不定期刊行            230号  2007.9.9

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバルIN松本

今年松本市は市制100周年、「岳都」としての山岳イベントもいくつかあるが、その中でこのイベントはお奨めだ。

10月6日(土)、世界最高峰のアウトドア・フィルムフェスティバルが松本にやってくる。その名は「バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル・ジャパン 2007」。この映画祭は、カナディアンロッキーに囲まれたアルバータ州バンフにおいて、カナダの文化芸術施設であるThe Banff Centreが主催しているアドベンチャースピリットと山岳環境の素晴らしさを称える世界で最も優れた32年の歴史をもつ国際的なアウトドア映画祭だ。毎年、世界各国から300本以上もの映画やビデオ作品が映画祭のコンテストに応募され、実行委員会や観客が世界最高の山岳および環境関連の映画とビデオを評価し優秀作品が選出されている。

バンフでの上映後、優秀作品を中心にワールドツアーとして6大陸29カ国以上を巡り、来場者数の合計は10万人を超え、年々その規模は大きくなって来ているが、日本では過去2回開催し、山岳・アウトドアスポーツ愛好家はもとより、広く一般の方々にも好評を博したとのこと。小生、長山協の代表として、市の100周年記念実行委員を委嘱されているが、市の担当者からこのイベントについては、「特に高校生に紹介してほしい」と言われているので、取り上げた次第。というわけで生徒に紹介して頂ければ幸い。入場無料というのもウリですよ。

期日                               平成19106(土)

開催場所                       まつもと市民芸術館(実験劇場)

チケット・料金           松本市100年記念イベントでの開催のため入場無料(抽選)

チケットの応募については、下記HPをご参照ください。

問い合わせ                   松本市市制施行100周年記念事業実行委員会事務

直通電話:0263-34-3256

まつもと市民芸術館  電話:0263-33-3800

詳しくは下記HPにてご覧ください。

   http://100sai.city.matsumoto.nagano.jp/modules/banff7/index.php

センター講師講習会の感想

8月25、26の両日、七倉沢において山岳総合センターの講師講習会が開催された。今回私の所属した班は、「背負い搬送しながらのへつり」「索道」「「懸垂下降」「岩壁での救助」の4つをみっちりと復習した。講師は長山協会長の柳澤さん。班員は伊澤さん(長野山岳会)、村田さん(松本登高会)、榛葉さん(大町山の会)、小野さん(美須々山岳部OB)と私の5人。以下、私の感想をまとめてみた。

【背負い搬送しながらのへつり】

岩壁に手すりを張る場合、ある程度張り込まなければ意味がないが、過重方向が水平になるのでより強固な支点の構築が肝要。張り込みで加重がかかるので、ザイルを支点へ固定する際、木をかませる、一重結びをするなど解きやすくしておくことも重要。へつりの際のバックアップの吊り下げの際の理想は「M型、できるだけ高い支点」がベストだが、ザイルの長さの制限もあり、いくつかの応用を試みた。背負われる方をしっかり吊ってやると背負っている方は楽である。

背負いにさらしを利用してみたが、「背負う方も背負われる方も意外と楽であり、それ自体安価かつ様々な用途(止血、固定など)で使える」。以上の点でパーティで、さらし一反(600円程度)の携行は有効。

【索道】

強固な支点と過重方向を考える。索道は負傷者が吊られるとV字形になる。張りすぎてVが直線に近づくと支点に大きな力がかかる。岩角と張りすぎに注意する。確保用のロープがバックアップとなる。

【懸垂下降】

支点の重要性。2点以上の確実な支点。ロープを投げ下ろしたときの絡まりなどのトラブル回避のため、ロープは投げ下ろさず、最初に下降する者はシングルで下降し、上部の者が下降者の動きにあわせて上からロープを繰り出してやる。もしダブルで下る場合も末端を結びつけずそれぞれに瘤をつくる方がよいのではないか。

確保は、巻き付け結びはトラブルが多いので使わないほうがよく、第1下降者は上からの確保、第2下降者以降は下からの確保をするのが現実的。シャントは有効。

【岩壁での救助】

まず岩壁を動ける場所の確保をすること。セルフアンカーをとり、かつその場にいる人間が、有効に作業ができることが条件。岩壁では「背負い搬送」は背負うことと下ろすことが困難であり、現実的でない。

実際に経験してみると、担架ならばなんとかなるかという実感をもった。岩壁での担架による吊り下げは「介助の負担、負傷者の恐怖感、岩壁に当たる面が少ない」などの理由で縦に下ろす方が具合がいい。

上からの引き上げは、極めて短い距離でない限り、現実的には不可能である。したがって基本的にはおろすことを考えるべき。引き上げは氷河のクレバスでの転落など引き上げるしかないところで発達した技術であり、たとえ3分の1システムなどを使ったとしても摩擦やロープの伸びなどから、理論通りにはいかない。

【支点の重要性】

支点はどんな場合にも手抜きをしてはならない。これが破壊されればアウトである。過重方向には注意。岩:八の字に巻き付け、交点を支点にとる。結び目(交点)は割って縛ること。立ち木:確実。

編集子のひとりごと

今年の講師講習会を、柳澤さんは「本当に充実した研修になった」とのコメントで総括された。それもそのはず、私の班のメンバーは、常に向上心をもって継続的に参加しているメンバーだったから・・・。しかし、それではそこで何をやっているかといえば、確かに高度な内容もあるが、「支点」をどうとるかというような極めて基本的なことの再確認が根本にある。冬にもまた講習会があるが多くの人の参加を望む。(大西 記)