不定期刊行            256号  2008.5.20

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

木曽高校定時制アウトドア部「木曽街道踏破」――野尻から妻籠

部員数10人を擁するアウトドア部は今年も元気だ。8日、その発足第1回の活動を行った。足掛け3年にわたって継続してきた「木曽街道踏破」の第6回目。今回は野尻宿をスタートし、妻籠宿までのコース。参加者は2年が男子1、女子2、3年は男子2、そして4年は女子1、そこに顧問として初参加の河上女史に私を含めた総勢8名の豪華キャスト。なお、参加者の一人Hさんは64歳の生徒でもある。

顧問二人で車回しをした後、10:10野尻駅前をスタート。曲がりくねった道と平行した宿場の中を進む。家々にはハナミズキや石楠花など春から初夏の花が咲き乱れ、福島の町に比べれば随分季節も進んでいるという感じである。宿場を抜けて暫く進んだところで、線路沿いの旧道に入る。気温もぐんぐんあがってきたが、かんかん照りではないので、むしろ木陰にはいると爽やかな感じである。わき道には、小首かしげたワラビが散見。道草しながら先へすすむ。思わぬところで、意外な収穫。

阿寺川を過ぎ、暫く進むと木曽川にかかる吊橋が見えた。「渡りたい」という生徒の声が聞こえたのか、橋のそばで畑仕事をしているおじさんが「渡れるから来てごらん」という。のどかな風景である。渡ってもその先の軌道あとが崩れているため、右岸道路を行くことは叶わないので、渡ってはみたもののまた元へ戻る。

テキスト ボックス: 眼下にエメラルドグリーンの
木曽川を望む(十二兼付近)
11:20十二兼駅通過。このあたりから望む木曽川はグリーンの水をたたえ花崗岩の白と相俟って美しい。やがて木曽川は柿其川と合流し、さらに水量を増やして下っていく。柿其を過ぎて少し行ったところから川原に降りて、水辺で昼食とする。それぞれに食事をとり、大きな花崗岩の上で寝転んでいればこの先歩くのもいやになるようなぽかぽかの昼寝日和。ここは心を鬼にして、出発の号令をかける。

再び国道を南下する。与川を渡り、金知屋の集落を通る辺りは、ものの本によればかつての最大の難所「羅天桟道のあと」が見られ往時の苦労が偲ばれるとのことだったが、国道の西側の歩道を通っていたためかよく分岐がわからないまま通過してしまった。そのかわりといっては語弊があるが、川沿いの竹林にちょうど頃合いのタケノコが数本。ちょいと一休みして頂く。ザックが小さかったのが残念なところ。

結局そのまま国道を進み、三留野集落へはいる手前から国道と分かれて旧道へはいった。旧道を暫く戻って、円空仏で知られる等覚寺まで坂道を登った。時に1:40、少し時間がおしてきたので残念だが三留野宿まで戻るのはパスして、妻籠方面へときびすを返す。南木曽駅、国道を眼下に見ながら、道標にしたがって山の中の旧道を進んでいく。かぶと観音で一服してからさらに進み、戦沢の木橋を渡ると、いにしえの道を思わせる石畳の道が続いていた。15:00、妻籠の集落の入り口にあたる道沿いに歌碑があった。「この暮れの物悲しさはわかくさの妻呼びたてて小牡鹿鳴くも」解説によれば、手まり上人と呼ばれた良寛が木曽路を通った折、詠んだ歌という。作歌時期は、良寛27歳の時、38歳の時、20代後半など諸説あるそうだ。

テキスト ボックス: 妻籠宿へ続く石畳の道を行く15:10妻籠城址への道を分け、やがて、道は妻籠宿のはずれの鯉ヶ岩に至り、宿場に下りていくと人の数も一気に増えた。本日の踏破終了は15時30分。車の回収をし、南木曽温泉で生徒と裸の付き合いをして汗を流したあとはいつもどおり学校へ戻って授業!

今週も針ノ木へ行ってきました

テキスト ボックス: 左:大木を次々となぎ倒して進んだ爪痕、中:まるでスキー場と化した岩小屋沢、右:えぐられた対斜面テキスト ボックス: 針ノ木山頂の三角点と立山17日は長山協指導委員会の雪上技術交流会IN針ノ木。一週間ぶりに再び針ノ木を訪ね、山スキーでマヤクボ沢を詰め、針ノ木山頂からの滑降を楽しんだ。急激に気温があがったためか、通称「ノド」のあたりでは、登るときも下るときも雪崩が発生しており、マヤクボ沢も至る所で発生直後と思われる雪崩のあとが見られた。一人で喘ぎ喘ぎ登って行くと上から大西英樹氏が滑ってきた。なんでも一日暇ができたので、ちょっと滑りに来たとのこと。さすが山スキーフリーク。誰もいないマヤクボ沢を登り詰め、稜線に出る。頂上直下の登り20mほど一度スキーを脱いだが、山頂までスキーを上げて山頂から滑った。誰もいない斜面を思う存分楽しんだ。登り3時間、下りは30分、雪上技術交流会に参加していた面々と大沢小屋付近で合流し、ノンアルコールで彼らの宴会にしばし付き合った後下山。先週訪れたときは雪崩で埋まっていた土捨て場までの道は復旧し、雪解けも一週間でかなり進んだが、雪崩の爪痕は先週報告した通りだった。今回は写真を撮って来たので、写真で報告する。

編集子のひとりごと

木曽高校定時制アウトドア部は今年も元気です。先の木曽街道踏破に続いて、15日には駒ヶ根でクライミングを楽しんできました。仕事の都合もあり、今回は男子3名のみの参加であったが、暖かい日差しを受けて、3時間ほど楽しんだ。(大西 記)