不定期刊行            331号  2009.11.8中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

『三つの極地のお話』はいかがですか

長山協国際部では、かわらばん連載中の赤田さんの南極報告をメインに下記の内容で講演会を行います。どなたでも参加できます。チョモランマ報告は、都市大塩尻高校の中島さん、北極圏は諏訪清陵高校の井口さんと我々と同じ高校で教鞭を執っておられる方々の魅力あるお話が聞けます。ぜひおいで下さい。

【「三つの極地のお話」のご案内】

地球上には、北極と南極の二つの『極地』があります。私たちの山の仲間の赤田幸久さんが、1年間の南極越冬生活をされました。そこで、山男の南極生活体験を聞く会を企画しました。話を進める中で、北極の話も一緒に聞きたいという声が上がりました。さらに、『第三の極地』といわれるチョモランマ峰もということになりました。三つの極地は、地理的にも、気象的にもたいへんに厳しく、冒険の世界です。ですからそこでの体験は、興味津々です。ぜひ、多くの皆さんにお聞きいただきたいと思います。

【記】

主 催 長野県山岳協会(国際部が担当します)

日 時 2009年11月14日(土)午後2時受付、2時30分〜5時

会 場 長野市立吉田公民館・多目的ホール

    長野市吉田3丁目22-41「ノルテながの」2階

    JR北長野駅、長野電鉄信濃吉田駅から徒歩5分 できるだけご利用を

お 話 @北極圏での高校生のお話 井口智長さん(諏訪清陵高校教諭)

    Aチョモランマのお話 中島俊弥さん(長野県山岳協会国際登山委員長)

    B南極のお話 赤田幸久さん(南極越冬隊員、山岳会CCA会員)

会 費 500円(資料代)

問合せ 宮本義彦(長野県山岳協会国際部長) 電話・FAX 026-257-3515

赤田幸久さんの南極レポート「南極・昭和基地から」 その8

南極でみる天の川

テキスト ボックス: 昭和基地と天の川  2008年8月4日 撮影:南極天体観測クラブ 青山朋樹隊員(2点とも)今年の越冬隊には「南極天体観測クラブ」があります。私はクラブ員ではありませんが、数名の有志隊員で活動しており、いつも素敵な写真を撮っています。池田では七夕ですね。彼らの撮った「南極の天の川」をご覧下さい。

昭和基地の水造り

お盆も過ぎて池田では秋の気配を感じる頃ですね。昭和基地は今が一番寒い時期で、平均気温は−20℃位です。今朝(8月26日)の気温は−26.7℃でしたが、1982年の9月4日には−45.3℃を記録していますので、それに比べたら暖かいものです。

今日はみんなで貯水槽への雪入れ作業をしました。昭和基地には荒金ダムという水源池があるのですが、限りある水を節約するため、また水槽周辺の除雪も兼ねて雪入れ作業を行います。貯水槽は130kLの容量(ドラム缶で650本分)があり、発電機の余熱を利用して雪を融かしているのです。でも、貯水槽の水には若干の塩分が含まれておりそのままでは使えません。基地の中にある造水装置によって脱塩・精製して飲料水にするのですが、上水は1分間に4Lしか造れません。もちろん、お風呂は循環式ですし、トイレにはろ過度の低い中水が使われています。また、設備隊員が毎日装置のメンテナンスや造水量・使用量のチェック、更には就寝前に蛇口の水漏れ確認まで行なって水の安定供給を維持しています。ですから、昭和基地の生活において「節水」は大原則なのです。

日本においても南極でも、我々の日常生活は石油エネルギーに大きく依存しており、ともすれば「石油の方が水よりも貴重」だと錯覚しがちです。でも、つき詰めて考えると、人間は石油がなくても何とか生きて行けますが、水がなかったらほんの数日しか生きられません・・・・。雪入れ作業をしながら、こんな事を考えていました。

テキスト ボックス: 隊員総出で雪入れ作業  2008年8月26日 撮影:長浜隊員編集子のひとりごと

◇実は、木曽・木曽青峰高校定時制でも11月16日に赤田さんを招いて講演会を行うことになっている。6月のヌルさんを招いての講演会に続く本校での「高校生に夢を」という企画の第2弾である。当日の昼間は、木曽の岩場で赤田さんと一緒にアウトドアクラブのクライミング練習をすることも計画している。◇前号の雪崩の通り道の話は、大変興味深いお話ということで何人かの人からお返事をいただいた。栂の森では、現に我々の仲間が雪崩にあってもいる。身近な場所でもあるのでぜひ一度目で見て確かめてほしい。若林先生には、いくつか著作がありますが、最も新しい著作では「雪崩の掟」(信濃毎日新聞社刊)というものがあるので、紹介しておきます。(大西 記)