不定期刊行            294号  2009.2.12中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

石川県・岡山県・長野県高体連メンバーコラボ山スキー

昨年秋の「北信越高体連登山部連絡協議会」で意気投合した大西英樹氏(長野塩尻志学館)と根石修氏(石川小松工業)が中心になって、2月7日、8日の両日山スキー合宿を企画してくれた。せっかくの機会だからと、我が信高山岳会のメーリングリストでも同好の士を募った結果、長野からは大西英樹、久根敏(高遠)、松田大(県ヶ丘)、佐藤元(阿南)と私、石川から根石、鴻埜伸一(大聖寺)、そこに岡山県の田中初四郎さんも加わってのべ8人が集まった。

2月8日は7時40分に小谷温泉入り口に集合。雨飾山P2からの滑降を企てた。小谷温泉の手前のトンネルに車を止め、林道を進む。温泉を回り込み上に出ると不帰、八方尾根、五龍遠見尾根、鹿島槍あたりがパッと飛び込んできた。およそ30分で栃の木亭についた。ここからは雨飾の双耳峰が望める。少雪の今年は大渚山の東面にはブッシュも出ている。大海川沿いの林道を北に進み、9:30に夏の登山口であるキャンプ場に到着。先行していたパーティは、昨夏文登研の研修会で一緒に講師をさせてもらった立山の佐伯岩雄さんのグループだった。一本とってから大海川沿いを進み、P3(1510mのピーク)の尾根にとりつく。先行のパーティのおかげでラッセルもなく快適。ほどなく佐伯さんたちのパーティに追いつき、我々が先行するがその先にもさらに先行者が4名ほどいたので、あまり苦労することもなく、11:00にはP3に着いた。正面にP2と雨飾の双耳峰が大きくなってきた。気温も上昇し、厳冬期とは思えないほど。まるで春スキーの趣である。すでにP3直下の斜面を登っている先行者が豆粒のように見える。いったん下った後、再び尾根の登りにとりかかる。小生を先頭に7人の列が続く。青空の下、やがてブナ林が途切れ、真っ白な斜面にダケカンバが散見されるようになるとP2は近い。尾根の左側を巻き込んで上部のちょっとしたプラトーに出るとそこはもう頂上(P2)直下である。最後にズンと登って12:35に1838mのP2に到着した。東には焼山が聳え、その先には真っ白い火打。反対側の北アルプスも屏風のように連なっている。青空に白い雪が映え、尾根はゴツゴツとしたフトン菱からロバの耳のような双耳峰の主峰へと続いている。

風もなくピーカンの頂上でおよそ1時間。ゆったりとした時間の中で眺望を思う存分楽しんだ。下りは日射のあるところはザラメ状になりつつあってやや重かったが、日陰ではパウダーのふわふわを楽しむことができた。それぞれ思い思いに自分のシュプールを描いてブナ林の中を気分良く滑り、最高の一日となった。

滑ったあとは下里瀬温泉に下りて、夜は交流宴会である。大会や会議で顔を合わせることはあっても、こうして山を一緒に楽しむという機会はそうはない。今日一日の山行の話はもちろん、様々な話に花が咲き、あげくは宿のおばちゃんまで話に引き込んで愉快な一夜であった。部屋に戻ってからも新たな夢の話や他の山の話で盛り上がった。

2月9日は、新雪が里でも10cmほど降ったが、朝食後栂池へ移動。勇んで白馬乗鞍へと向かった。ところが山頂駅の栂の森付近が強風とのことで、ゴンドラが運転を見合わせていた。ここでのゴンドラ待ちはもういつものこと。上部には確かに雪煙があがっている。そんなことで暫く待機していたが、一瞬ゴンドラが運転された(僕らが乗ったあとまたゴンドラはストップ)のを逃さず、ワンチャンスで上まで上がることができた。八方尾根からも猛烈な雪煙が舞い上がっているのがよくわかる。

9:40栂の森。誰とは言わないが自分で「年寄り」と称する二人はリフトに、残りの自称「若者」は歩いてと、それぞれの方法で林道の入り口まで移動、そこで再合流。登り出しは10:00であった。10:30成城小屋着。晴れてはいるものの、天狗原下部あたりまで来ると猛烈な突風が吹き、地吹雪となった。ここで完全装備になって天狗原に向かった。天狗原からは竜巻を伴った突風が吹き荒れている。ちょっと嫌な感じの白乗の大斜面を少し間を空けながら、登っていく。我々の他には誰もいない。13:00山頂着、猛烈な風が吹いている。地吹雪で雪煙が上がると全く視界も閉ざされ、飛ばされそうである。下り口を求め、頂上の南東の尾根先まで進むが、斜度と雪の状態から小生の技術では無理と判断、やや不満気の英樹氏をよそにさっさとオーソドックスな夏道の大斜面へと踵をかえす。そこからは雪崩れそうでいやな感じである上に、下からは第2陣で上がってきたパーティが数人。注意しながら自然園の方に滑り込んだ。13:30天狗原台地の縁で一本。そこからの落ち込みのところで英樹氏が雪面を切り、表層雪崩が発生。(左の写真)30cmくらいの厚さでおよそ100mほどの雪崩が発生した。幸いなことに人的な被害はなかった。14:30 全員無事駐車場帰着。そして岡山の田中さんから無事帰宅のメールが届いたのは午前1時すぎのことだった。長野からは竹内佳一(諏訪実)、福島伸一(中野西)、石川からは北川甚一氏(小松)も参加予定だったが、諸般の事情で不参加。次回はぜひ!

編集子のひとりごと

明治41年に出版された三好学と牧野富太郎の「日本高山植物図譜第2巻」がそのままゴミ箱にいくところだった。100年前の貴重なしかもカラー版ですぜ!それから大正6年刊武田久吉の「高山植物」も!これらは本来公共的なところで保管すべきと言う気もするが、何が廃棄されるかわからないので図書館から暫く目をはなせない。(大西記)