不定期刊行            311号  2009.08.19中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

山に異変か―ー女性と若者溢れる山?

信濃毎日新聞では、先週「北ア」でアンケート取材をした結果をまとめた「若者山へ」という特集を組んでいた。中高年のイメージが強かった登山の世界に20代から30代の姿が目立つようになってきたというのだ。信毎ではアンケートの結果からそれを「自分の内面に重点を置く世代」が「非日常や癒やしを求めて」登っているとまとめ、「百名山など『どの山に登るか』にこだわる中高年」とは違った形の山登りが生まれていると分析している。

そして今日(8月18日)付の新聞を見ると、朝日と信毎がそろって同じような記事を掲載して「山に登る女性」を取り上げていた。それぞれの見出しには、朝日「山歩き女子 増えています――ファッション誌も注目、『おしゃれ』で敷居低く」信毎「登山もおしゃれに快適に」と女性の山登りとファッションの関係を報じていた。朝日の記事をかいつまんで書くと、「自然に触れる喜びを山歩きに見いだす女性が増えているが、それを登山ファッション誌も後押ししている。今流行のスタイルはスポーツ用タイツにスカートスタイルの登山。」というもの。そして信毎の方は、「今年は北アルプスなどで、タイツにスカート姿というこれまでは見かけなかったスタイルで登山を楽しむ女性が増えている。」というものだった。かく言う小生も知る人ぞ知る、某女性下着メーカーの出している「**X」というタイツの愛用者(もうかれこれ7〜8年)でもある。最初はこっぱずかしかったのだが、あれでなかなか侮れない。実際に膝の調子がいいような気がするのは事実だ。今や完全に市民権を得たと言ったところか。

最近は、形から入る若者や女性も多いような感じがしているが、こういった「スタイル」や「ファッション」が牽引者となって、「3K」の代名詞のように言われていた「ダサイ」登山が少しは見直されて来ているのかも知れない。ひところの「中高年」のお決まりのスタイルに比べれば、若者のスタイルはもっと多彩であるが、しかし「山岳会」へはいってという風でもない。中高年のブームが一段落したところで、このあたりが一つの転換点になって、また新たな登山の形態が生まれつつあるのかもしれない。

7月に富士山に行ったときに、あまりの人の多さに吃驚したが、今回の信毎のアンケートに対しても、きっかけは富士登山からという答えが多かったそうだ。山の本質はいささかも変わったわけではないが、山に興味を持つ人間が増えてくることそれ自体は決して悪いことではない。要はその先である。いずれにせよ、ちょっと気になった新聞記事ではあった。

北信越国体長野県チームの活躍

先に行われた北信越国体で長野県チームが10年ぶりに全種別本国体出場権を獲得するという快挙。小生は応援に行くことはできなかったが、聞くところによれば少年男子は予想通り松本深志の中嶋兄弟が圧倒的な強さを見せた由、少女は昨年あと一歩の所で涙をのんだ長野工業の松本選手、中野立志館の町田選手が気を吐いた。成女も2年ぶりに出場した白馬OGの大野選手がGDMの宮崎選手と組んで活躍。本国体では成男に大町高校時代から活躍した橋本、笠原の両選手も出場する。大いに期待できる。

塩尻志学館高校の「夏山」

塩尻志学館高校 横内佳代先生より

夏らしくスカッと晴れることなく夏が逝きます・・・塩尻志学館は8月8日〜10日の2泊3日で夏山合宿を行いました。(当初は3泊4日の予定だった)今年はインターハイが7月下旬に来てしまい、その用意でてんやわんやで忙しい中、生徒はいつもと同じようにお気楽にして日が過ぎていったために「合宿行く気があるのか」という、珍しく大西英樹先生の怒りが爆発。

驚いた生徒がその気になって計画書を書き始めたといういきさつがあり、行き先も二転、三転しましたが、南アルプス白根三山縦走3泊4日にようやく決定。当初女子は「穂高」に行きたいと言っていましたが、男子3名は合宿初体験、結果的に穂高でなくて本当に良かったと、降りてきてしみじみ痛感です。

8日は奈良田に車を置き、バスで広河原へ移動して白根御池まで。奈良田では静岡の島田高校の山岳部と一緒になりましたが、5泊6日の日程で大井川源流へと言っていました(その後体調を崩す生徒が出て予定を変更したらしく、農鳥で一緒になる)。また白根御池のテント場は東京、大分、兵庫など各地の高校の山岳部が合宿中で、テントがひしめいていました。学生の合宿の「メッカ」なんですね。サブザックで北岳往復あるいは、北沢峠へ出て仙丈へ、などコースはいろいろでした。部員25名なんて学校もあるようで驚きです。

9日は北岳・間ノ岳を縦走して農鳥小屋まで。富士山も見え、天気もここまでは良かった。夜半から天候一変、ものすごい雨と風で、テントは大揺れフライが吹っ飛ぶか、ポールが折れるかくらいの激しい風雨でさすがの元気な女子も「自分たちは大丈夫ですかね」と不安げな様子。翌朝、風もやみ小雨になったところで撤収し、台風も来ていることから10日のうちに奈良田まで下山と決定。長い長い下りを降りて帰ってきました。

2、3年女子には余裕で、相変わらずでっかい声でしりとりしたり行き交う人に大声で挨拶したりと元気でしたが、初参加の男子が大変。体力がないので登りも大変だが、下りも大変、さらに高所恐怖症ときている。雨が降っていてカッパも暑いし、足元もぬかるみ滑ります。大西先生が背負いやすいように荷物もパッキングしなおしてやっていましたがいろいろといらないものを持って来すぎて重いのです。さらに途中から荷物も先生が持ってやって軽くしてそれでもなおフラフラ、最後はもう目が死んでいました。試練の合宿になってしまった。まあ怪我が無くてよかったです。

大概、夏の合宿でみんな山のよさにハマって行くんですが、どうも今年は様子が違う。何かしらの充実感が残ればいいけれど、「山岳部やめます」と言い出すのではないかと若干不安が残ります。夏休み明け、どうなってるんでしょう?

それにしても男子なのに食も細いし、体力も無い。山岳部に限らず、近年志学館はこういう(草食系?)男子が多いのが気になります。3年生にとっては最後の合宿。自分が3年の担任ということもあるのですが生徒の成長を追いながらこうして合宿に参加できることを何より嬉しいことと感じました。これで女子が2年生一人になってしまうので、何とか部員を入れないといけませんね。