不定期刊行            233号  2007.10.03

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

秋田国体・・・大町、大町北勢大活躍

秋田県で行なわれていた第52回秋田わか杉国体が終わった。本県少年男子の結果は新聞等でも報道されている通り、縦走が10位、クライミングが5位という立派な成績だった。

大町の笠原君、尾形君、大町北の駒沢君おめでとう。そしてお疲れ様。ご存じのように、国体は今年を最後に大きく変わる。縦走は今年が最後、来年からはボルダリング競技がはいることになっている。国体出発前の先週、中信大会の折、笠原君と尾形君のクライミングを見た。率直に成長したなぁと感じ入った。そして、22日に行なわれた長山協主催の壮行会で、彼らの決意表明を聞いて、並々ならぬものを感じたのも事実であった。クライミング競技が導入されてから、少年の部で本県選手が予選を突破したのは初めてのことだ。笠原君も尾形君も大町高校に入って山岳部に入部してからクライミングを始めた。その彼らが全国の強豪に伍する成績を残したというのは快挙だ。そして、惜しくも入賞はできなかったというものの、駒沢君と尾形君の10位もきっと全力を尽くしてのものだったに違いない。

「チームワーク抜群のいいチーム」、壮行会で長年国体委員長を務めてきた浮須さんはそう述べたが、そのことばに嘘はなかった。宮城国体以来縦走競技に参加し、7回連続で出場し、今回で文字通り最後になる成年男子の山口辰也さんが、少年たちのよきリーダーとしてチームの牽引役となってくれたのも大きかったと思う。僕も02、03年の高知、静岡では成年女子の監督として縦走で入賞できたが、チーム3人で縦走とクライミングを戦うという不合理に振り回され、なかなか思ったようにできないこともあった。どちらかの競技にシフトした際のもう片方の選手のモチベーションの持たせ方や、コンバインドの選手の育成には本当に苦労した。しかし、チームの事情で仮にクライミングにシフトしようとも、常に自己に向かいつづけ、毎年予選会ではダントツの走りでチームに渇を入れてくれた山口さんの姿は、見ていてゾクゾクするほどのものだった。クロスカントリースキーが専門の山口さんには、私が成年女子を見ている時にも縦走選手の精神的支柱として、随分お世話になったものである。そしてその姿に触発されるかのように一緒に走った佐藤さん。ともに長い間本当にお疲れ様でした。

成年になったばかりの武井君も含めて、今年の少年チームのメンバーは、そう言う成年男子縦走チームの姿から何かを得たにちがいない。コンバインドでどちらにもひたむきに取り組んだ尾形君、慣れない縦走競技にこの半年真剣に取り組んだ駒沢君、そして最後まで粘って入賞を引き寄せた笠原君、そして去年少年男子で本国体出場を果たし今年は成年男子のクライミングに果敢に挑戦した武井君(大町北OB)、みんなに拍手を送ります。

そして、入賞した一方で「やっとスタート台に立てた」というコメントを新聞の取材に寄せた監督の小沼さん(大町高)の言葉にも実感がこもっていた。最後にもう一度いいたい。入賞おめでとうございました。

07年度中信新人大会

今年の中信の新人大会は、先週行なわれ大町、大町北、池田工、深志、県ヶ丘、美須々、塩尻志学館、木曽青峰の8校が参加した。(前号のかわらばんで7校と書いたのは誤りでした)大町北、深志、木曽青峰(旧木曽)が久しぶりに参加し、活況を呈した。1日目は山岳総合センターを起点に鷹狩山を中心にしたラインオリエンテーリング。彼岸だというのに、真夏並みの暑さの中の大会だった。ラインということでどこの学校にもしがらみのない小生がスイーパー役を仰せつかったが、本当に暑かった。ほんの10日ほど前のことなのに信じられないくらいだ。さしたるトラブルもなく競技は無事終了。

食事を済ませたあとの交流会の第1部は、蟻ヶ崎山岳部のOBで今はカモシカスポーツにいて、ガイドもしている中島さんに「最新の山道具の選び方と使い方」について話してもらった。彼が蟻ヶ崎にいたころの顧問は松田、赤羽、遠藤氏らであり、まさに全盛期であった。宮城IHにも参加し、仲間たちの何人かは当時行なっていた訪中隊の隊員(彼の奥さんもその一人)でもあった。久しぶりに参加校が増えた反面、伝統のある「蟻ヶ崎」の名前はなく、彼の後輩たちがいないのは残念だった。話はザックの選び方から靴の中敷きにいたるまで、山道具屋さんの裏話を楽しく聞くことができた。第2部は恒例の各学校による自己紹介と出し物の時間。大人は別室で盛り上がる中、専門委員長の小林さんとふたりで生徒たちが軌道にのるまで見ていると、どこの学校も誰に言わされるのでもないのだが「来年はもっと大勢でインターハイ狙う」というようなことを言っている。僕らが普段感じていないことを意外と生徒たちが意識しているのをそれとなく聞いた気がした。ジャンケンで司会に選出された大町の小山君がうまく取り仕切り、各校次第にうちとける。その様子を見てあとは生徒に任せて、大人は大人の世界へ突入。

2日目は、センターの人工岩場に場所を移してのクライミング。中信地区の高校生にとっては、クライミングはかなり身近なものとなってきた感がある。北高、白馬、美須々とセンターのボルダー壁、センターと駒ヶ根の人工壁、それに加えて最近は屋外の岩場での活動も増えてきた。時折は、顧問の交流で複数の学校での合同練習なども行なわれている。もっともっと進められればいい。・・・11時30分、閉会式。交流というもう一つの目的も十分果たしながら、大会は幕を閉じた。

編集子のひとりごと

今日(3日)から7日までの日程で、松本市ではUIAA(国際山岳連盟)、UAAA(アジア山岳連盟)の総会が始まった。日本国内での開催は2回目であるが、そのいずれもが松本での開催である。僕は、地元の山岳協会の代表として、日山協から頼まれて会場のMウイングに詰めている。世界の40あまりの国と地域から代表が集まっての国際会議。英語が飛び交う中、笑顔で応対している。会議そのものは一般には非公開だが、松本市ではこれに絡めての山関連のイベントをいくつか併催して、盛り上げている。先に紹介したバンフ映画祭のほか、会場のMウイングでは会期中北アルプス南部登山史展が開催され、7日には松本市民芸術館で今井通子らによる「山岳シンポジウム」、同時に信大山岳科学総合研究所によるポスター発表、8日には上高地・徳本トレッキング、13・14日には信大で「上高地の自然史シンポジウム」。明日から、夜は毎晩お付き合いということになりそうだ。島国に住む人間にとっては、貴重な体験ではある。(大西 記)