不定期刊行            303号  2009.07.01中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

「高校生に夢を!」 その1

私の所属する社会人山岳会、信高山岳会のテーゼは「高校生に夢を!」である。やや不遜(いや、かなり不遜、否とんでもなく不遜!!)を承知の上、あえて誤解を恐れずにいえば、これは僕自身の人間としてのまた教師としての生き様でもある。「信高山岳会」に人として、また教師として育てられてきたから今の自分がある、嘘偽りなくそれは言える。私にとって幸運だったのは、その信高山岳会の提唱者の勝野順先生と初任校で席をならべて仕事をすることができたことだった。

 「高校生に夢を」を旗頭に、信高山岳会が中心となって1988年から1994年まで6次にわたって、長野県内の山岳部の生徒たちと中国の5000m級の山を舞台に「夢」を共有した「長野県高校生訪中登山交流会」。あの壮大な事業が発展的に中断してから、早いものですでに15年が経過した。僕自身、91年7月30日に青海省の「達理加山」(4635m)の山頂で高校生と一緒に流した涙を、今でもありありと思い出すことができる。まさにあれが「原点」だった。そこで山のみならず中国にも、そして何より「高校生に夢を」の持つ魅力にはまってしまった。その後長山協主催ではあったが、志を同じくする高校教師5人を含む隊員で構成されたアリューシャン登山隊でも「夢」を育むことの素晴らしさを教えてもらった。そして、以来私自身の訪中も7回を数え、崑崙の未踏峰「セリッククラムムスターグ(カシタシ主峰)」(6691m)にも登らせてもらった。

・・・1994年の第6回訪中隊の出発直前、実は「第7回隊」も準備に入っており、隊長及び秘書長候補が決まってもいた。あのころ、訪中登山で得たノウハウを活かしてより小規模での訪中登山や、私がアリューシャン隊でお世話になったカナダ在住の「加藤幸彦」さんのお宅をベースに高校生カナダトレッキングの話や、数校でのコンパクトな台湾での夏合宿なども話題になった。しかし一方で、本家本元の「訪中隊」もマンネリ化による若干の意識のズレやスタッフ不足などから、本当に続けていけるのかについて、勝野、伊澤両御大を含むいわゆる「訪中隊スタッフ」の間でかなり突っ込んだ議論がなされた。結果、「第7回は計画しないが、『高校生に夢を』の理念は持ち続け、いつでもそれが復活できるように応援する、だからこれは中止ではなく『発展的な一時中断』である」という合意のもとに「訪中隊」は中断した。その後、今は野沢南にいる舟田さんが高校生を連れて上海から上陸し青海省の山小屋(青海信越山荘)を使ってトレッキングを行ったことがあったが、それ以後長野県の高校生を連れての「訪中は」途絶えている。

2000年に崑崙へ遠征したとき、栃木県の高体連の登山隊が「コングールチュビエ」を目指していた。全くの偶然ではあったが、新疆の省都ウルムチで旧知であった隊長の石澤さんと出会った。そして石澤さんの口から、「栃木では登山隊とは別にカシュガルからパキスタンへトレッキングをする高校生隊を組織して、BC訪問することになっている」ことを聞き、黄山公園では夢に胸膨らませている当の高校生にも会った。

・・・そして、今年度「知命」の年を迎える私にとって、やはり原点は「高校生に夢を」である。それを起爆剤に若い先生にも夢を繋ぎ、さらには学校にも夢をもつことの素晴らしさを拡げたいという思いが止みがたくなった。確かに時代は閉塞し、日に日に窮屈になってきている。若者が「蟹工船」で描かれた世界に自分を重ね、「太宰」が再評価されているという時代状況の中、やはり夢をもつことを僕らが高校生とともに創造していくことが求められていると感じている。

「チャンスは前髪でつかめ」という。先ごろ帰国した新疆のヌルさんと去年の夏ごろから話をしていて、いい山を見つけた。これこそ、前髪でつかむべきチャンスだと思った。今から20年前にできたからといって、そう簡単にできるとも思えない。しかし、ここで躊躇していてはだめだと自らを鼓舞してこの新しい夢を追おうと決意した。そして・・・こうやって公言することで自らへの責任も生じ、自分自身をやらねばならぬ状況へと追い込む事にもなる。幸い会の中でも多くの人が賛同してくれている。苦しいときにはきっと誰かが助けてくれるだろう。高校生に「夢」をもってもらえるような企画の実現をさせるため、今夏新疆へ偵察に出かける。(以下、次号へ続く)

各校今年の夏山の計画は?・・・7/7に中信安全登山研究会

 中信地区の高校には、6月19日付けで「安全登山研究会」の通知が届いていることと思います。事務局の西牧さんからPRしてくださいとの要請がありました。皆さんご承知のこととは思いますが、改めてお知らせします。この会議の主旨は安全登山のために中信地区の高校の山岳部顧問、学校登山責任者が集まって夏山に向けての情報交換と検討をするというものです。こういった会は顔をあわせて話をしていることが、何より意味があることだと思います。今週中に各校の夏山計画を立て、ぜひご参集ください。やむを得ず欠席される方は、事務局西牧さんのところへ「資料」をお送りください。

 なお、秋に予定されている「顧問の研修会」についてもここで議論できればと思っています。あわせてよろしくお願いします。なお、日程・概要は以下の通りです。

1 日 時     2009年7月7日(火) 16:30〜17:30

2 場 所     大町北高等学校 応接室

3 参加者     学校集団登山関係職員・山岳関係クラブ顧問

4 議 題     学校集団登山計画の検討

          山岳関係クラブ夏山登山計画の検討

          山岳総合センター主催講習会について

          その他

5 資 料     当日、貴校の登山計画書を15部お持ちください。

6 その他     出席の可否につきまして、事前に担当までご連絡ください。

*事務局:大町北高等学校 担当:西牧岳哉 TEL0261-22-0149 FAX0261-23-5740

編集子のひとりごと

学校では文化祭の準備、私の面では、7月25日の出発の「高校生に夢を!」企画の準備に勤しんでいる毎日です。各校夏山の準備はいかがでしょうか。今年は意外に残雪が多いとか。中信地区の先生方中信安全登山研究会で情報交換をしましょう。(大西記)