その他、県ヶ丘(男)と志学館(女)は佐賀IHに出場する。それぞれオーソドックスなコースだが、問題点として浮き彫りとなったのは、「複数顧問の引率ができづらくなっている」という現実。安全登山研究会としては、危急時対応や安全登山などいろいろな観点から「単独引率はまずい」との認識でこれまでも議論を重ねてきたが、中には校務分掌上、最初から顧問が一人しかいないという学校や、無理矢理顧問をお願いしているので長期縦走や合宿は頼めないという事情、顧問の日程が調整できず計画そのものを縮小せざるを得ないなどの現実が出された。このことは、全国の岳人垂涎の素晴らしい山を背後に持った長野県というフィールドにありながら、由々しき事態ではないのか、と思う。「学校が忙しい」とか「顧問の都合がつかない」というのは、誤解を恐れずに言えば言い訳に過ぎないのではないかと思う。

そしてさらに深刻なのが「顧問の力量低下」であると思う。この問題は深刻であるが、打開策の一つとして4年前から始めたのが秋に行なう「顧問研修会」であった。

春の県大会の下見の際、この問題は専門委員会でも議論になり、来年度の県大会会場の決定にあたっても、考慮された。このあたりのいきさつやこれからの展望については、僕自身思うところがあるので、次号以降で述べたい。

ボルダリングボードの設置校が決まりました

県大会の時にも最終の希望調査をしましたが、懸案だった昨年の北信越国体の人工壁の設置先が決まりましたのでお知らせします。人工壁は、長野県山岳協会から各校への寄贈という形で、分割して三校に設置されることになりました。設置するのは、飯田工業、松本美須々ヶ丘、松本筑摩の3校で、夏休み中には設置の運びとなります。当該校はもちろん、地域の山岳部の活動拠点として新たな起爆剤となることを期待しています。

編集子のひとりごと

「最近ちっともかわらばんがでてないねぇ」と業を煮やした(?)松田さんが原稿を送ってくれた。戸谷峰は、美須々にいたころ、私も暇があればよく行ったものだが、最近ご無沙汰である。松本から三才山峠へ向かい、標高1000mの野間沢橋のところが登り口。松田さんの文にある「ドライブイン駐車場」とは「三才山ドライブイン」のこと。登山道は送電線の監視道でよく整備されているが、意外と急坂だ。

中越沖地震は、木曽高校でも大きな揺れを感じた。当日は台風で一日順延した文化祭の真っ最中だったが、地震の多い木曽でもあれだけの長い揺れは久々に感じ、「すわ御嶽山の噴火による地震か?」と思ったほどであった。木曽でもあれだけ揺れたのだから、震源に近いところの揺れは相当なものであったことだろう。県内でも飯山地区の学校では壁が落ちるなどの被害があったと聞いているが、読者の皆さんのところでは被害はないでしょうか?それにしても、地震列島日本での原発直下の地震は不安である。さらに地震直後の企業の隠蔽体質には、またかという思いが怒りとともに湧いてくる。大西記)