不定期刊行            308号  2009.07.31中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

4校が人工壁でコラボ、それぞれに充実

7月30日、大町の人工岩場に中信地区の4校が集った。筑摩高校通信制は総合学習の授業として、明科高校は地学研究部の部活動として、大町高校は体験入学のためのクラブ紹介のための部活動として、木曽高校定時制からは職員のクライミング指導についての研修として。クラブだろうが、授業だろうが関係ない。

テキスト ボックス: 筑摩テキスト ボックス: 筑摩もともと筑摩の下岡先生から、この日のことを案内はされていたのだが、僕自身は新疆に行く予定もあったので、生徒に声を掛けたのは夏休み直前。そんなわけだったので、木曽高校からは残念ながら生徒は参加しなかったが、僕自身は学校長にも認めてもらい、研修にしての参加、一緒にアウトドア部の顧問をしている河上女史がつきあってくれた。集合時間の10時に遅れること15分ほど、筑摩からは年齢差もある生徒5名が下岡さんとともにやってきた。最初は側壁を使って僕と下岡さんがリード、セカンドで登って、トップロープをセット。しばらくすると大町高校の面々が小沼先生とやってきた。こちらはもうホームゲレンデということもあり、慣れたもの。どんどん登る。体験入学でやってきた中学生も2名。興味津々で眺めている。

テキスト ボックス: 明科テキスト ボックス: 大町昼近くなって、明科の丸山先生が4人の生徒とともに登場。ここでちょっと紹介しておきたいのだが、やってきたのは冒頭も書いたように「地学研究部」の面々。「地学研究部」が、なぜと思われる向きもあるかもしれないが、この部は丸山さんが赴任してからユニークな取り組みをはじめた。曰く「糸静探検隊」。昨年の中信高校山岳部年報には次のような報告がある。・・・地質学上の糸魚川・静岡構造線に沿って山に登り、地質や自然を観察する。登った山について、大きな地図の上にマークをつける。そのマークがだんだん増えて、つながってきた。昨年生徒3人で立ち上げ、雷山(明科)に登ったり、石炭の産地(四賀)やヒスイの産地(新潟県明星山)を訪ねたりした。今年の文化祭では、途中経過を発表し、少しだけ話題になった。山道具については、相変わらずテントもない状態だが、明科にある人工壁や冠着山のボコ抱き岩で、フリークライミングも楽しんでいる。・・・と。実は丸山さんは知る人ぞ知る「アウトドアの仕掛け人」。前々任校の池工の定時制でも、前任校の筑摩の昼定(当時)でも、アウトドア関係の部活動を積極的に展開してきたという経歴をもつ。そんなわけで、名前は「地学研究部」でもやっていることは、山岳部と言ってもあながち嘘ではない。これで一気に、ヒートアップ。実は地学研究部は昨日も来たのだと聞いた。さすが!

初体験の筑摩の生徒たちから日常的に活動に取り入れている大町の生徒まで、お互いに刺激し合いながらのクライミングは和気藹々。側壁から内壁まで、垂らされた7本のロープには学校の別なくみんながとりつき、ボルダー壁でも生徒たちの声が響いた。生徒こそいないものの、私と河上先生も登り方、確保技術など有意義な研修ができた。雰囲気は写真でどうぞ。ほのぼのとした感じがわかるでしょ・・・。

編集子のひとりごと

夏休み直前の7月21日と22日、本校は文化祭の代休日だったので、アウトドア部では「川遊び」と「キャンプ」を計画した。場所は柿其渓谷と阿寺渓谷。ところが朝から大雨で川遊びなどもってのほか、キャンプも難しい状況だった。しかし、生徒にとってはこのキャンプは、バイト先の休みをやりくりして都合をつけた貴重な日。そこで、編集子は考えた。21日は、とにかく集合して、まず合宿所でテントを張る練習と自炊。どうせ雨降りだからと、学校のプールで水遊び。普段授業でも水泳ができない生徒にとっては、これでも十分楽しめた。

肝心のキャンプはどうしたか?とにかく雨は衰えることなく、予報でも一晩降り続くとのこと。そこで、食糧を調達してから、夜陰に乗じて、小生のとっておきの場所に移動する。それは・・・鳥居峠にある避難小屋。ここは人里離れた場所でありながら、車での移動が可能、なおかつ誰に気兼ねもなく、大騒ぎをすることもできる。テント生活とは相成らなかったが、屋根のあるところでむしろ快適な一夜。こんな持ち駒があると生徒にも随分喜ばれる。実は、木曽谷にはこういう隠れた場所がほかにもいくつかある。通勤の合間にときどき道草を食って見つけたこんな場所が意外なところで役に立った。一晩泊まるというだけで、生徒は大きく成長する。特に定時制の生徒にとっては、こういった機会は貴重だ。

ようやくここ2日ほど少しよくなってはきたが、夏休みになっても、どうも夏らしくない日々が続いている。大町高校では、この天候の影響で全校登山が中止になってしまったと聞いた。大雪での大量遭難を受けて、県警もツアー登山に警告を発している。不順な夏に加え、今年は意外に残雪が多いという情報もある。各校の夏山合宿もこれからが本番である。ツアー登山に限らず、「安全登山」を肝に銘じたい。(大西記)