不定期刊行            328号  2009.10.28中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

県高体連反省会及び次年度下見

10月22日と23日、県高体連の専門委員会が持たれ、本年度の高体連としての反省ならびに次年度の会場地の下見を行った。来年度は県大会のほかに北信越大会の当番県でもあるので、それも合わせて検討した。なお、県大会は霊仙寺山と飯縄山、瑪瑙山の縦走、北信越は今年の県大会と同じ黒姫山での開催を予定している。

今回集まったのは、県の専門委員として久根、塩川、矢嶋、大西英の各氏と小生、担当地区の北信から福島、酒井、村主という計8名。つまらないことだが、今回の参加者は、全員40歳代で、最年長は首の皮一枚のところで40代でとどまっている小生。僕が最年長ということを見れば、県高体連登山部がある意味世代交代をしたともいえるが、しかし30代の次の世代がいないという長野県の現状を表わしているような年齢構成だった・・・。22日は、予報では高気圧に覆われて「晴れ」のはずで、松本の自宅を出るときは快晴だったのに飯綱高原へ登っていくにつれ雨がポツリポツリと降ってきた。

なんだか気が乗らない中、9時にしょぼふる雨の中、飯綱東オートキャンプ場を出発、霊仙寺山を目指す。小生が高体連に関わりだしてもう四半世紀ほどになるが、飯縄での開催は北信越も含め、これまでに何回も経験している。8年前に精査したときの地図を参考にポイントや審査を想定しながら、霊仙寺湖からの登山道を詰める。前回もその前も特区間は「反射板のあと」だったが、撤去されて10年以上を経過した反射板のあとを最初は見落とした。地形で判断できたが、すっかり草が茂って趣を変えていた。道も随分急な感じがしたが、これは年のせいか?登り詰めた霊仙寺山頂では雨もあがり、周囲の展望も開けてきた。

いったんコルへ下り、殆ど踏まれていない霊仙寺山から飯縄への縦走路を深い笹をかき分けながら登り切ると、飯縄山頂である。ここにはいつも誰かどうか人がいる。雲海の上に上信越国境の山や北アルプスが顔を覗かせ、なかなかいい景色だった。先の長い我々は、飯縄からのやせ尾根を注意して下り、妙高や高妻、焼山、火打などを見ながら最後の一登り、瑪瑙山を経て、戸隠キャンプ場まで歩を進めた。

午後は天気も回復し、快適なプロムナードだったが、最後キャンプ場までのだらだらの下りはやっぱり長かった。飯縄での大会といえばこれまでなんかどうかトラブルがあった。第2回北信越大会(1990年)の時は、雨中の大会だったが福井の女生徒が疲労困憊、瑪瑙山山頂で倒れて下まで背負い下ろしたこと、前々回の県大会(1994年)では一人の男子生徒がザックを山頂直下の分岐においたまま180度反対の一の鳥居の方に下るという行方不明事件があったこと、そして前回(2001年)は一人の女生徒が、飯縄直下の登りで熱中症になり動けなくなったことなどということが思い出された。このコースは、意外と長くて生徒にはきついのだ。しかし、北信の名山であることは違いない。僕は夏には訪れたことがないが春夏秋冬いつ訪れてもいい山である。

夜から翌日にかけては、この踏査結果をもとに来年度の計画を練り上げ、久根さんと矢嶋さんが関係各所に挨拶回り。来年度はトラブルのない大会になればいうことはなし。

木曽・木曽青峰高校定時制アウトドア部秋の活動三題

私が顧問をしている定時制アウトドア部の秋の活動を紹介します。

その1:10月16日。顧問2人に生徒4名(男子2、女子2)が、上松のレイクサイドエリアでクライミング。一昨年、森山さんと中嶋さんに開拓していただいたこのエリアは、公園の脇で車を降りてからのアプローチがゼロ。左、中央、プロジェクト、カンテの4本のルートがある。最初に最近意欲的に挑戦しているG君がリードで「左」に取り付く。2ピン目まで登って残念ながら敗退。交代して、小生がなんとか上まで登り切り、トップロープをセットした。花崗岩のこの岩は横にクラックが走り、皿状の岩が積み重なった感じで、見た目には簡単そうだが、実際にはなかなか難しい。トップロープが掛けられたあとは、みんなでひいひい言いながら、それでも全員がなんとか登り切った。その横の「中央」ルートは、男子が果敢に挑戦するがなかなか下部の核心部を抜けられない。一方「左」を登った女子は、「カンテ」ルートをジリジリと完登。・・・今回の参加者は、不登校・軽度発達障害・フィリピンからの来日などという様々な経歴を持った生徒たちだが、「定時制」という学校で「居場所」を見つけた彼らのそれぞれが、自分の課題を見つけ克服、それを周囲が励まし応援する姿は好もしい。「あそこはああだ、ここはこうだ」と講釈を垂れるのも、入学したころには考えられなかった姿だ。

その2:10月27日。紅葉を愛でながら、木曽町三岳の「油木美林」から「百間滝」への日帰りハイキングを目論んだ。木曽の自然の素晴らしさを堪能した。

8時に集合したのは、M君、Fさん、Yさんの三人に顧問が3人。駐車場から歩き出して10分ほどのところにある二筋に分かれた木漏れ日の滝、さらにその先にある白糸のような水を幾筋も垂れている不易の滝。対称的な二つの滝を見て、紅葉した広葉樹の林の中の急坂を一気に登る。崩れた登山道は階段が付けられ安全な遊歩道になっている。

登り切って上の台地に出ると、そこは檜の原生林である。人為的に整えられているとはいえ、原生林である。辺り一面に広がる樹齢300年というこの林は、赤沢ほどにメジャーではないが、僕は好きだ。少しずつ高度を上げながら、道を進んでいくとやがて白樺林が広がっている。登りはじめからおよそ2時間強、12時10分には目的地である百間滝の展望台に着いた。

谷を挟んで御岳の山麓にある百間滝の眺望は、いつ見ても圧倒される。定時のアウトドア部としては3年ぶりの訪問。そのときも寒かったが、今日も寒かった。展望台の東屋で昼食、ラーメンを作って暖まった。1時少し前に出発、同じ道を下って、駐車場についたのが3時だった。下部の滝のあたりでは何人かの観光客にも会ったが、上部には僕たちだけ、大自然を独り占めしてリフレッシュ。そのあとは倉越高原の方を回り、御岳・乗鞍・駒ヶ岳を一望し、木曽温泉で汗を流して帰ってきた。最後は少し回り道をして猿橋渓谷にも足を伸ばして無事帰着。楽しい1日はかく終わったが、こちとら定時制。生徒にも教師にも授業が待っている。・・・勢いで授業を終えたのは夜の10時。

その3:11月になったら、クライミングをしながら「大芋煮」会を行うことを計画。65歳の3年生Hさんが、若き日、仙台赴任中に覚えた「山形の芋煮」を、昨年に引き続き腕によりをかけてふるまってくれるという。定時制の定番になりつつある・・・。