不定期刊行            313号  2009.08.24中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

石川県小松工業高校の夏合宿――根石先生からのレポート

大西先生、こんにちは根石です。いつも、かわらばん興味深く読ませていいただいています。北アの様子は。という呼びかけと、皆さんのレポートに触発されて夏山合宿の様子を書いてみました。ご覧下さい。

==========以下、合宿のレポートです=============

私達、小松工業高校山岳部は8/10〜13の日程で、飛越トンネル-北ノ俣岳避難小屋(泊)-黒部五郎-三俣蓮華-双六岳-双六幕営地(泊)-槍ヶ岳-槍平(泊)-新穂高。というルートで夏の合宿をしてきました。

飛越トンネルに到着したときはひどい雨で、トンネルの中でカッパを着込み「いつまで待っていてもしょうがないから、小降りになったら出よう」と言って出発すると、それっきり雨に遭うこともなく避難小屋にたどり着く頃には、青空も見え隠れする具合にまでなる始末。実際、今年の1年生が入ってきて以来、雨知らずの山行が続いています。1年生の参加しなかったインターハイは、ずっと雨でした。どうやら、すごい晴れ男がいるようなのです。

2日目も穏やかな稜線を少しずつ大きくなる槍ヶ岳に励まされながら歩くはずだったのですが、遠くは雲に閉ざされて残念ながらもう一つでした。ただ、黒部五郎に着く頃には晴れ間が広がって、カールでのんびりと昼を楽しむことができました。そこまでは順調だったのですが、三俣蓮華への登り返しでスタミナが切れてしまう者が出てきて苦しい後半戦となりました。結局、全員が到着するのに12時間。翌日に南岳まで行きたいと、1年生には少々無理な計画を強いてしまったようです。

3日目は、見事な朝焼けに始まり素晴らしい眺望の中で西鎌尾根を歩くことができました。ふり返ると遠くに1学期に何回も練習登山をした白山が望めます。「あそこに、何度行ったかな」「別山と御前峰は結構遠いよね」練習登山を重ねた際の笑いことや辛かった話が盛り上がります。あと、このコースの良いのは槍ヶ岳に近づくにつれて自分たちの歩いてきた道程がずっと追えることです。「昨日は、あんなに歩いたんだ」「すげえな」というその自信が登山の楽しさにつながればと思います。

肩の小屋から槍ヶ岳を往復すると、一転にわかにガスに包まれ雨粒まで顔にあたり出しました。昨日のハードスケジュールで疲れている者もあり、南岳までの縦走は諦めて飛騨乗越から槍平に向かいました。途中「こんなに降りてしまって、南岳までまたどのくらい登るんだろう」と心配し始める者があり、やれやれまた人の話を聞いていないと思いつつ、少しは登山のいろはが解ってきたのかなとちょっと嬉しくもありの、複雑な心境です。

槍平では良い水がたっぷりとあるし、あとは新穂高まで数時間という気楽さからのんびりと過ごしました。笑いも多かったように思います。翌日は、かなりの雨音に目が覚めたのですが、撤収時にはやっぱり雨が降らないのです。本当についているというか不思議でした。何度かの合宿を重ねて思うのは、辛い経験の共有がメンバーの基準になってこれからの登山を乗り切っていけるということです。つらい場面でも「あれに比べれば」などと言い合っています。登山はゆっくりと自分の足で自信を深めていくことのできる活動ですね。もっと、そこに魅力を感じて欲しいのだけれども。

長くなりました。最後に、全行程を通して双六幕営地で愛知県の高校と一緒になっただけで、そのほかには全く高校生パーティと会わなかったのも、また珍しいことだったと思います。皆さん、南アルプスに入っていたのですね。

(編者 注)10日から入山ということは当初の私の計画(槍の北鎌)と同じだったわけで、臍をかむ思いもしていますが、台風が南の海上を早いスピードで通過したので北アルプスは意外と影響を受けなかったのですね。しかし10日早朝の松本の雨はハンパじゃなかった。こんなレポートを読むと、行けばよかったとは思うものの、まあこんなもんでしょう。投稿ありがとうございました。

中信新人大会の下見をしました

中信高体連登山専門部では、8月21日に中信新人大会の下見を行った。今年の中信大会は、9月18日(金)19日(土)の両日、木曽青峰高校新開キャンパス(旧木曽山林高校)を本部として、同校の裏に広がる演習林とそこからつながる城山一帯で行う予定である。「城山」は地元では「児野山(ちごのやま)」とも呼ばれて親しまれており、頂上からは御嶽も望める。中腹にはかつてこの地を治めた木曽氏の山城の跡も残っている。沢を詰めると源流があり、ときにはカモシカやリス、イノシシなどとも遭遇できる自然豊かな山である。もう何度も紹介しているが、途中の屏風岩は木曽高校のクライミングのホームゲレンデともなっている。

21日は、白馬高の小林、浮須の両氏と志学館の大西(英)さん、それに小生の4人で山を歩いておおよそのコースを決定した。コースは新開キャンパスを起点にした周回コースで、競技はラインオリエンテーリングとポイントオリエンテーリングの併用で行う。2万5千図にない道などもいくつかあって、主催者としては地図作りで苦労もあるが、それなりに楽しいコースとなることは請け合い。

中信新人大会を木曽で行うのは、2004年以来5年ぶりのこと。同じ中信と言っても安曇、松本方面からすれば、木曽の山に登る機会はそうはない。今回は木曽青峰高校の学校長、林業科にかけあい、全面的に協力をして頂き宿泊等の面で校舎をかなり自由に使わせてもらえることになった。また、初日の講演会は気象予報士の資格を持っておられる木曽青峰高校の花井嘉夫先生にお願いした。さらに2日目の交流登山は「御嶽」に登る計画である。近く高体連を通じて各学校に要項が届くと思う。中信の高校のみなさん、積極的に生徒を誘ってご参加下さい。申し込み締切りは9月4日です。

編集子のひとりごと

私事ではあるが、私は基本的にほぼ毎日学級通信を書いている。これまで5回担任を持ったが、持っているときはいつも書いてきた。現在のクラスの学級通信も一年の時から出し続けているが、今日で通し番号453号である。「今日で」と書いたが、本校では今日から新学期が始まった。そんなわけで、学級通信を書かない夏休みは毎日なんだか手持ちぶさたでもあったので、読者からの投稿も使わせていただきながら「かわらばん」を連発した。これからはやや頻度が落ちると思うが、引き続きご愛読の程を。(大西 記)