不定期刊行            283号  2008.12.19中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

08冬の中信安全登山研究会

12月9日大町北高校で行われた恒例の中信安全登山研究会は、柏原大町北校長、西牧(大町北)、小沼(大町)、松田(県ヶ丘)、大西英(志学館)に私の6名が出席。今年の学校登山の総括、各校山岳部の夏山を初めとする活動の総括、研修交流会、今後の計画などを主課題におよそ1時間半にわたって熱心な討議が行われた。

夏山登山は白馬、大町、大町北の3校で無事行われ、山岳部もそれぞれに面白い活動をしたことが報告された。これらは近く発行の年報にも記載されているので、そちらでご覧いただきたい。これらの活動に加えて中信地区からはインターハイ出場校も3校と気を吐いたが、国体でも少年男子の大町の尾形君と深志の中嶋君が活躍するなど競技登山の面でも大活躍の年であった。

会議の中では生徒を冬山に連れて行くにあたって、文科省からの「冬山」についての通達についても話されたが、これについては「冬山に登るな」というものではなく、「安全に気をつけながら行いなさい」という前向きなものであるとの認識を参加者の間で共通理解。その上に立って、以前からこの研究会で申し合わされている「冬季は県境稜線には立たない」という暗黙の了解を改めて確認した上で、安全に生徒を引率するために、合同で合宿したりすることの可能性などについて貴重な意見交換ができた。冬山に生徒を連れて行くにあたっては、顧問の技術習得の場が欲しいという要望も出され、それについてはセンターの講習会を利用したり、顧問同士で連絡を取り合ったりしながら、集団的に技術を高めていかれる場を設定しようということが話された。これについては具体的な話になったら、また「かわらばん」等を通じて紹介したい。

また、かわらばんでも紹介したが、11月に行った「顧問研修交流会」について来年度は松本方面で行うことも提起。03年にこの安全登山研究会が中心になって自主的に立ち上げた顧問の研修と交流の機会だが、すっかり定着した感がある。

この会に参加されなかった中信の各校には事務局の西牧さんから、後日まとめが送られる予定なので、そちらを参照されたい。

木曽谷岩場開拓物語 パート5 レイクサイドエリア

12月10日、山岳総合センターの中嶋岳志さんと二人で木曽谷上松町の岩場を開拓に入った。すでにかわらばんでも何回か紹介してきたが、長山協ジュニア委員会では、高校生が安全に練習できる自然の岩場を開拓整備しているが、これもその事業の一環である。木曽にはおかげさまでこれまで木曽町福島の「権現の岩場」(最近町の広報紙でここが「屏風岩」と呼ばれていることを知ったので、今後は「権現滝屏風岩」というのがよいだろう)に3ルート、上松町「隠れ滝の岩場」に4ルート、同じく上松町隠れ滝の先の公園の岩場(ここは池のほとりにあるので、便宜上「レイクサイド」と称することにしてはと思っている)に3ルートを、長山協の森山さんと中嶋さんらの協力で開拓してきた。今回は「レイクサイド」に新たにもう一本開拓した。開拓中岩場の上部には猿の群れが現れ、テリトリーを荒らすなと、我々の行動を監視するかのごとく木の上で枝を揺らしながら威嚇をしていた。

さて、その「レイクサイド」だが、いつも「岩」にばかり目が向いていて周りを見ていなかったが、周囲は、公園になっていて、芝生もあってトイレ水道完備なので、そこにテントを張って泊ったり、焼肉をしたりして遊んでも面白い。公園の管理者に掛け合ってみる価値は大ありで、もしここを使ってのキャンプがオーケーとなれば、「隠れ滝」「レイクサイド」の両方の岩場と木曽川を使ってかなり面白い遊び方ができそうだ。とにかくこれら3箇所の岩場のいい点は、車がほぼ横付けで、アプローチが至便であるという点である。

さて、今回のルートは、岩場の張り出したカンテ沿いに登るルートである。ルートができたあと、私も一本登らせてもらったが、なかなか面白いラインになっていた。そのあと、木曽川沿いに車を走らせながら、ボルダーをいくつか視察。有名な親子シャチなどのほかにも木曽川ボルダーとして紹介できそうなものもいくつかあった。これらもまた日を改めて紹介したい。

中嶋さんとは12月のうちにもう一回か二回整備しにいければと相談しているところである。興味のある方はお声掛けください。お付き合いします。

松中・深志山岳部90年事業「山のうた」を中信の山岳部に寄贈

松本深志高校の前身、松本中学に山岳部ができて90年になりその祝賀会がおこなわれたことは「かわらばん263号」に書いた。この折、山岳部で歌い継がれてきた「山のうた」をまとめた歌集を作ってみんなで歌って盛り上がったのだが、このほどその歌集が中信地区の高校山岳部(11校12部)に5部ずつ寄贈された。この事業の実行委員長の加々美隆氏は小生の高校時代の同級生でもあるのだが、数日前に中信地区の高校に寄贈したいと連絡を受けていた。それが昨日木曽高校にも送られてきた。昨年静岡高体連登山専門部でも創立50年を記念した歌集が作成されて、作成者の黒川勝先生から早速送っていただいたこともある。深志の歌集には116曲、静岡の歌集には80曲が集録されている。いずれもポケットサイズでザックの底に忍ばせて持って行くのに苦もない。両方の歌集に共通する歌、歌詞が微妙に違う歌、山の歌ではないが山で愛されて歌われてきた寮歌、歌謡曲からアニメソングまで、いずれの歌集にも懐かしい歌が並ぶ。

山で、時には火を囲みながら、また時にはテントの中で、歌を歌うというのは「文化」であろう。記念事業の実行委員長の加々美隆氏は「部室の片隅にでもおいて歌って頂ければ幸い」という。ぜひ有効活用して頂きたい。

編集子のひとりごと

今年の中信高校山岳部年報を脱稿し、印刷に回すことができた。おかげさまで年内に編集を終えることができたので、新年早々には出来上がるかと思う。白馬、大町北、大町、池田工業、明科、松本県ヶ丘、松本美須々ヶ丘、松本深志、松本筑摩、塩尻志学館、木曽青峰(全日)、木曽・木曽青峰(定時)の11校12の部から原稿が集まった。今年は、明科で丸山先生が地学研究会の活動の一環で「糸静探検隊」を組織し、糸静線上の山を登っている報告を寄せてくれ、筑摩からも久々に活動が報告されるなど、昨年より活動校が2校増えた。縮小一方ではなく、新たな胎動の兆しがあるのは嬉しい。(大西記)