不定期刊行            267号  2008.8.21

中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

私の「夏山便り」その3 剱岳周辺での文登研研修会 研究協議編

「文登研」の「研修会」では研究協議の場面がある。県外の高校の山岳部の状況がいくつか知れたので、それらを羅列的に紹介したい。私個人としては、長野県にいてはわからない各県、私立高校の実情などもわかって興味深かった。(県名のあとの県は県立・私は私立、一部講師のアドバイスも掲載)

1)IHに向けてトレーニングをどんな風にしているか?

・個人的には「競技」登山は好きじゃない。夏合宿をメインと捉え、IHもそのためのものと考えてトレーニングさせている。(群馬県)

・IH自体知らない。取りたててトレーニングはしていない。(東京私)

・「競技登山」はやはり好きではないが、生徒のモチベーションを上げるにはいい。山形ではIHに出場するための最低条件というのがあって、年間35日間山には入ることが義務づけられている。(山形県)

・週3回走ることを義務づけているが、現実には有名無実になっている。山行は月に1回行っている。(東京私)

・大会に向けて下見をするくらいでとりたてては行っていない。(栃木県)

・部員25名でIHに向けて走る、筋トレ、スクワットなどを行っている。(岩手県)

・ザックを背負って走るなどということをしているが、部員が全員兼部しているのが悩みである。(岡山県)

・(山岳部はないが)一年生が全員で集団登山をする。そのために学校裏の里山に登らせて、体力を見て実際の登山に活かしている。(島根私)

・周1回筋トレ、あとはマラソンなど。(三重県)

・月1回は山へ行くようにしている。(広島県)

・トレーニングはろくにしていない。(東京私)

2)山の魅力をどのように生徒に伝えているか。

・入学後2週間、自作のボルダーでPR。コンロでココアを作り振る舞う。スライド作成して部の紹介をする。(岩手県)

・文化祭で山行記録を発表したり、テントを張ったりしてアピール。(東京私)

・文化祭で発表。豚汁を作ったりする。(栃木県)

・IH県大会が終わったあとあたりが勝負。退部した生徒や相談室通いの生徒などにも積極的に働きかける。(青森県)

・行き場所の、居場所のない生徒に声をかける。(群馬県)

・他のスポーツは資質が影響するが、特段の資質がなくても山は息の長い活動が可能である。情熱を持って取り組めば夢が叶いやすい。何をやりたいかわからない人にはぜひ勧めていただきたい。(講師)

・達成感を味わわせるために顧問がいろいろ演出する。(山形県)

・達成感が生徒同士で共有され、生徒間で伝わっていけばいいなぁと思いながら山へ行っている。(広島県)

・キャンプが面白い、スキーが楽しいという域にとどまっているのが現状である。(岡山県)

・私がコーチをしている学校では、保護者向けの報告書を作ったりしている。(講師)

・山岳部はチームプレーではあるが、黙っていても活動はできる部分がある。そんな点で「しゃべらない生徒」にとってはいづらくない場所ではないか。また卒業までつづけられるということは自身につながっているような気がする。(東京私)

・トレーニングや仲間づくりをしている様子を目に見えるように宣伝する。山の写真を掲示板に貼ってやることなども効果的だ。(講師)

・記録集を作って職員などにも配る。(山形県)

3)夏合宿や冬合宿はどんなふうに行っているか。

・蓮華温泉から五龍まで4泊5日。冬山は県全体で尾瀬へ行く。(群馬県)

・谷川1泊2日、木曽駒など。(東京私)

・朝日、飯豊などで4泊5日。冬は近場で行い、春は2泊3日。IH目指して1年に35日以上山へはいる。(山形県)

・岩木山(青森県)

・冬岩手山1泊2日。夏奥穂高3泊4日。(岩手県)

・北岳3泊4日。冬日光白根1泊2日。(栃木県)

・金峰。仙丈、鳳凰など4泊5日。(東京私)

・県全体で北アルプスなどへ行く。(岡山県)

・夏2泊3日。三重県では、八ヶ岳、御嶽、中アの3カ所をローテーションしながら合同冬合宿を行っている。(三重県)

・県の規定で県外へは出られないので、顧問が個人的に連れて行くのが現状。(広島県)

センター講師講習会のテキストを長山協HPにアップ、その心は

8月30日、31日の両日山岳総合センターと長山協遭対、指導両委員会共催で「講師講習会」が開催される。今年の研修会は、「支点の構築や懸垂下降に重点をおき、山岳協会員ならば経験が浅い方でも参加できる内容」になっている。すでに締め切りは間近だが、自身の力量をあげるためにもぜひこういった機会を積極的に活用して欲しい。今年は、長山協のHPにこの講習会のテキストをアップロードして誰でも閲覧できるようにしてある。執筆者は柳澤昭夫長山協会長である。なぜこんなことをしているかというと、それには理由がある。山岳会の中での「知恵」の伝承がなされがたくなっている現在、長山協としてかつての山岳会の役割を担おうという取り組みの一つでもある。

だから、テキストは絶対的なものではなく、講習会の実戦的な議論の中で加除訂正、補筆しながら、山岳会員の「知恵」と「技術」を盛り込み次代へつなげていこうという壮大な試みでもある。参加しないかたであっても是非こちらには目を通してご意見を長山協までお届けいただきたい。執筆者柳澤さんの思いもそこにある。

編集子のひとりごと

9月6、7日のセンター高校クライミング研修会への参加もご検討下さい。こちらについても締め切りは今日までですがまだ受け付けているとのことです。(大西 記)