不定期刊行            292号  2009.1.30中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

石川県高体連リーダー講習会 大聖寺高校鴻埜伸一先生の報告

暮れに私の拙文を、その後群馬県の対比地さんの文章をご紹介しました。今回は石川県の鴻埜伸一先生から今週末に行われる石川県高体連のリーダー講習会についての紹介をして頂きましたので、掲載します。少ないながらも「県内高校山岳部員全員が対象」というのは、見習うべき点かと思います。他県の様子を知ることは貴重です。長野でもかつては5月の山岳総合センターでの針ノ木講習会がこういった意味合いをもっていたかと思いますが、いつの間にかどんどん縮小してきてしまいました。以前岡山県の田中初四郎先生に、岡山県で行われている高体連の研修会のことをお聞きしました。こういったことをされている県は他にもあるやに聞いています。かわらばんをお読みの他県の先生方からそんな情報を寄せていただければ、それをヒントに各県の活動に活かせるのではないかと思っています。ぜひご投稿ください。(編集子)

石川県のリーダー講習会の件について報告します。

期日は1/31(土)、2/1(日)の2日間で、毎年白山少年自然の家(白山市瀬戸野)で行っています。対象は県内高校山岳部員全員が対象です。現在、加盟校は8校で参加生徒は30名弱とういう規模です。本県において、部員減少は激しいものがあります。

内容は野外活動と研修会です。野外活動はスキーとかんじき歩行が中心で、各学校ごとに2日間の計画を立て、スキー技術、かんじき歩行の指導は顧問が行います。かんじき歩行は複数の学校が行動を共にすることもあります。研修会は夕食後、研修室を使って行われ、各学校の活動報告、全国インターハイ参加校の報告、事務局が企画した研修を行います。今年の研修は今年封切られる映画「剣岳 点の記」のデモ版を鑑賞する予定です。この映画にエキストラとして参加した立山ガイドの方にも来ていただき、映画撮影にまつわる話しや、山のすばらしさについて話しをしていただく予定です。研修の内容に関して最近はスキー技術の向上のため、技術解説のDVDを鑑賞したり、新しく夏山大会の会場とした南アルプスの山域研究をしたりしてきました。

リーダー講習会は部員の多いときは学校の代表が参加していたときもあったと記憶しています。本県において多いときは130名以上の部員を擁していたときがあり、研修内容も遭難事例に学ぶというようなことも行っていました。

冬山登山はできない高校山岳部において、冬の時期に活動の場を設けるという意味でリーダー講習会が作られたと思うのですが、部員減に伴い、かんじきを履いて近くの低山を登る学校が減り、スキーのみをする学校が増えているのが現状です。

部員が減り、技術が低下している山岳部の現状に何かしらいらだちのようなものやもどかしさを感じているのは私だけではないと思います。そんな中で、「高校山岳部の活性化を考える」シリーズは興味深く読ませていただきました。まったく肯かせられる事ばかりでした。大西さんのおっしゃるように、@顧問による山岳部の活動の意義の再認識、A生徒に興味を抱かせ、アウトドアの場に引き出す工夫、B山岳部の指導に「ズク」を出す(この表現あってます?)←あってます。長野県の方言をよくご存じで…(編集子)

このことを念頭に置きながら、地道に指導に当たるしかないと思います。

(大聖寺高校 鴻埜 伸一)

2008年度版「中信高校山岳部年報」bR2ができあがりました

本年度版の中信高校山岳部年報が完成した。中信の山岳部の全顧問・部員への配布のほか、今年も私学も含む中信の全高校には中信地区安全登山研究会会長で大町北高校の学校長柏原康久先生より一冊ずつお配りすることになっている。

今年も、その柏原康久先生から「曹源一滴水」ということばに寄せて、素敵な巻頭言を書いて頂くことができた。感謝。メインとなっている各学校の山岳部の活動報告の部には、白馬・大町北・大町・池田工業・明科・松本深志・松本美須々ヶ丘・松本県ヶ丘・松本筑摩・塩尻志学館・木曽青峰高校全日制・木曽(木曽青峰)高校定時制の11校12課程の山岳部の活動が報告されている。異質なところでは、明科高校の地学研究部が登場、「糸静探検隊」と称して、糸魚川静岡構造線に沿って、山に登り、地質や自然を観察してきた結果が報告されている。昨年3人で発足した部だが、今年は部員も10人に増え、文化祭で途中経過を報告するなど校内でも認知されてきたと言うことで、今年は年報にその名を連ねてくれた。その他、中信の新人大会や県大会の講評や地図・知識問題などの資料、中信の新人戦の際の浅川行雄先生の講演「常念山脈のおいたち」のレジュメ資料なども載せ、一年間の高体連の活動も網羅した。

さらに顧問の寄稿ということで11月に行った登山技術研修交流会の様子を西牧(大町北)、小林(白馬)、三村(木曽青峰)の三先生がレポートしてくれた。また手前味噌であるが木曽高校定時制の足かけ三年にわたる「木曽街道踏破」の記録や、今年度発行したかわらばんの中から注目記事をピックアップして再録、国体長野県少年選手の活躍の記録や大町高校の全校登山のことを扱った新聞なども集録した。お入り用の方には実費600円でお頒けします。大西までご連絡下さい。

編集子のひとりごと

先日、中信高体連の理事長と競技別専門委員長の間でヒアリングが行われた。主目的は、来年度の大会の予算折衝であったが、せっかくの機会でもあり、各競技団体の実情を聞きたいということだったので、本文でも紹介した「年報」を創刊号から今年度号まで全32冊を持参し、この年報の意味、果たしてきた役割などについてお話しした。特に一昨年発行した30周年記念号に所収した種々の記録については、高体連にも残っていない記録が網羅されているということで、高い評価をいただくことができた。

現在は「中信高校山岳部年報」の名前で発行されている年報だが、創刊以来20号(1996年度)までは「中信高体連登山部年報」というタイトルで発行しており、かつては高体連からも補助などをいただいていたこともあった。ところが、1995年にあるところからいわれのないクレームがつけられるといういきさつがあり、発行を差止められるという事態に至った。我々顧問としては、名を取るより実をとろうと21号からは「高体連」の名前を外して発行してきたという経緯がある。ヒアリングの中ではこの「いきさつ」についても率直にお話しし、我々の含むところを理解していただけた。また、今年で6回目を迎えた「登山技術研修交流会」についても、高体連の講習会として予算措置をしていただけそうな感触を得た。いずれも「継続は力なり」である。(大西記)