不定期刊行 第329号 2009.11.1中信高校山岳部かわらばん 編集責任者 大西 浩
木曽高等学校定時制
読図をみっちり・・・09年度中信「登山技術研修交流会」
10月30、31の両日行われた中信地区の「登山技術研修交流会」。今回は、「読図」をメインに初日は夕刻から松本県ヶ丘高校での机上研修と交流会、2日目は松本市の戸谷峰から三才山、烏帽子岩を巡る周回コースでの実技を行った。参加者は、松田(県ヶ丘)、筒井(県ヶ丘)小林(白馬)、宮島(白馬)、小沼(大町)、西牧(大町北)、三村(木曽青峰)、沼田(王滝中)、大西(木曽青峰)に加え、県ヶ丘の生徒2名、深志の生徒2名であった。初日の机上研修は、不肖小生が国立登山研修所で今年7月に行われた「安全登山普及指導者中央研修会」の主任講師である小林亘さんの講義を私なりに再構成し、そこに翌日の現地での実技講習を想定して行った。以下にレジュメを掲載。
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読図とナビゲーションについて〜ナビゲーションの鍵は準備(プランニング)〜大西浩
*以下は国立登山研修所に了解いただき、本年度の同研修所の「安全登山普及指導者中央研修会〔読図プランニング研修会〕」の主任講師小林亘さんの講義資料をもとに再構成したことをお断りします。
1.読図の準備 〜地図から情報を読み取る〜
@磁北線を引く 地形図の上方向は「真北」 コンパスが指すのは「磁北」
A知っておく
B等高線を読みこなす 〜読図のハードル〜
C傾斜を読み取る
2.プランニング 〜1/25000図を使って計画を立てる〜
@概念図を作成する
A行程に区切りをつけておく
B引き返せるかを確かめておく
3.現地で 〜ルートを維持するために〜
*地図を整置して確認
*コンパスに進行方向をメモリ(コンパス1・2・3)
@予測 地形はどう変化していくだろうか
A観察 自分の近くの地形をよく観察して予測と照合 複数の理由、特徴物で現在位置を特定
B記憶 通過するポイント(特徴物)をしっかり確認(認識)する
4.迷った時
@はっきり確認できる場所までできる限り来た道を戻る
A偵察に出る前に予測
5.戸谷峰から三才山峠までのプランニングをしてみる
@概念図の作成
A取り付きから稜線までの道の検討
B稜線上での地形変化や特徴物の予測
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夜はこれも「メイン」の企画である交流会。県ヶ丘高校の合宿所で、私のネパールトレッキングのスライドなどを見ながら、懇親を深めた。初参加の宮島さんや高校生たちも一晩交流会をする中ですっかり打ち解け、楽しい一夜となった。
31日の実技は、このコースを熟知している松田さんが講師を担当した。9時10分に三才山出合ドライブイン跡をスタート。野間沢からとりつき、尾根に乗ってからは送電線沿いにたどって戸谷峰に登り、稜線通しに六人坊、三才山と地図にない道を、前日に予測・プランニングしたことを念頭において、読図をしながら踏査。好天にも恵まれて、戸谷峰山頂からは、雪をかぶった槍穂高から、鹿島・五龍までを展望できた。丹念に見ていくと、かつての炭焼きがまやその作業のための小屋掛けの跡などが随所にあること、イノシシが地面を掘りかえしたあとや熊の爪痕など色々なものにも目が留まる。そんな意味でも新しい発見のある実りある一日となった。
三才山林道を南に歩いた後は、戸谷峰からの稜線と本沢を挟んで対峙する烏帽子岩の稜線をたどった。途中にある烏帽子岩では、その向かいにある25メートルの岩場で全員が懸垂下降も経験。高度感に最少はビビッていた高校生たちも、自然の中にある岩での開放感ある体験を楽しんでいた。4時30分には全員無事に下山。研修会の全日程を終えた。(地図は初日の研修の「プランニング」の中で使用したもの)
編集子のひとりごと
いよいよ冬将軍のお出ましか?周初めにかけて、この冬一番の寒気が入り込んで来る。松本市内の山道具店では、どの店でも冬のシーズンに向けてのセールがはじまった。そんな店を「はしご」したら、どこでも何人かのご同輩の顔。みんな思いは同じ。(大西 記)