大会開催にあたって

 長野県高等学校総合体育大会登山競技大会に参加した生徒諸君! 登山と登山競技の意味をもう一度考えてみませんか。登山とは、衣食住を山に持ち上げ、ある人は絶壁に自分の足跡を残し、またある人は高山植物の美しさを愛で、ある人は山岳写真を撮る、そんな幅の広い、老若男女誰でもできるスポーツです。しかし、どんな登山を楽しむにしろ、原点には自己責任において状況判断する能力が必要です。地図やコンパス、ラジオを使ったとしても、自分の五感で観察し、自分の頭脳で考え、現在位置や天候を予想しなければなりません。それほどに、自分の持つ能力や知識、技術が総合的に問われるスポーツ、これが登山だと私は思います。 では、登山競技とは何なのでしょうか。登山は競技するものではない、という意見をよく耳にしますが、私は、ある程度の極限状況を人工的に作り出し、その中で自分の持つ能力や知識、技術を再確認する場だと確信しています。それゆえ、負荷重量があり、特区間があり、時間制限があるのです。普段の山行では感じることが難しい能力不足、知識不足、技術不足をここで感じ取ってもらえるならば、これほどうれしいことはありません。とはいえ、県下の山岳部がこれほど一箇所に集まる機会はこの県大会をおいて他にありません。同じ山を愛する高校生として交流を深めてもらいたいと思います。学校の枠を越えた友情が生まれることを期待します。参加生徒諸君の健闘を祈ります。

 2002530日 長野県高等学校体育連盟登山専門部

     委員長 竹内佳一(諏訪実業高校)