2006年 第35回長野県登山大会講評

 

審査委員長 横澤克彦

審査員 西牧岳哉 筒井清 福島伸一 島田嘉一 大熊文久

                    酒井知之 浜恒弘 西野祐司 重田肇  大西浩

                    浮須由実 松田大 下岡英樹 大西英樹 福沢桂

 

【全体講評】

 今年は雪も多く降り、天候不順な日が続きましたが、大会中は3日間とてもよく晴れ気持ちのよい山行ができました。また特に大きな問題もなく、大会を終えることができましたことも含め、改めて感謝申し上げます。

 男子正規参加は11チーム、女子は2チームで、合計52名の選手が正規に参加してくれました。さらにオブザーバー参加者は51名もありました。競技としての山だけでなく、楽しんで登ってほしいということで、オブザーバーの参加も歓迎しております。

 特に今回は、オブザーバーチームのコースを競技コースとは変えてみました。オブザーバーに、より楽しい印象が残るよう配慮したつもりではありますが、ぜひ山を好きになっていただき、彼らの中から正規参加チーム(特に女子)が増えてきてくれることを期待しておる次第であります。

 

1.体力点(35点)

(1)総合的体力(20点)

 @審査項目

    ア)規定時間 男子6時間30分 (13時以降3分遅れる毎に1点減点)

         女子7時間30分 (14時以降3分遅れる毎に1点減点)

    イ)規定重量 男子40kg女子32kg 1kg不足する毎に2点減点)

 A講評

   ・規定時間内に到着できたチームは、男子9チームだけでした。しかし男女とも殆どのチームが規定時間を大きく超えることなくゴールできました。

    ・体力的なトレーニングを積むと共に山行に慣れ、体調を維持できるようにしましょう。途中体調を崩したメンバーをチームでサポートし合う場面が見られました。とても微笑ましいものがありました。

  ・計量については、特に問題はありませんでした。

(2)特区間(通過時間指定区間体力)(15点)

 @審査項目

    ア)設置場所 根子岳登り(1992m広場〜根子岳山頂)

    イ)規定時間  男子15分(30秒遅れる毎に0.5点減点)

         女子20分(30秒遅れる毎に0.5点減点)

 A講評

  ・規定時間内に到着できたチームはありませんでした。

   規定時間+5分以内に入ったチームは、男子5チーム,女子1チームでした。

  ・チームがバラけることもなく、協力している姿が見受けられました。

   普段の山行ではこのような設定はありませんが、体力トレーニングにも取り組んでください。

   夏山登山にも役立ちますよ。

 

2.歩行(15点=5地点×3項目1点ずつ)

 @審査項目

A地点(根子岳登り1860 笹やぶ) ・・・・歩行バランス、チームワーク、長袖

B地点(根子岳下りの岩場) ・・・・・・・・歩行バランス、チームワーク、靴・靴ひも

C地点(四阿山登りの雪場) ・・・・・・・・歩行バランス、チームワーク、スパッツ

D地点(四阿山下り2040m分岐手前の岩場)・・歩行バランス、チームワーク、帽子

E地点(的岩分岐からの急な笹やぶの下り )・・歩行バランス、チームワーク、パッキング状態

 A講評

  ・特に岩場や雪上では歩き慣れているチームとそうでないチームとの差が顕著でした。

    ・パーティの隊列が乱れているチームがありました。先頭は常に後続に配慮してください。

   また、雪上では先頭は確実にステップを切り、後続はそれをさらに確実なものにして続いてください。

  ・帽子未着用、半袖はやめましょう。またタオルを首からブラブラさせることも危険です。

  ・スパッツを着用する際には、左右の確認をしてください。

 

3.地形(15点=10地点×1.5点)

 @審査項目

  等高線の間隔やがれ場の記号から現在位置を正確に読みとれているか。

 A講評

    ・得点の低いチームは地図を見ながら歩いていないか、地図を見る余裕がないチームです。

      地図を見ながら歩く練習をしてください。

  ・線の引き方が指示通りでないチームがありました。登山大会審査書注意(リーダー監督会議資料)を 

    よく読んで記入してください。

 

4.装備(10点)

(1)個人装備(7点=7項目×1点)

 @審査項目

  ア)コンパスと地図(カラーコピー可。ただし2.5万図も共同装備として1組持っていること)

    イ)細引き ウ)計画書 エ)ホイッスル オ)ナイフ カ)雨具 キ)ヘッドランプ(絶縁処理)

 A講評

  ・おおむね各校しっかり準備できていた。しかし地図に関しては、白黒コピーや競技地図しか持っていないチームが多かった。原本の2.5万図が1組あるときはカラーコピー地図の携行もよしとしたが、原本の2.5万図を持つことが望ましい。

(2)共同装備(3点=6項目×0.5点)

 @審査項目

  ア)医薬品(体温計) )ツェルト )火器・燃料 )コッヘル )温度計 )ラジオ

  A講評(上の講評に含みます。)

 

5.生活技術(10点)

(1)テント設営(5点=5項目×1点)

 @審査項目(テント設営は10分間)

  ア)手際のよさ(チームワーク、手順)

  イ)ザック雨ぶたや袋の処理(強風雨想定)

  ウ)ペグ・張り綱の適切さ(ペグの角度、フライとの間隔、四隅、張り綱の張り)

  エ)軍手の使用(ペグを持つ手)

  オ)テント内の整理(テントマット、ザックの処理)

 A講評

  ・この審査は下山後(山行終了後)のテント設営を想定しています。

   しかし山靴ではなく運動靴で行っているなど、服装に問題がありました。開会式から登山の服装で参加をお願いします。

  ・テントがザックの中に入っているのも下山後だからです。

  ・ペグを足で押し込んでいるチームがありましたが、折れる恐れがあります。

(2)炊事(5点=5項目×1点)

 @審査項目

  ア)火器使用時の手袋使用

  イ)コンロ台、風防板の有無と扱い

  ウ)食糧計画との一致、食料の区分け(3日目の朝食)

  エ)ゴミを出さない工夫

  オ)調理シートの有無と扱い

 A講評

  ・コンロ台、風防を用意することと、使い方を覚えましょう。

  ・調理シートを用意することと、使い方を覚えましょう。

  ・調理シートの上でコンロを使用することは、輻射熱や安定性の面から危険です。またシートに靴のまま乗ることは衛生上問題です。

  ・保冷剤やクーラーバックは、重くかさばるので山行には不向きであろうと考えます。

 

6.気象(7点)

(1)天気図作成(5点) 

 @審査項目

  気象通報を聞き取り、放送を含め40分で天気図を正しく作成できるか。

 A講評

  ・天気図が「読める」ためには、天気図を「書き」「親しむ」ことが重要です。

   「読める」ようになると、テレビや新聞の天気図に、興味を持って接することができるようになります。

   ・気象判断は重要な登山技術の1つです。日頃のトレーニングに取り入れていってください。

   ・例年に比べ、天気図のできはよかったと思います。

(2)設問(2点)

 @審査項目

  今回の山行に関わる気象問題を正しく把握しているか。

 A講評(上の講評に含みます。)

 

7.計画・記録(8点)

(1)計画書(3点=6項目×0.5点)

 @審査項目(以下の項目から任意に6項目の記述を審査)

  ア)緊急連絡先(留守本部)イ)保護者名・連絡先 ウ)共同装備の個人分担記載 エ)予備食の記載  オ)手書きの概念図(ルート記載) カ)断面図(スタート・ゴール地点、根子岳、四阿山の記載)

 A講評

 ・断面図については、主要地点の記載がなかった。例えば、スタート地点では「ダック菅池キャンプ場」、ゴール地点では「鳥居峠」という表現が必要である。

 ・予備食の記載もれがあった。

 ・緊急連絡先は、必ず24時間いつでも連絡が取れ、かつ留守本部であることが必要である。

  計画書にはどこの誰という具体的な記述がほしい。例えば、学校長や教頭など。

 

(2)規準記録用紙(5点=5地点×2項目×0.5点)

 @審査項目

  ア)ダック菅池(スタート地点)・・・・・・・出発時間、天候

  イ)根子岳山頂 ・・・・・・・・・・・・・・到着時間、体調

  ウ)2040m(あずまやのある)分岐 ・・・・・到着時間、地形・展望等

  エ)四阿山の的岩 ・・・・・・・・・・・・・到着時間、地形・展望等

   オ)鳥居峠(ゴール地点) ・・・・・・・・・到着時間、体調

 A講評

 ・記録は次回の山行で役に立つことを記述してください。

  つまり地点を表すときに「特区間スタート地点」「フラッグ記号Kの場所」といった表現は、次回に利用できない情報です。

 ・天候欄については「天気図記号で記入すること」と、その用紙に書いてありますので指示通り行ってください。

 

 

 選手のみなさん、オブザーバーのみなさん、監督引率顧問の先生方、ご苦労様でした。