不定期刊行            342号  2010.02.03中信高校山岳部かわらばん     編集責任者 大西 浩

木曽高等学校定時制

山岳総合センター 講師研修会 2 雪崩捜索と搬送

研修会2日目の午前中は、昨日の班別協議にしたがって早速「雪崩捜索」を実践した。前号でも述べた通り、今回東さんからは訓練を客観的に観察し、検討をしてみようという提案がなされた。小生が班長をつとめた2班は6名、うちビーコンを使ったことのある人は小生以外には一人だけ。コンビを組んだ1斑は経験者が多少なりとも多かったので、まず未経験者の多い2班はビーコンの埋め込みをし、1班の捜索をしっかり見ることにした。以下の表は、我々2班が実際に見て、記録をした1班の捜索訓練のまとめである。

 1班は結局タイムリミットといわれる15分を8分あまり超過した。が、・・・これを見て次に行った「我々初心者がほとんどを占める集団たる2班」は、同じ課題設定を、ほぼ15分という時間の中でクリアし、3名の埋没者を救助することができた。・・・ということは、しっかり1班の様子を見てどう動いたらよいかを学べた結果ということができると思う。実際に見ていると無駄な動きや全体としての流れがよくわかり、その直後に訓練した我々は、チームとしての埋没捜索のイメージを形成下上で、実践ができた。その意味で、こうした訓練を繰り返すことの重要性が証明されたともいえる。

毎年思うが、やはりチームで動くための「リーダー」の役割が大きい。雪崩に遭わないことが一番だが、やはり訓練をしてあるかどうかはいざというときの転ばぬ先の杖としてどうしても必要だ。三種の神器(ビーコン、プローブ、スコップ)はただのお守りとして持っているわけではないのだから。「冷蔵庫、電気なければただの箱」のたとえの如く、使いこなせてこそ神器となる。

なお、蛇足ながら前ページに掲げた「埋没者捜索訓練記録」の表は、前日東さんが講義の中で紹介してくれた登山研修所の訓練のまとめをもとに、私が記録しておいたものを自宅に帰ってからまとめてみたものだが、訓練時には、あらかじめこのようなフォーマットを作っておいてその場で作成して、みんなで検討しあえれば、なおよかったのではないかと思われる。

2日目の午後はシート搬送を行った。至近距離にいた1班と2班では作り方が違う(写真参照)が、その場に応じたうまい方法を工夫することも大事なことである。

1班

 
1班の方は、両サイドから編み上げてくるむ方法、2班の方は、要救助者をしっかりとくるんだうえで、真ん中でまとめて、覆っていくという形式だ。それぞれに利点はあるが、いずれにしても共通して肝要なことは、保温をきちんとすること、傷病に応じて臨機応変に対応すること、出来る限り下の方にたるみを作らないことなどだろうか。

2班

 
雪山に入る以上リスクは必ずある。それを承知で入っていく以上は、知るべきことを知らねばならない。センターの講習会ではかつて僕らの同僚が雪崩で亡くなっている。僕はそのことを常に肝に銘じながら、いつもこの研修会に参加している。