不定期刊行            318号  2009.09.23中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

山岳総合センター「高校生クライミング研修会」に参加しよう

10月24日、25日に行われる標記の研修会の通知が各校に届いていることと思う。ご承知の方も多いと思うが、この講習会は、7年前より、県高体連登山専門部との共催により新設した講習会である。高体連内部での何回かの議論をもとに小生と浮須さん(白馬高校)が当時のセンター主事であった加々美さんと協議を重ね、実現に漕ぎ着けた。ただ、7年前この研修会を始めるにあたって、当初の我々の思いはもう少し違うところにあった。それは「クライミングの普及のための顧問を養成したい」というものであった。古い話で恐縮だが、「かわらばん」13、14、18、19、20、23号に私は「県下高校の高校山岳部におけるクライミングの流れ」と題して6回にわたり、それまでの高校クライミングに関わる文章を書いた。今回は、この研修会のことに直接関わる23号の部分を再録して、ぜひ一人でも多くの顧問の先生の参加を呼びかけたい。

(以下引用)この11月の会議の中でもう一つ提起されたことがありました。それは、山岳総合センターにお願いするなどして、公的に講習会を開くという道を探ろうということでした。そしてその窓口にジュニア委員長の浮須先生と大西の二人があたることが決まりました。浮須先生と僕は、「生徒たちに普及するためには、とにかく顧問の先生方にこの世界を知ってもらわなければならない。」そういう感じを強く持っていました。

実はセンターでの高校の教員向けのクライミングの講習会は今から6、7年前にも2年間行われたことがありました。当時はセンターの人工壁もできたばかりで、センターとしてもなんとか高校現場にも普及しようというつもりで講座を開設したのだと思います。しかし、結局人が集まらず2年間で頓挫してしまったのです。

そんな経験もあったのですが、せっかく第一歩を踏み出した会議をさらに一歩進めていくために、浮須先生はセンターに赴き、講習会の開設についての依頼をしました。センターでは、そのような要望があるのなら講習会の新設はやぶさかではない。具体的にどんな講習会にしたらいいのか、高体連としての要望を12月中にまとめてもらえば、新年度から新たに講習会を開設できるとのことでした。

僕は浮須先生からその連絡を受け、その講習会に加えて、次年度より具体的に普及するための方策を話し合いたい。そのためにさらにもう一度会議を持ってはいただけないだろうかと加藤先生(編者注:当時の登山部専門委員長)にお願いをしました。その結果、12月の中旬に各地区の高体連専門委員とクライミング愛好者の先生での会議を持とうということになりました。場所は大町の山岳総合センター。このときのメンバーは、加藤(岩村田)、竹内(諏訪実)、浮須(池工)、重田(岩村田)、小林(白馬)、赤羽(志学館)、久根(風越)、村主(岡工)、大西(木曽)の9人だったと思います。

前回の議論をもとに会議は進められました。当初浮須先生や僕が考えていたのは、あくまで顧問の啓蒙、研修としての講習会でした。そして、それは「自分では登れない顧問であっても、指導する過程が学べるような講習会」にできればいいのではないかということでした。実際、僕らの中には、ロープワークや安全な登攀技術は教えられても、登り方そのものを生徒により具体的に教えられる顧問は数少なかったからです。仮に自分は登れなくても、生徒に教えることができれば、少しは普及も早まるだろうと考えたわけです。実際、クライミングの話があったとき、「俺はやったことないし、登れないから」と生徒に勧められない先生だって多いと思うのです。しかし、一方で多くの先生方の中からは、どうせやるのなら一石二鳥だから、生徒も一緒にやったらどうだろうかという意見も多く出されました。その結果、講習会の持ち方は、顧問も生徒も一緒にやる形に落ち着きました。これが来る9月7日から8日に行われる「高校クライミング研修会」として結実したわけです。(以上「かわらばん」23号2002.08.18)

それから時は流れ、センターの主事も加々美さんから中嶋さん、傘木さんへと変わり、高体連の専門委員長も加藤さん、竹内さん、星野さん、小林さん、久根さんと変化、浮須さんはジュニア委員長から国体委員長へ、さらには国体競技も少年へのクライミングの導入、踏査・縦走の廃止、さらにリードとボルダリングの競技へとめまぐるしくこの「世界」は変化した。しかし、僕は思う。少なくとも長野県で高校生が身近にクライミングに触れる環境が整っていない以上、「なぜ、顧問への啓蒙が必要だと思ったのかという原点を忘れてはならない」と。恐らく、10月初めに行われる国体で長野県の少年男子は大活躍してくれるだろうと思う。しかし、それがクライミングが裾野を拡げた結果であると言い切れないことは衆目の一致するところではないだろうか。

2002年の第1回の高校クライミング研修会には、15校から顧問15人、生徒26人(内女子5人)が参加している。15校の内訳は、下諏訪向陽、諏訪実業、塩尻志学館、上田千曲、岡谷工業、大町北、松本筑摩、大町、池田工業、飯田風越、南安曇農業、松本蟻ヶ崎、木曽、松本深志、松本美須々ヶ丘と多様である。当時の顧問は参加した感想を「スポーツクライミングをどのように指導するかという観点で参加させていただきました。ただ上に登ることのみが目的でなく、どのような練習をすることによって何が身に付くかという点が少し分かった気がします。しかし、何より顧問が生徒とともに楽しめることが、生徒を岩場やボードに連れ出すには一番必要なことであり、そのためには互いにビレイ出来ることが必要です。今回はその点が大きな収穫になりました。各地区ちょっとしたコンペなどあれば更に目的を持って臨むことが出来ると思います。(飯田風越、顧問)」とか「案内のチラシに『初心者でもOK、顧問だけの参加も可』という記述で気持ちが少し楽になりました。講師の先生方も、またよく御存知の顧問の先生にも本当に熱心に教えてくださり、初心者として十分楽しむことが出来ました。ロープの結び方など具体的に学ぶことが出来、非常に有意義でした。今後、人に教えたりするにはまだまだ繰り返し復習しないといけないことが多いですが、これをきっかけに少しでもクライミングの面白さを伝えていけるといいと思います。(大町北、顧問)」と感想を寄せている。もちろん今回も初心者でも不安は無用。生徒のみ、顧問のみの参加も可能です。

編集子のひとりごと

「かわらばん」は長野県高体連登山専門部のHPにアップしてもらっています。本文で取り上げた13〜20号は2002年の発行です。23号の前史にあたる部分をもう一度ひもといてお読みいただき、研修会にご参加下されば幸いです。(大西 記)